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ゴブリン使って異世界征服  作者: ゴブリンのおさ。
2/9

初めての指揮

とても広い平原。頭上には大きな木が立っていて、木陰に転がっている形だ。


気温は日本でいう春くらいだろうか。心地よい。


さて。状況整理だ。俺はゴブリン族族長、ゴンが罠にかかっているのを助けたところ、結局死ぬ運命だから族長を任せると言われ、異世界転移させられた。承諾したとは言え、いざ来てみると不安しかない。


「んー。どうしたものか・・・」


「あれ?ゴンさん!ゴンさんじゃないか!!」

「おー!ゴンさんじゃん!」

「ゴンさん!おかえりなさい!」

「ゴンさんまってたよー!」


「は?」


突然、4人のゴブリンが走ってきた。


「あれ?ゴンさん、転生したの?」

「なんで人間になったの?」

「ゴンさん病んでるの?」

「ていうかゴンさんなの?」


おれをゴンさんだと思っているのか?なんて馬鹿なんだ。


「どっからどう見てもゴンさんじゃないと思うのだが。」


「え?ゴンさんじゃないの?」

「絶対ゴンさんだと思った。」

「いやゴンさんだろ?」

「だから言ったじゃん。」


あぁー、はい、察したわ。確かにそうだわ、うん。俺がしてきたゲームとかマンガに出てくるゴブリンで、確かに頭悪かったわ。あれ本当だったんだな。


「うーん、えっと、ゴンさんに頼まれて、ゴブリン族族長に任命されたんだ。ゴブリン族の村まで案内してくれないか?」


『いいよー』


「いいんだ・・・」


普通案内しないだろ、見ず知らずのヤツ。これは従順というか、やはり馬鹿だからなのではないか?


村につく。村というか、洞窟の中に石を置いただけだ。それほどすたれてしまったのだろうか。


お互いに話し合った。俺が族長になったこと。そしてゴブリン族の現状を。


話を聞くと、1度キャタピラー族に襲われ、壊滅的な被害を受けたらしい。経済的な被害もあるが、一番酷いのは人員の減少らしい。10万の村人が2万にまで減少、さらにその後の食料不足により、最終的に100人程になってしまった。


「ひどいな。どうにかしなければ。」


「ははっ!ほんと、たまったもんじゃねぇよな!」


ワハハハ


笑いあっている・・・イライラしてきたぞ。

でもまてよ?


「なぁ、そんな状況なのに、なんでゴンさんは日本に来たんだ?」


「あぁー、ゴンさんは、このままじゃダメだ、別の世界から、技術が奪えないか見てくる。って言ってどこかに行っちゃいました。」


「そういう事だったのか・・・」


ゴンさんは死んだと伝えた時、悲しそうな表情をしたのは、きっとゴンさんがとてもいい人だったからだろう。自分たちが死にかけてるのにわらって、ゴンさんの死に悲しむのだから。何はともあれ、ゴブリン族を救わねば。ゴンさんの思いも晴れないだろう。


「食料は?どれほど在庫がある?」


「腐った芋が30個ほどしか。」


「腐ってるの・・・うーん、ただ、芋があるのは幸いだ。埋めておくだけで育つしな。」


「え!そうなの!?」


「え・・・?知らなかったの?じゃあこれどこから手に入れたの?」


「キャタピラー族から族長が取ってきました。」


「族長もたいがいばかじゃないか!」





まずは食料を作ろう。今はお腹空いてないから、何か食べたいわけでもないし。畑が最優先だな。それと、水分の確保がいる。現状では近くの湖の水を飲んでいるらしいが、よくお腹を下すらしく、そんなものは飲みたいと思わない。作物にかける水にもしたいから、なるべく綺麗な水を作らねば。


「なぁ、雨ってどのくらいの頻度で降るんだ?」


「んー、週1でふるって感じかなぁー」


「そうか。」


雨水を使うとするか。いちいち取りに行く手間も省けるし、1度に大量に取れば、1週間は持つ量を得るだろう。となると、ろ過装置もいるな。


「よしっ。今から、このゴブリン族を復興させて、強い村にするぞ。」


「え!本当!?世界征服?」


「なんでそーなる!?」


「いぇーいいぇーい!世界征服だ!」

「頑張るぞぉ!」

「うおおおおお!!!」


「ん、んまぁ、やる気が出るなら、そういうことでもいっか。とにかくだ!まずは、食料と水問題をどうにかしなければならない。全員で草原に行き、縦横30mほどの畑を作る。大きめだが、いづれ芋は増えるからな。だから、草むしりから始めるぞ!ただ、その草は絶対に捨てず、これに集めて入れること!」


これとは、俺が転移させられる前にポケットに入れていた黒いゴミ袋だ。なぜポケットにゴミ袋かって?俺は美化委員に属していて、常に5.6枚は持ち歩かなければならないんだ。まさかこんな時に役立つとは思わなかった。


「まずは15個うめる!のこりの15個を食べて、育つまでしのぐ。もちろん100人を15個で食べるのなんてもつわけがない。だから、俺が色々作る。上手くはないと思うが、我慢しろ!」


『おーう!』


とても小柄なゴブリンばかりだが、大柄なゴブリンもいる。とても極端だ、3mはあるんじゃないか?3人程しかいないが。


ゴブリン達は動きが機敏で、すぐに草むしりは終わった。自分で考えることは出来ないが、命令はきちんとこなすようだ。そのおかげで、2時間もかけず畑と草の集まり5袋分が出来上がった。畑と言ってもただ土を掘り返しただけで、なんの工夫もない。が、草原の草を見る限り、とても澄んだ色をしているから、栄養的には問題はなさそうだ。


「よし。よく働いてくれたな!ほれ、これ食べな!」


ゴブリンたちが作業中、俺は洞窟にあったボロボロの鍋と火打石を持ち出して、料理をしていた。料理と言えるのかどうか定かではないが。

でも、とてもラッキーなことがあったのだ。近くにある湖というのがなんと、なかなかにでかい塩湖で、貴重な湖塩が底にたまりまくっていた。底知れず湖塩があり、両手ですくって、鍋に入れ、水気を飛ばした。それを動物の革袋(ゴブリン族お手製)に入れて爪で"塩"と削って書いた。運動に塩分はかかせない。その塩を湖の水を沸騰させて殺菌した水に入れて塩水を作り、また、ゴブリンが運んでくる雑草を入れて煮込んだ。絶対にまずい。かなり不味いだろうが、仕方が無い。飲まなきゃ死ぬ。


1人1人に皿はないから、鍋のところに来て1人1人飲ませた。不味いというものもいれば、意外といけるとか言ってるやつもいる。腐った芋よりかは安全だろう。栄養価もありそうだ、青汁的な考えで。まだ空は明るい。ちょうど昼時な気がする。

俺も少し飲んだ。うーん、苦い。が、なんか健康になれそう。そんな味だった。


「みんなお疲れ!よく頑張ってくれたね。今の料理はこれくらいしかできないけど、今から埋める芋たちが育てば、もっとうまい料理が食える。だから、少しの辛抱だ、耐えろ!」


その後、俺の知っている最低限の畑作りをして、芋を等間隔に埋めた。

これで準備は万端。次は水だなぁ。さっきみたいに水の水を沸騰させるのはいいが、火打石の火をつける薪も必要だし時間もかかる。非効率すぎるなぁ。早急にどうにかせねば。ただ、今はそうするしかない。いま火がついてるのがチャンスだ。


「おーい!大型ゴブリン3人!」


「おう?」「ん?」「なに?」


「すまない、できるだけ水を組んできてくれないか?大型の革袋も持ってきているんだ。」


袋って便利。こんなに袋に感謝したの初めて。

そして湖の水でパンパンになった水を少しずつ鍋に入れ、殺菌が終われば、のこり1枚となったゴミ袋に入れていく。普通のゴブリンにも手伝ってもらって。そしてひと袋殺菌し終えると同時にゴミ袋1杯分、つまり40Lの水が確保できた。かなりの収穫だ。別の革袋にある水も殺菌し終えて、ローテーション形式に袋を使いまわし、最後の革袋には、最初にビニール袋に入れた水を入れた。革袋とこのゴミ袋の最大保有量が同じならば、5袋分。つまり200Lもの水が得られた。しばらくは大丈夫そうだな。薪もちょうど尽きたし。


「よし、これから毎日当番を決めて、水やりをしてもらう。方法は後で実践するから、その通りにやること(自由にやらせたら怖いしな)。その当番は俺が指名する。今日はもう帰ってよし!腹減らんうちにはよー寝て水やりしよう!」


『はーい!』


ゴブリン、扱いやすいな。



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