赤い日の夜…
ココナッツの匂い… ミルクの甘い香り…
今日も15cmの小人は強烈な匂いに目が覚める。
甘い夢を見てしまった…
今日は優しい小人たちにチョコを交換し合う日。
特別な小人にはチョコをたくさん入れて渡したりする一年に一度限りの特別な赤い日。
朝から私は大きな紙袋に小さい袋をたくさんいれる。
今日初めて外の光を浴びた。世界が赤に染まっているような不思議な気持ちになる。
今日も大きな乗り物に乗る。小人たちはいつもの鞄ともう一つ紙袋を持っている。 「私と同じだ」そう思った私はバカだった。
小人だけじゃなくこの世界には巨人も存在する。
私は巨人には怖くて喋られない…でも、小人たちは巨人に話しかけていく。
小人と巨人の空間の中で、私は小人だけにチョコを交換することしかできない。
今年もこれでいいんだと思っていた。
小人にもいろんな人がいて、巨人にもいろんな人がいるのに…
なぜ小人以外の全ての巨人を私は怖くて喋られないのだろう。
私はいつも巨人と仲のいい小人たちが羨ましかった。
だが、そう思うだけで結局全ての小袋は小人たちにあげる。
それでいいんだと自分に言い聞かせていた。
去年は来年こそ巨人と話して渡すんだと決めていたのに、いつから私はこんなにダメになってしまったのか…
そう落ち込む私に周りの小人たちはもっと私を苦しめる。
昨日小人から報告があると言われた。
13cmのころからとっても仲のいい一生の小人仲間だ。きっとビックリする報告に間違いないと期待して答えてくれるのをまった。
それは、小人と巨人が結ばれた。という報告だった。
私はとっても嬉しかった。今まで私と同じように生きてきて、巨人と話したいと同じく思っていたから、結ばれてよかったねと言った。
でもその裏の心は、あまり喜べない自分がいた。
他の小人話も巨人の話ばっかりでつまらない。
みんな幸せそうだね。来年ねーはぁ…
今年の赤い日もそう思う一日だった。
15cmの小人の心が14cmになってしまいそうだと思った夜に…怖いと思っていた巨人から1通のメールが届いた。
そのメールは私の思いを明るくさせてくれる場所を教えてくれた。
………。