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Semper Crescis~そして時は満ちる~

翌朝、ヒトラーと女王陛下の見送りに皆が集まった。そこで春さんがヒトラーに一昨日の晩のことを訪ねた。するとヒトラーの眉間に亀裂が走り、こめかみには冷や汗が流れていた。「帰って来たら詳しく話そう。お互い生きてまた会うぞ、東洋の友よ。」そう言って2人は他に3名の戦士を連れてルートゥーズ族のもとへと旅立った。


そして、帝国軍迎撃作戦会議を始めた。脳筋の程度にも限りはあったのかヒトラーの苦言のお陰で少しは懲りた様子。つまり正面から戦うのは避ける結論には全員が一致した。しかし彼らの血族はそんな戦い方を1度もしたことがない。私は訪ねた。この森の中で拠点を置くのにうってつけの場所を。森に詳しい彼らはすぐに答えた。該当する箇所は多くて5つ。更に彼らの逃げた痕跡を見ながら追ってくることを考えるとその場所は一つに絞られる。そこからここまでを歩くとなると7日は要する距離だ。一昨日に我ら3人が彼らと合流し、昨日今後の方針についての大会議。そして今日で3日。つまり最短で4日後にも帝国軍はここに到着するという計算になる。自分たちの拠点を移すことを考えたが、ロカ族にとってはここが最後の隠れ家で後はない。

だが、まだ時間はある。


我々が初めて会った時、戦士長のイグナシオは私と春さん、そしてヒトラーをブラナ人と思って殺そうとした。つまり、斥候や偵察は我々2人が向いていると考えられる。しかし、敵の拠点は最短距離でも2日かかる。私と春さんは電話を持っているが、生憎とこの世界に電波が無いため通信手段には使えない。森を燃やして這う這うの体になった敵の尻の穴に槍を突き刺すことも考えたが、大計をの割には撃退しきれる自信は無い。何よりこの森がロカ族のホームである以上許可するわけがない。考えれば考えるほど今の状況が芳しくないことを実感する。「こっちがわざわざ動くんじゃなくて相手に動いてもらうのはどう?」そう言ったのは春さんだった。

作戦の概要は次のようになる。現在の具体的な位置は森の東南東部で、この後もし退却するのであれば真東に2週間全力で逃げてウッコに亡命することになる。どう考えてもそんなこと出来るわけが無い。こんな逃走劇はモーゼでも無理だし、何としてもそんな事態は避けたい。そこで現在いる位置から大きく外れた地点、ここより北北東に一晩で辿り着いた場所で狼煙を上げて注意を引きつける。全軍来ないにしても、ある程度の数はそちらに引き寄せられるはずだ。この陽動舞台に現在の総兵力の半分を注ぐ。では、残りの半分は何をするか。それは足跡のある所に不規則的にブービートラップを仕掛ける。夜になれば奇襲を仕掛ける。真正面からの戦闘は必ず避けなければならぬ。

大体の作戦は決まった。それぞれ準備に掛かろう。


部隊はイグナシオが率いる陽動部隊と私が監督するトラップ舞台に別れた。イグナシオには簡単な狼煙の作り方と使い方を教えた。鍛冶技術を得意とする彼らは非常に手先が器用であっという間に相当数の狼煙が出来上がった。私の部隊には簡単な火薬の作り方も教え、この時代の文明レベルでは想像出来ない物が完成した。罠はオーソドックスな落とし穴とクレイモア。どちらも必殺には至らない罠だがこれでいい。変に殺すと足取りが軽くなり行軍速度が速くなるのに対して、怪我人を増やすやり方は陰湿ではあるが相手の動きを遅くする効率的な手段だ。

あとは、本作戦最後の締めに掛けてやろうではないか。


果たして私の人生初のギャンブルは大当たりと行くだろうか。

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