煌亀 烙々
「あぁ、今日も見事にゴミだらけだなァ。」
鉄と砂の匂いが立ち込める空き地。
そこに立つは1人の青年。
古い錆と新しい"錆"のついた金属バットを片手に、それを肩に担ぐように持って佇んでいる。
彼の足元には、"ゴミ"。
何度も殴られて地面に伸びている男共。
汚いなァ...。
今日も今日とて、目的の人物は見つからない。
一体どこへ行ったのか。
それどころか、興味もないいざこざに巻き込まれ無駄に動いてしまった。
「はぁ...いっそ、何か居場所でも見つけてのんびりとしていたい...亀だけに。」
溜息が漏れる。
伸びた連中を踏みつけながら歩き、空き地を出る。
"次は頭、潰れてると思え?"
敷居を跨ぐ寸前、振り返って笑う。
次会って絡まれたら脳みそ見なきゃなぁ、なんて思いながら。
......。
「ねぇ、ゴミだからって思考もゴミだとかやめてよ...ってもう聞こえてないか...。」
うわぁ、我ながらハデにぶちまけたなァ。なんて眼下に広がる血と脳髄の海を見る。
こればっかりは第三者に見られる前に片付けなければ。
ポケットから携帯を取り出し、電話をかける。
繋がったその時に、演技じみた口調で囁いた。
「スナークはブージャムだった。」
"ゴミの処理よろしく"の合言葉。
相手は一言も言わずに電話を切った。いつものことだ。
それじゃあ、帰ろうか、そう思った時だった。
視線を、感じる。
紛れもなく"第三者"の。
しかも相当な手練だ。今まで気づかなかったなんて。
「だァれか、いる?」
にこりと笑ってバットで地面を軽く突く。
コン、と空虚な音が響くと、"第三者"は
「あら、気配消してたつもりなんたけどなぁ。いやーごめんね!覗き見する気なんてさらっさら無かったんだ!本当さ本当!ところで君、何してるのかな?」
拍子抜けしてしまった。
あっさりと出てくるわ、軽く変にふざけているような口調に。
それでも、その人物からは只者ではない何かを感じて、無闇に襲いかかれなかった。
相手の問いに答えず、ただ警戒して見ていると
「いやあ凄いねぇ、普通の人間がこんなことして平気な顔できてたらこの世の中はまさに終わりを告げている気がするよ。ま、どうでもいいんだけど」
と1人で騒がしい。
全く、変なモノに絡まれてしまった。
ゴミよりはマシ...だと思いたい。
「はぁ...頼むから静かな日常生活がしたい...」
なんだか頭痛がして呟くのだった。
_________For next???