第二章【不死の実感】
なんか早く書けたので投稿します。連続投稿出来るとは、この作品には、何かそういった早さみたいな物があるのかも知れないですね。
《少年》
僕の住んでいた町は、ある日突然、戦地になった。
父親と母親は僕の目の前で死に、僕は大怪我を負った。そのとき僕の頭に浮かんだのは、家に代々受け継がれている、対価を要求する代わりに願いを叶える『悪魔の壺』だった。
最終的には人間の魂を、要求する悪魔が入っている壺。
でもまだ死にたくなかった僕は、悪魔の壺を使った。
すると思わぬ対価を取られて、僕は死なない人間なってしまった。
■□■
「え? じゃあ、君は僕が最終的に魂を対価に要求する事を知っていたのかい?」
「ええ。まあ」
目の前にいる悪魔は、悪魔というよりは現代的な人間の姿をしていた。肌は少し白めの橙で、サングラスにアロハシャツ、口には火のついたタバコを加えている。どこからどうみてもふざけた格好だ。
「そっかーー。じゃあ。僕は今回、魂が手に入らない可能性もあるんだね」
「え? どういうことですか?」
「だから、君が願い事をしなければ死ねない体だからさ。僕は君が死にたいって思うまで、我慢比べ何だよね」
「え? じゃあ、死にたいっていう願いもありなんですか?」
「もちろん」
悪魔はそう答えると死にたくなったらいつでも言ってね~~と言って壺の中に消えた。
「よし。頑張って生きよう」
僕は強い意志を持ってそう自分に宣言した。
■□■
「でも本当に死なないのかな? それにここどこだろう?」
ちなみにボロボロだった服は、悪魔がサービスで出してくれた物を着ている。
そんな事を思いながら歩いていると、猫が道に飛び出し、そこにトラックが突っ込んできた。
「危ない!」
そう叫びながら猫を助けようとトラックの前に飛び出す僕。体は勝手に動いていた。猫を抱え上げ逃げようとするも、左から強い衝撃が襲い、体がはじき飛ばされる。
「がはっ!」
そのまま地面叩きつけられ、口から血を吐き、意識が遠のく。
あ、僕、死んだ。
…………。
だがしばらくすると意識が戻り、体を起こす。
「死んでない」
自分の体を見て僕は驚く。
「おい。坊主。大丈夫か」
トラックからオジサンが、下りて来る。
「はい。大丈夫です。打ち所が良かったみたいで」
「そうか。なら良かった。でもいきなり飛びだしてんじゃねぇぞ。あぶねぇからな。こんな事は、二度は無いぞ」
「はい。ご注意ありがとうございます」
そう言って猫を離し、立ち上がって走り出す。
(本当に死なないんだ。それより何であのオジサン僕の事、坊主って言ったんだろ?)
これは僕が、自分が不死であることを実感した出来事だった。