私の決意
まとめて書いてから投稿してます。珍しく書いているラブストーリーですから、割と不定期になるかもしれません。ほかにも小説書いてます。読んだ中で面白かった物にコメントとかしてくれたら、また書き始めるかもしれません。
「せーんぱいっ!偶然ですね。今帰りですか?」
私は校門に隠していた体を躍らせた。
「偶然、なのか?まぁ、構わないが…。」
歩き始めた先輩を駆け足で追いかけて隣に並んだ。
そうして、歩き始めたが、私たちの間に会話はなかった。
「そういえば、先輩と智先輩って、昔は親友同士だったんですよね?」
余りにも長い沈黙に耐え切れずにそう切り出したのはとある公園の前だった。
「智のことを知っているのか?」
先輩が驚いた顔でその場に立ち止まる。
「はい。少し、話していきませんか?」
私は公園のブランコを指さして答える。
「あぁ、構わないが。」
私は、ブランコに腰掛ける。
自販機でジュースを買っている先輩を待ちながら、話すことを考える。
足早に私の元に来る姿にホッコリする。
「私の中一の頃からの知り合いなんです。」
先輩もまた、横のブランコに腰を掛けている。
「そうなのか。」
「えぇ、中一ですから、智先輩が中三だった頃ですね。近くの家に住んでる人で、両親は昔から知ってたみたいです。昔から、智先輩は頭が良かったですから。」
初めて会った時の智はあまりにも、私と格が違った。
「あまりにも、中学に入ってから成績が落ちた私を心配した両親がたまたま町内会で一緒になった智先輩の両親に智先輩に家庭教師をしてもらえないかとお願いしたらしいです。まぁ、このことは、後々智先輩に聞いたんですけど。」
それからしばらくの間、全く笑わない智先輩に勉強を教えてもらっていた。
何を血迷ったのか、勉強を終えた後に智先輩に告白されたことを相談したりしていたのだ。
「そしたら、急激に学力が上がっちゃって…。しばらくは、智先輩からは自分の話をしてくれなかったんですけど。ある時から、話してくれるようになったんです。」
そう、いきなり、話を聞いてくれないかと言われたのが嬉しかったのを覚えている。
「その中には、先輩の名前もありました。だから、実は知っているんです。先輩の元カノさんの話とかも。」
その直後に、彼氏がいる女性を好きになってしまったと聞いて、私のテンションは下がったのだが。
「智がお前に相談していたのか。なら、なんで…。いや。」
「どれだけ聞いても、智先輩は本心は教えてくれなかったんです。だから、私はなにをしたくて先輩の元カノさん、佳奈子さんのことを抱いたのかわかりません。」
家庭教師に来るはずの日に、いつまでも現れない智を疑問に思った私は智の家に訪れた。
そこで見たものは、強盗が入ったのかと見紛うほどにぐちゃぐちゃに荒らされた部屋の真ん中にへたり込む、智の姿だった。
その時に多分、本当の意味で智に恋をしたのだ。
「それに、その件に関しては私が自分で調べたうえで智先輩に確認したので、本当にあっているかはわかりませんし。」
調べている先でたどり着いたのは、佳奈子だった。
そして、佳奈子に話を聞いたのだ。
私は智の後輩だというと簡単に真実を話してくれた。
自分の思いを含めて、すべてを。
「そうか、智の本心は智に聞かなければわからない、ということか。」
きっと、佳奈子は誰かに相談したかったのだと思う。
だからこそ、私に話してくれた。
「はい。」
ふぅ、と私は息をつく。
「この話をした理由、わかりますか?」
「脅すためか?付き合わないと言う、的な。」
私は、思わずジュースを吹き出した。
「そんな訳ないじゃないですか…。でも、それで付き合えるなら、それでも良かったかもしれませんね。」
私は口元を拭いながら、ニヤリと笑う。
「ならなんで、そんな話を持ち出したんだ?」
先輩のキョトンとした表情に愛らしさを感じる。
「先輩。いや、天見 冬弥!私は、ここに誓います。貴方を、私のモノにしてみせると!そして、貴方を決して、裏切りはしないと!」
ガバッと立ち上がった私は、天に拳を突き上げながら叫んだ。
いまだにキョトンとしている先輩に私は指を突きつける。
「わかりましたか!」
「は、はい!」
先輩もまた、ガバッと立ち上がった。
こっからは、私の恋の戦争だ。
智のたった一人の愛弟子たる私は、決して負けはしない。
そう、心の中で誓った。