プロローグ ~あなたが私に問うたこと~
R15タグを保険でつけさせていただきました。
そういった描写があるかは、今のところ未定です。
ご了承くださいませ。
〝ラティン、君は君であることの意味を知っているかい〟
いつかあなたが私に問うたその言葉を、微睡みの中私は今日も繰り返してる。
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大陸共通の神話であり信仰宗教の礎でもある『創四記』において語られる、国と人の始まり。
それは古き世、他の地とは切り離され海に浮かぶ楕円の大陸に、ナチュラホステ〈大女神〉が降り立つところから描かれる。
大女神はまず、広大な大陸を等しく分けるように十字に指でなぞると、それを形なき境界と定め、四つの種を蒔いた。
一つは銀の弓に、一つは岩の斧に、一つは空の珠に、一つは海の泡に。
種は見る間に芽を出し花を咲かせ実を結ばせると、大女神の歌に応えてそこから四人の神人が生まれた。
彼らは大女神の前に跪き、誕生した最初の息で運命を問う。
『我らが使命はいかに』と。
大女神は大陸を指差しそれぞれ四つの大地を治めよと告げ、彼らに不思議の力が宿った神器を授けた。
銀の弓より生まれし乙女には、神の理と医術の智慧が記された皮の本を。
岩の斧より生まれし智者には、創造の技術と鉱脈がもたらされる金の鍵を。
空の珠より生まれし淑女には、全ての植物と獣が育つ金剛の杯を。
海の泡から生まれし猛者には、水と和する心と海幸を与える銀の綱を。
大女神の命を受けた神人は大陸に散りその神器を以って力と成し、様々な困難を乗り越え国を生み、人の祖となった。それこそが、
騎士の王国・ランサルンア、
職工の皇国・タトアント、
農功の領王国・ユリアントレッタ、
水士の海統国・スファイアのはじまりである。
何もかもがはじめて尽くしで、恐々としております。
ですが、皆さまにほんの少しでも楽しんでいただけたら、どれほど幸せだろう。
と夢見ております。 どうか、よろしくお願いいたします。
君祈