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近頃はAIというものが流行っているようだ

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/09/27

 

 トラックに突っ込まれた僕は死んだ。

 目が覚めると女神様がいて、僕に一つの質問を投げかけてきた。


「これからあなたは転生をするのだけれど……実は少し悩んでいてね」

「悩み?」

「ええ。異世界転生をする人間には何かしらスキルを付与するのが決まりなのだけど、最近は人間界も発達してきているから下手なスキルよりは人間界の道具を持たせたほうが便利かなって思ってね」


 それもそうかもしれない。

 例えば剣と魔法の世界に転生したとして、微妙な魔力を貰うくらいなら銃でも持っていた方が役に立つ可能性だってある。


「そう。そうなのよ。ぶっちゃけた話をすれば魔王クラスのような魔力ならともかく、一般人が持つ魔力なんて大したことないのよね。例えば火を起こすのだってライター一つの方が何かと便利だし……単純な戦闘力にしても銃を持つだけでその辺の魔法使いや戦士より強くなっちゃうしね」


 女神様はうーんと悩んだ末に「あっ」と呟き微笑んだ。


「決めた。これにしよう。近頃人間界で流行っているこれに」 

「流行っている……?」


 僕はそこでとてつもなく嫌な予感を覚えた。


「サービスで使用するための電力などは魔力で変換できるようにしておくからね……で、あなたのスキルは――」



 *



 こうして転生した僕は今日も今日とて『君』に聞く。


「次の討伐依頼だがゴブリンを相手にしようと思う。ゴブリンの特徴を述べてくれ」

『ゴブリンですね。ゴブリンとは海に住む魔物の総称で姿形は一般的な魚と似たような姿をしております。特に警戒しなくてはいけないのは現実で言うカジキに似たツノ(上顎)で……』


 僕は舌打ちして言った。


「また適当述べやがって……ゴブリンは人型の魔物だろ?」

『大変申し訳ありませんでした。あなたのご指摘通りゴブリンは人型の魔物です。人間と比して圧倒的な巨体を誇り、棍棒を用いて……』

「おい。オーガと交じっていないか……?」

『度々のミスをどうかお許しください。ゴブリンとは……』


 またも続く過ちだらけの記述を見て僕は心底嫌になる。

 あのバカ女神……。


「AIは既存の情報から回答するんだよ……既知のないこの世界じゃ何に使うってんだ」


 今日も今日とて僕はAIなんかに頼らず自分の力で生きていく羽目になっていた。

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