第78話 風葬
崩壊した玉座の間。
瓦礫の中心。
魔王リベリオン•ゼノアと、シルヴァが向かい合っていた。
空間はすでに限界だった。
床は砕け。
柱は倒れ。
空は夜の闇に開かれている。
ゼノアの魔力が膨れ上がる。
炎が燃え上がる。
地面が隆起する。
侵食の闇が広がる。
雷が空を裂く。
六魔王すべての力。
その全てが一つの存在へ収束している。
ゼノアはゆっくりと言った。
「見事だった」
シルヴァを見つめる。
「人間がここまで来たことは称賛に値する」
風が吹く。
シルヴァは剣を握り直した。
ゼノアの瞳が鋭くなる。
「だが」
闇がさらに膨れ上がる。
「ここで終わりだ」
魔王の魔力が圧縮される。
炎。
岩。
雷。
侵食。
闇。
すべてが一つへ集まる。
巨大な黒い球。
空間が歪む。
ミルスが息を呑む。
「……あれは」
ティナが歯を食いしばる。
「魔王奥義」
クジャが小さく呟く。
「最後のやつだね」
ゼノアが言う。
「終焉」
その球が放たれた。
空間を飲み込む闇。
それはもはや魔法ではない。
災害だった。
だが。
風が吹いた。
シルヴァの周囲で風が渦を巻く。
竜巻。
嵐。
空気が震える。
シルヴァが低く言った。
「終わらせる」
剣を構える。
風が刃へ集まる。
ゼノアが笑う。
「それか」
シルヴァの声は静かだった。
「これで終わりだ」
風が爆発する。
巨大な竜巻。
天へ届く風。
剣が振り下ろされた。
「風葬」
竜巻の刃が闇へ衝突する。
ドォォォォォォォン!!
衝撃。
空間が裂ける。
魔王の奥義と神の風が激突する。
瓦礫が吹き飛ぶ。
城の塔が崩れる。
風が闇を削る。
闇が風を押し返す。
均衡。
だが。
ゼノアの魔力が膨れ上がる。
闇が押し返す。
シルヴァの足元が砕ける。
血が流れる。
だが剣は止まらない。
その時。
光が爆発した。
ティナだった。
「押し切れ!!」
光が風へ重なる。
クジャがカードを投げる。
「♦︎♣︎♥︎♠︎!」
カードが爆発する。
三つの力が一つになる。
シルヴァが叫ぶ。
「うおおおおお!!」
風が暴れ狂う。
竜巻が巨大化する。
そして。
闇が裂けた。
魔王の奥義が崩壊する。
竜巻の刃がゼノアへ直撃する。
ドォォォォォォォン!!
魔王の身体が吹き飛ぶ。
壁を突き破る。
空へ叩き出される。
シルヴァは風を踏み、跳んだ。
ゼノアの前。
剣を振り上げる。
ゼノアが小さく笑った。
「見事だ」
そして。
剣が振り下ろされた。
風が魔王を包み込む。
巨大な竜巻が天へ昇る。
その中心で。
魔王の身体が崩れていく。
ゼノアは最後にシルヴァを見た。
「神の子」
静かな声。
「いい時代になる」
闇が消える。
風が静まる。
魔王リベリオン•ゼノアの身体は光となり、消滅した。
静寂。
瓦礫の中。
風だけが静かに流れていた。




