第77話 神と魔王の本質
崩壊した玉座の間。
天井は砕け、夜空が露出している。
瓦礫の中央で――
魔王、リベリオン•ゼノアはまだ立っていた。
胸には深い傷。
血が静かに滴っている。
それでも。
魔王は倒れない。
ゼノアはゆっくりとその傷に触れ、小さく笑った。
「見事だ」
静かな声。
「ここまで私に傷を刻んだ者は久しい」
シルヴァは剣を構えたまま動かない。
風が彼の周囲で静かに唸っている。
ティナとクジャも息を整えていた。
ミルスは壁にもたれながら魔王を見つめている。
ゼノアはゆっくりと言った。
「だが」
その瞳が深く輝く。
「まだ終わりではない」
次の瞬間。
闇が膨れ上がった。
魔王の魔力が空間を満たす。
炎が燃え上がる。
地面が震える。
侵食の闇が床を這う。
雷が空間を裂く。
六魔王の力。
その全てが再び暴れ始めた。
ティナが小さく息を吐く。
「……本当にしぶといわね」
クジャが肩をすくめる。
「さすがラスボス」
ミルスは静かに言う。
「当然よ」
ゼノアが口を開く。
「魔王とは」
その声は、静かで重い。
「神と同格の存在」
風が揺れる。
炎が燃える。
「神は秩序」
「魔王は自由」
ゼノアの瞳がシルヴァへ向く。
「だから神は対抗存在を作った」
シルヴァは何も言わない。
ただ剣を握る。
ゼノアが続ける。
「神の子」
風が強くなる。
「お前だ」
その瞬間。
ゼノアの姿が消えた。
空間転移。
シルヴァの目前。
拳。
ドォォォォォン!!
衝撃。
シルヴァが吹き飛ぶ。
瓦礫へ叩きつけられる。
ティナが叫ぶ。
「シルヴァ!」
クジャがカードを構える。
だがゼノアは止まらない。
炎。
巨大な火球。
ティナが光で切り裂く。
その瞬間。
侵食が広がる。
黒い闇が床から噴き出す。
クジャが跳ぶ。
「うわ、それ本当に嫌い!」
雷が落ちる。
床が砕ける。
そして。
闇の刃。
巨大な刃が三人へ迫る。
その時。
風が吹いた。
ドォォォォォン!!
闇が吹き飛ぶ。
瓦礫の中から、シルヴァが立ち上がった。
血が流れている。
それでも目は揺れていない。
ゼノアが笑う。
「いい」
シルヴァが剣を握る。
風が強くなる。
空気が震える。
そして静かに言う。
「終わらせる」
ゼノアも構えた。
闇が膨れ上がる。
炎が燃え上がる。
神の風。
魔王の闇。
ついに。
最後の衝突が始まろうとしていた。




