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風葬のシルヴァ  作者:
第五章 魔王軍隊長
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第62話 中央塔の亡骸

 中央塔の扉がゆっくりと開いた。


 軋む音が、静まり返った広間に響く。


 最初に足を踏み入れたのはシルヴァだった。


 白い髪が揺れる。


 その背後にティナ、クジャ、ミルスが続く。


 そして――


 シルヴァの足が止まった。


 視線の先。


 広間の中央。


 そこに、一人の男が倒れていた。


 ラース。


 床に広がる血。


 氷の魔力がまだわずかに残っている。


 だが。


 もう動かない。


 シルヴァは何も言わず歩いた。


 一歩。


 また一歩。


 そして、ラースの前で止まる。


 しばらく沈黙が続いた。


 ティナが小さく呟く。


「……ラース」


 ミルスも表情を変えないまま言った。


「核が抜かれている」


 クジャは視線を上げる。


「……いるね」


 その先。


 広間の奥。


 ジェネシスが立っていた。


 黒い衣は裂けている。


 胸には深い斬傷。


 血がまだ流れていた。


 だが、倒れてはいない。


 ジェネシスは静かに言う。


「遅かったな」


 シルヴァは答えない。


 ただラースを見ている。


 ラースの拳はまだわずかに握られていた。


 まるで最後まで何かを掴もうとしていたように。


 シルヴァは目を閉じた。


「……」


 そしてゆっくり立ち上がる。


 振り返らない。


 ただ一言だけ言った。


「ミルス」


「分かってる」


 ミルスは静かにラースの瞼を閉じた。


 クジャがぽつりと呟く。


「兄弟って、やつ?」


 ティナがクジャの肩を軽く叩いた。


「今それ言う?」


「いや……」


 クジャは視線を落とす。


「なんかさ」


「最後まで似てなかったなって思って」


 シルヴァはまだ振り向かない。


 そしてゆっくり言う。


「似てねぇよ」


 その声は静かだった。


 怒りでも悲しみでもない。


 ただ冷たい。


 ジェネシスが一歩前に出る。


「安心しろ」


「彼は強かった」


 シルヴァが顔を上げた。


 初めてジェネシスを見る。


 その瞳には感情がない。


 ただ戦士の目だった。


 ジェネシスは続ける。


「第二」


「第五」


「第六」


 三つの核が、ジェネシスの体内で淡く光る。


「回収した」


 ティナの表情が変わる。


「……三つ?」


 ミルスが低く言う。


「つまり今ジェネシスは」


「四核に近い力を持っている」


 クジャが苦笑する。


「それ、ラスボス前の敵としては強すぎない?」


 ジェネシスは少しだけ首を傾けた。


「そうか?」


 次の瞬間。


 闇のオーラが爆発した。


 中央塔の床が砕ける。


 壁の魔法紋様が激しく光る。


 ティナが剣を抜く。


「来る!」


 シルヴァが前に出る。


 風のオーラが広がる。


「ジェネシス」


 ジェネシスは静かに言った。


「第三魔王の核」


「それも回収する」


 その言葉にミルスの目が細くなる。


「やってみなさい」


 次の瞬間。


 ジェネシスが消えた。


 空間転移。


 シルヴァの背後。


 ドン!!


 衝撃波。


 シルヴァは剣で受ける。


 床が砕ける。


 ティナが踏み込む。


「閃光斬!」


 光の斬撃。


 ジェネシスが空間を歪める。


 クジャがカードを投げる。


「♣︎」


 カードが爆発する。


 ミルスが魔法陣を展開。


「氷牙結界!」


 氷の槍が一斉に放たれる。


 ジェネシスは後退した。


 広間の中央に着地する。


 胸の傷から血が流れる。


 だが。


 笑っていた。


「いい連携だ」


 シルヴァが剣を構える。


「当然だ」


 風が吹く。


 中央塔の空気が変わる。


 シルヴァの背後で風のオーラが渦巻く。


「ここからが本番だ」


 ジェネシスの目が細くなる。


「そうだな」


 闇の魔力がさらに膨れ上がる。


 中央塔の戦いが、始まった。

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