第60話 雷神の終幕
魔王城・西塔。
屋根の吹き飛んだ広間から、夜空が見えていた。
瓦礫の中で向かい合う二人。
シルヴァ。
ディーン。
互いに呼吸が荒い。
だが、二人の目はまだ戦いを求めていた。
ディーンが笑う。
「はは……」
血を拭う。
「やっぱり強いな」
シルヴァは剣を構えたまま言う。
「お前もだ」
ディーンはゆっくり剣を掲げる。
雷が集まる。
空が光る。
凄まじい電光。
西塔の空間が震える。
シルヴァの目が鋭くなる。
「……大技か」
ディーンが言う。
「最後だ」
雷が剣に集中する。
「雷神終断」
巨大な雷が剣に落ちる。
シルヴァは剣を握り直した。
風が集まる。
広間のすべての風が、刃へと集まっていく。
空気が震える。
ディーンが笑う。
「来い」
シルヴァが踏み込む。
「終わらせる」
二人が同時に動いた。
雷。
風。
凄まじい速度。
ディーンが叫ぶ。
「雷神終断!!」
巨大な雷撃が放たれる。
その中心へ。
シルヴァが突っ込む。
風が爆発する。
「天風創断」
次の瞬間。
風の刃が雷を裂いた。
ザァァン!!
雷が二つに割れる。
ディーンの目が見開かれる。
そして。
シルヴァの剣がディーンの胸を斬り抜けた。
静寂。
雷が消える。
ディーンは数歩よろめいた。
膝をつく。
剣を地面に突き刺す。
「……負けたか」
シルヴァは剣を下ろす。
ディーンは小さく笑う。
「やっぱりな」
空を見上げる。
「お前は」
「ここまで来る男だ」
シルヴァは言う。
「まだ戦うか」
ディーンは首を振る。
「いや」
剣を下ろす。
「ここまでだ」
ゆっくり立ち上がる。
「行け」
シルヴァを見る。
「魔王のところへ」
シルヴァが聞く。
「いいのか」
ディーンが答える。
「俺は」
「ここで役目を終えた」
少し笑う。
「それに」
振り向く。
「魔王を倒せるのは」
「お前しかいない」
ディーンはゆっくりと歩き去った。
雷のオーラが遠ざかっていく。
西塔に静寂が戻る。
その時だった。
空間が歪む。
黒い魔法陣。
そこから現れたのは――
白髪の男。
ジェネシス。
魔王軍参謀。
そして魔王の側近。
ジェネシスはゆっくり拍手した。
「見事だ」
シルヴァの目が鋭くなる。
ジェネシスは微笑む。
「だが」
空気が重くなる。
「ここからが本番だ」




