第59話 雷神
魔王城・西塔。
崩れた柱の間で、雷が唸っていた。
ベルーゼの亡骸はすでに床に横たわっている。
その前に立つ二人。
シルヴァ。
そして――
ディーン。
元勇者パーティの戦士。
今は魔王軍第一隊長。
ディーンはゆっくり剣を肩に乗せた。
「やっぱりお前だったか」
シルヴァは剣を構える。
「闘技場以来だな」
ディーンが笑う。
「ああ」
「その時は戦えなかった」
雷が身体を走る。
「だから」
剣を抜く。
「今日は思いっきりやれる」
シルヴァが答える。
「望むところだ」
次の瞬間。
ディーンが踏み込んだ。
雷鳴。
目で追えない速度。
剣が振り下ろされる。
シルヴァが受ける。
ガァン!!
衝撃。
床が砕ける。
ディーンが笑う。
「いいな」
雷が爆発する。
シルヴァが距離を取る。
ディーンが剣を振る。
「雷刃」
雷の斬撃。
シルヴァが横へ跳ぶ。
壁が爆発する。
シルヴァが踏み込む。
「風牙」
斬撃。
ディーンが剣で受ける。
キィン!!
ディーンが言う。
「やっぱり強い」
シルヴァが答える。
「お前もな」
次の瞬間。
ディーンのオーラが膨れ上がる。
空気が震える。
雷が広間を満たす。
シルヴァの目が鋭くなる。
「……来たか」
ディーンの背中に雷の翼が現れる。
魔神化。
凄まじいオーラ。
ディーンが笑う。
「本気だ」
シルヴァの周囲にも風が渦巻く。
白い髪が激しく揺れる。
シルヴァが言う。
「俺もだ」
次の瞬間。
雷と風が衝突する。
ドォォォォン!!!
広間が崩れる。
柱が倒れる。
ディーンが叫ぶ。
「雷神斬!!」
巨大な雷の斬撃。
シルヴァが剣を構える。
風が集まる。
「風盾」
風壁。
だが。
バァン!!
雷がそれを破壊する。
シルヴァが後退する。
ディーンが笑う。
「防げないか」
シルヴァが剣を握る。
「……いい」
風が一気に集中する。
剣にすべての風が集まる。
ディーンの目が細くなる。
「その技」
シルヴァが踏み込む。
空気が裂ける。
「天風創断」
巨大な風の斬撃。
ディーンが剣を振る。
「雷神斬!!」
雷と風。
二つの力が激突する。
ドォォォォォン!!!
西塔の屋根が吹き飛んだ。
煙が広がる。
そして。
二人は同時に距離を取る。
ディーンが笑う。
「いい」
血を拭う。
「やっと本気で戦える」
シルヴァが言う。
「ここからだ」




