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風葬のシルヴァ  作者:
第五章 魔王軍隊長
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第58話 ジョーカー

 魔王城・東塔。


 広間の空気はすでに歪んでいた。


 クジャの眼帯が外れた瞬間、魔力の質が変わったからだ。


 ベルフィリアはその変化を見逃さなかった。


「……そう」


 目を細める。


「あなた、ただの魔術師じゃないわね」


 クジャは指の間でカードを回す。


「さあ」


「どうかな」


 ベルフィリアが笑う。


「その目」


「魔王の儀式の残骸ね」


 クジャの表情が一瞬だけ変わる。


 だがすぐに戻る。


「詳しいね」


 ベルフィリアは剣を構えた。


「当然よ」


「私もその研究に関わっていたから」


 その言葉に、空気が一瞬凍る。


 クジャの右目がわずかに光る。


「……そう」


 ベルフィリアが踏み込む。


 闇のオーラが爆発する。


 剣が振るわれる。


 ザン!!


 床が裂ける。


 だが。


 クジャはそこにいなかった。


 ベルフィリアの背後。


 ヒュン!!


 カードが飛ぶ。


 ベルフィリアが振り向く。


 キン!!


 カードを弾く。


 だが。


 次の瞬間。


 カードが爆発した。


 ドォン!!


 煙が広がる。


 ベルフィリアが跳び退く。


 肩から血が流れる。


「……爆発札」


 クジャが笑う。


「正解」


 カードが空中に舞う。


「トランプは色々できるんだ」


 ベルフィリアの笑みが消える。


「小細工ね」


 闇が膨れ上がる。


 背中から黒い翼が生えた。


 魔神化。


 広間の空気が重くなる。


 ベルフィリアが言う。


「ここからは」


「逃げられないわよ」


 闇の槍が無数に生まれる。


 床。


 壁。


 天井。


 すべてが闇の武器になる。


 クジャは静かにカードを握った。


「やっぱり」


 右目が光る。


「見える」


 次の瞬間。


 闇槍が一斉に襲う。


 だが。


 クジャはすべてを避けた。


 紙一重。


 ベルフィリアの目が見開かれる。


「……何で」


 クジャが答える。


「未来」


 カードを投げる。


「少しだけ」


 ベルフィリアが叫ぶ。


「ふざけるな!!」


 闇の魔力が爆発する。


 巨大な槍が形成される。


「魔葬槍!!」


 広間を覆う闇の槍。


 クジャに向かって落ちる。


 だが。


 クジャは動かない。


 一枚のカードだけ持つ。


「これで終わり」


 カードに魔力が集まる。


 ベルフィリアの顔が歪む。


「……何それ」


 クジャが言う。


「ジョーカー」


 カードを投げた。


 ヒュン。


 その瞬間。


 空間が裂けた。


 ザン!!


 闇槍が消える。


 ベルフィリアの身体が斬り裂かれる。


 静寂。


 ベルフィリアは数歩よろめく。


 血が床に落ちる。


「……嘘」


 クジャはカードを戻す。


 ベルフィリアは膝をついた。


「こんな……」


 クジャを見る。


「子供に……」


 クジャは言う。


「子供じゃない」


 ベルフィリアは少し笑った。


「そうね」


 ゆっくり倒れる。


 ドサッ。


 魔王軍第三隊長ベルフィリア。


 ここに死亡。


 クジャはゆっくり眼帯を戻した。


「……副作用きついな」


 その時。


 遠くから雷鳴が響いた。


 西塔。


 シルヴァの戦い。


 クジャが小さく笑う。


「ディーン戦」


「始まってるね」


 少女は静かに走り出した。


 魔王城の奥へ。

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