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風葬のシルヴァ  作者:
第五章 魔王軍隊長
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第53話 太陽の剣

 魔王城・灼熱の中庭。


 赤い石で作られた広場の中央に、二人の女が向かい合っていた。


 ティナ。


 そして――魔王軍第四隊長、ゼルシア。


 空気は張り詰めている。


 遠くから聞こえる戦闘音が、かえって静寂を際立たせていた。


 ゼルシアはゆっくりと剣を構える。


 その赤い髪が、風に揺れた。


「まさか、こんな形で会うとはね」


 ティナは肩を回しながら言う。


「闘技場で会ったときは、まさか敵になるとは思ってなかったわ」


 ゼルシアは薄く笑った。


「私は思っていた」


「光の戦士は、いずれ魔王軍の敵になる」


「そういうものだ」


 ティナは小さく息を吐く。


「まあ、そうよね」


 剣を握り直す。


 次の瞬間。


 ゼルシアの姿が消えた。


 ドン!!


 衝撃音。


 ティナの剣とゼルシアの刃がぶつかる。


 火花が散った。


 ゼルシアの目が細くなる。


「反応は悪くない」


 ティナが言い返す。


「そっちもね!」


 キィン!!


 剣が何度もぶつかる。


 高速の斬撃。


 剣筋は鋭い。


 重い。


 ゼルシアの剣は、ただ速いだけではない。


 圧力がある。


 ドン!!


 ティナが後ろへ飛ぶ。


 床に着地する。


 ゼルシアは静かに言った。


「驚いた」


「思ったより強い」


 ティナは苦笑する。


「それ、褒めてる?」


「事実を言っているだけ」


 ゼルシアの剣に赤い光が集まる。


 オーラ。


 炎のような力が刃を包む。


「だが」


「ここまでだ」


 次の瞬間。


 ゼルシアが地面を蹴る。


 爆発的な速度。


「太陽斬!!」


 巨大な斬撃が放たれる。


 ドォン!!


 地面が割れる。


 だが――


 ティナは横へ跳んでいた。


「危なっ」


 そのまま剣を振る。


「閃光斬!」


 光の刃が走る。


 ゼルシアは剣で受け止めた。


 ギィィン!!


 衝撃。


 二人は同時に距離を取る。


 しばらく沈黙。


 ゼルシアが言う。


「なるほど」


「確かに光の戦士だ」


 ティナが肩をすくめる。


「今さら?」


「いや」


 ゼルシアのオーラが膨れ上がる。


「ここからが本番だ」


 空気が震えた。


 圧倒的な魔力。


 地面の石が浮く。


 ティナの顔つきが変わる。


「……来た」


 ゼルシアの背中に、赤い翼が現れた。


 魔族の力。


 魔神化。


 禍々しいオーラが広がる。


「これが」


「魔王軍隊長の力」


 ティナは笑う。


「いいじゃない」


 剣を強く握る。


「その方が楽しい」


 ティナの身体から、光のオーラが溢れ出す。


 金色の光。


 周囲の空気が震える。


 ゼルシアの目が鋭くなる。


「……光の覚醒」


 ティナは剣を構えた。


「行くわよ」


 二人が同時に動く。


 ドン!!


 衝撃。


 空気が裂ける。


 ゼルシアの剣が振り下ろされる。


「太陽十字斬!!」


 巨大な十字の斬撃。


 ティナは正面から突っ込む。


「光衝剣!!」


 バァン!!


 斬撃が衝突する。


 光と炎。


 二つの力がぶつかる。


 爆発。


 煙が広がる。


 そして――


 煙の中から飛び出したのはティナだった。


「これで終わり!」


 剣に光が集まる。


 最大出力。


 ゼルシアが目を見開く。


「閃光・極光斬!!」


 ドォォォン!!


 光がゼルシアを飲み込んだ。


 爆発。


 静寂。


 煙が晴れる。


 ゼルシアは地面に膝をついていた。


 剣を支えに立つ。


 息が荒い。


 ティナは剣を下ろす。


「……まだやる?」


 ゼルシアはしばらく沈黙していた。


 やがて小さく笑う。


「いや」


「ここまでだ」


 剣を下ろす。


「私の負けだ」


 ティナは驚いた顔をした。


「え、あっさり?」


「戦いは勝敗がすべて」


 ゼルシアは立ち上がる。


「そして今、私は勝てない」


 少しだけ笑った。


「いい戦いだった」


 ティナは苦笑する。


「……それならよかった」


 遠くから戦闘音が聞こえる。


 魔王城の別の場所。


 シルヴァ。


 クジャ。


 ミルス。


 それぞれの戦いが続いている。


 ゼルシアは空を見上げた。


「だが」


「まだ終わりじゃない」


 ティナが聞く。


「どういう意味?」


 ゼルシアは静かに言った。


「この城の奥には」


「本物の怪物がいる」


 その言葉は、重かった。

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