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【完結】どくはく  作者: 春風由実


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あなたの告白②


 両親に愛されず、いないものとされ育った少女。

 その両親が妹を大事に大事に育てている様子は、同じ邸で見せ付けられて。

 家族で唯一令嬢に接する祖父からは、称賛と共に大量の仕事を与えられていた。

 救いになりそうなおそらくは常識を持つ祖母もまた、お茶会だのに忙しく過ごして、少女を気に掛けることがない。


 当時彼女の周りにいたのは、仕事をする彼女を支えるためにある大人たちか、あるいは優秀になることを強く期待する教師たちだ。

 妹以外に子どもとの接触はある時期まではまったくなく、子どもらしく遊ぶ時間を取りたいなんてことを思ったことすらないのではないか。

 たとえ考えたことがあったとして、あの仕事の量では叶うこともなかっただろう。

 


 そんな境遇で育った女の子と聞いて、君はどういう人物象を想像する?


 ここで一般論を語るのは狡いな。


 でもそうだね。

 多くの人はそう考えることだろう。


 そこに幼稚な私も含まれてしまった。

 出会いの話になると、情けないことに彼女の言葉にはまったく反論出来ない。


 これは今でも泣きたくなるほど悔しくて、過去に戻って当時の私を叱り飛ばしたいところだ。



 愛に飢えて育ったからには、愛を強く欲している。

 私はその想像を何の疑いもなく、出会う前の彼女に押し付けた。


 自分に自信がなくて、酷く弱弱しい、誰からも庇護欲を誘うような、そんな脆くも壊れそうな令嬢が現れるものとして、どういう風に寄り添えばいいかなんて事前に戦略も練っていたんだ。


 なんて失礼なことをしていたのかと今は思うよ。



 彼女が親に愛されなかったこと、これは事実だ。

 されど親に愛されなかった子どもが、親の愛をいつまでも求めているかと言えば、そこに確実性はない。

 それぞれに個性があって、親に見向きもされない子どもが一様に育つはずもなかった。


 当時の私がもう少しでも深く考えられていたら。

 それはいつも悔むところだ。


 初対面のあのときの驚きを、きっと私は上手く隠せていなかったからね。

 そのせいで当時の彼女に、その程度の人間と評されてしまったのだよ?


 それは後悔するよ。

 今でも引き摺っているからな。


 ただひとつ、あの日の自分を褒められる点もある。

 本人を目のまえにしてもなお現実を捻じ曲げて、自分が勝手に想像していた通りの人格を押し付けるような、そういう愚かな振舞いはせずに済んだことだ。

 そこまでしていたら、彼女の中で私は、生涯信用に値しない人間の部類に入れられいたことだろう。


 これでは今も親密になるどころの話ではなくなっていたよ。


 たとえ選ばれた未来は変わらず、共に生きていくことになっていたとして。


 よく知らない人として、どうでもいい扱いをされていただろうな。


 彼女に知りたいと望んでも貰えない人生、想像することも嫌だね。








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