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目覚め

掲載日:2025/06/13

私は最近、「目覚めたい!」と思うようになった。

何に目覚めたいのかは、よく分からない。


才能に?

仕事への意欲に?

それとも、目標を見つけること自体を「目覚め」と呼んでいるのか。


どうしてこんな思考が浮かぶようになったのかは分からない。

でも、“きっかけ”だけは、はっきりしている。


――この前、酔っ払って電柱に頭をぶつけた時からだ。


ただ、酔っていたせいか、それから今日までのことは、どこか霞がかかったようで。



試しに、絵を描いてみた。

芸術に目覚めるかもしれないと思ったからだ。


キャンバスと絵の具を買い、花瓶をモデルに描き始めたが、まったく上手くいかない。

描けない自分にイライラしてくる。

……これじゃあ、息子のほうがよっぽど上手い。


次に、歌を歌ってみた。

しかし、家族の反応は「聞くに耐えない」だった。

頑張ったつもりだったのに。


じゃあ、スポーツなら?

まずは持久力を測ろうと、ランニングに挑戦。

だが、2kmも持たずに足が攣った。どうやら、走るのも向いていないらしい。


じゃあ、走らないスポーツをやってみよう。

思いついたのはゴルフ。


……結果は散々だった。

土ごと抉る、池に落とす、林に打ち込む、そして最後にはボールがどこかへ消えた。

――スポーツ全般、無理らしい。


それなら文章を書いてみよう。

ペンと紙さえあれば、どこでもできる。

川辺に行き、思いつくままに書き始める。


……これは、楽しい。

私には、これが合っているのかもしれない。


これが、「目覚め」なのか。



目が覚めると、そこはベッドの上だった。

周囲では、家族が心配そうに私を見ていた。

さっきまで、いろんなことをしていたはずなのに。

なぜベッド? ここは……病院?

部屋の隅には、医者らしき人の姿も見える。


後で聞くと――

電柱に頭をぶつけてから、ずっと意識がなかったらしい。


けれど、夢ってバカにできない。

だって私は、あの電柱と引き換えに、“書くこと”に目覚めたのだから。

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