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第伍話 神々の箱庭(カムイ・ミンタラ)

 この世界の名はカムイ・ミンタラ。アイヌ語で“神々の箱庭”という意味だ。何故アイヌ語なのかっていうと、特に意味は無い。当時聴いていた平沢進の曲からパクっただけだ。


 そのカムイ・ミンタラを魔族のものにしてしまおうと暗躍する“魔王ドルパゴス”を討つために立ち上がったのが勇者アルフレッド・ザン・社。それ以下でもそれ以上でも捻りも無いオーソドックスな物語が「エターナル・サーガ」なのだ。言ってしまえば、人生経験の浅い中学生がドラクエやFFの受け売りで書いた、実に薄ぅーいお話だ。しかも途中で投げ出して未完のまま終わっている。


 ドラゴンを倒した勇者一行がこちらへと歩いてくる。


「あ、アルフ!私、今レベルが上がったわ。素早さと賢さが3増えたみたい!」


 と、マナフレア。

 やめろおおお!登場人物がレベルとかステータス数値の話をするな!!それはゲームのプレイヤーだけが解るメタ視点のものなんだよ!ってそんな設定にして書いてたのは俺かぁぁぁっ!!


「あの人間、のたうち回ってるメカ。やっぱりどこか怪我でもしてたメカ?」


 メカ娘ペトルーシュカが転げ回る俺を指さす。何だそのメカって語尾は。ああ、これは「デモンベイン」の影響だ。中二病を患った者はほぼアレを通るからな!


「旅のお方、僕はアルフレッド。魔王を倒すために旅をしています。この辺りは魔物の生息地ですので、近くの町までお送りしましょう!」


 アルフレッドは片膝を突き、屈託の無い笑顔で俺に右手を差し伸べる。そうだ。こいつは清廉潔白なヒーローとして設定したキャラクターだった。だのに、こんなダサいデザインに描いてしまい、申し訳なくなる。


「あ、危ない所を助けていただき、ありがとうございました。私はサタン・ノブオといいます」


 アルフレッドの手を取り、礼を言い、名を名乗る。最低限の誠意は見せねばな。今の俺はもう大人なのだから。


「あら?アルフ、その人、靴を履いていないわ」


「確か余っているレザーブーツがあったはず……アイテムボックス!」


 あ、アイテムボックス!どういう原理か特に説明も無く付けたシステム!とにかくコレを書いた頃の俺は“ゲームにはよくある設定だから”くらいの理由でこういうものを設定しま くっていた!!冷静に考えればおかしいだろ、ゲーム世界に入り込んだわけでもない“現地の人”がメタ要素だらけのゲーム的システムを使いまくるのはー!!


 と、心の中で過去の俺にツッコミを入れつつ、俺はアルフレッドたちに、近くの町へと送ってもらう事になった。

 その間、モンスターとのエンカウントする毎に、過去の俺が考えた敵のデザインや技や魔法や台詞やらのネーミングの痛々しさに俺は精神をボロボロにされたのは言うまでも無い。

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