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第弐話 永遠の神話(エターナル・サーガ)

 俺は目覚めた。しかし、視界には何も映らない。部屋の外を走る車の音も聞こえず、洗ってない枕から漂うおっさんの匂いもしない。おまけに肌が衣服や寝具に触れている感触すら無いじゃねえか。だが、意識はある。

 変な夢でも見てるのか?


『夢ではないさ』


 ふと、聞こえる男の声。何となくだが声優の杉田智和に似ている。


『聞こえているわけでもないぞ。お前は俺っちの声をアストラルで“感じて”いるのだ。何故ならお前には、もう五感も肉体も無い。死んで魂だけがここにあるのだからな!』


 何だ?何を言っていやがるんだ、こいつは。それに、俺が死んだだと!?


『佐丹信雄、お前は度重なる疲労とストレスによる限界の体で実家から届いた黒歴史ノー トを見て、トドメを刺されたのだ。死因は過労死+悶死ってところだな』


 何だ、その馬鹿げた死に方は。確かに死ぬほど恥ずかしかったが、実際に死ぬやつがあるか!


『さて信雄よ、27歳の若さで失ったその命をどうするか、お前に選ばせてやる。このまま消滅して、次の生命体へと再構築される輪廻─要は現世で別の生き物に生まれ変わるか。はたまた生前の記憶を持ちながら異なる宇宙ユニバースで生前の体に再構築─つまり異世界転生するかを!』


 異世界転生!?死んで神様らしき人物からそう告げられる……そんなWeb小説におけるテンプレ展開みたいな事が有り得るのか!?


『因みに次にお前が現世で生まれ変わる予定の生き物は、シロワニという鮫だ』


 サメかぁ……海の覇者として悠々と泳ぐのも悪かないかもな。


『そしてシロワニは母親の胎内で共食いをする生態が有名で、お前も他の兄弟に食べられて死ぬ可能性がある』


 生まれ変わるどころか、生まれる前に死ぬかもしれねえのかよ!アホか!……じゃあ、答えは決まりだ。


『異世界転生を選んだか。承った!』


 すると、俺の体が構築され、五感が戻ってくるじゃないか。


『創造神ヤンセ・ライマンの名に於いて命ずる。サタン・ノブオの魂よ、新たな肉体を以て異界の地に転生せよ!!』


 俺の視界に映る神―ヤンセ・ライマンの姿はピンク色の髪をした、高級そうな背広スーツを着た、俺と同年代くらいの男だった。思ってた神様像とはだいぶ異なる。


『汝が赴きし宇宙の名はカムイ・ミンタラ(神々の箱庭)……彼の地で紡がれし“永遠なる神話(エターナル・サーガ)”なり!!』


 ヤンセが右手で親指と中指を弾いて鳴らすと、俺の意識は再び暗転した。気のせいだろうか。奴が最後に不穏な単語を口にしたのは……

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