episodeⅢ
僕は自宅を出ると、村にある、一軒家を訪ねた。
「スサノおじさん」
一軒の家の前で、斧を用いて薪を切る大男に声を掛ける。
「おう、アルフか。どうした?」
顔に髭と傷が目立つ大男。村一番の戦士スサノ。父とも親しく、気さくな性格から村の人気者でもある。因みにチェーンソーすら存在するこの世界で、わざわざ斧による薪割りをしているのは鍛錬を兼ねているからだとか。
「戦い方を……武器の使い方を教えて欲しいんだ」
僕は彼に、用件を伝えた。
「……戦うって、モンスターとか?」
その問いに首青する僕を、おじさんはじっと見つめる。
「本気の目だな。何があった」
僕はおじさんに、魔王との戦いについて話す。この世界が物語の中だとか、僕が創造主の分身だとか、バッドエンドから戻ってきたとかは勿論伏せて、だ。
「社一族が特別な力を持ってるってのは、俺も聞いたことはある。アルバート……お前の父さんも、本気で鍛えれば俺より強い戦士になる素質はあるくらいだ」
父であるアルバート・ゼン・社は、若い頃までスサノおじさんと組んで冒険をしていたらしいが、母さんと出会ってから堅実に働き始めたらしい。
「お前も、鍛えれば確かに強くなるかもしれねえ。だが、アルバートがお前を戦士にしなかったのは、お前を大事に思っているからだ。俺に、親友の思いを無碍にしろってのかい?」
「僕が、戦わなきゃ駄目なんだ」
おじさんは再び僕と目を合わせた。
「……参ったな。若い頃の俺達と同じ目をしてやがる。……アルバートにゃ悪いが、俺はお前の可能性ってやつを見てみとうなったぜ」
おじさんは、そう言うと家の中に入っていった。そして、数分で出てきた。両手にあるものを把持して。
「ついてこい、アルフ。お前に戦い方を教えてやる」
おじさんが持っていたのは、鞘に収められた二振りの木剣だった。僕は村の外れに歩いて行く、その大きな背を追い掛ける。
「はいっ!」
と、返事をしながら……




