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第拾弐話 暗黒の四柱(ダーク・フォースメン)

獣神烈覇拳(サンダー・ライガー) ツ!!」


 突如、人の頭部ほどもある巨大な握り拳が、ジークハルトの逞躯を殴り飛ばした。拳の主は、腕だけでなく本体も巨大な、白い体毛に全身を包んだ獅子頭の獣人。


「覇獣侯ハークレス、参上!!」


 ハークレスと名乗った獣人は、周囲の大気を揺るがさんばかりの咆吼を上げる。


「新手のモンスターだと!?」


 アルフレッドは剣を構え、ハークレスへと向かってゆくが………


「貴殿の相手は私が致そう、勇者どの」


 と、アルフレッドの剣を槍の柄で受け止める男がハークレスと同様、無からいきなり現れた。


「魔槍伯コホリーン、見参!!」


 コホリーンは甲冑姿で端正な顔に口髭を蓄えた、騎士然としたイケオジだった。


冥孔穿突牙(アビス・スティンガー)!!」


 ドリルの如く回転する槍の刺突に、アルフレッドの体は先ほどのジークハルトよろしく吹っ飛ばされた。


「大魔王様、ご無事ですか」


 コホリーンとハークレスは俺の方に向き直る。


「うむ」


 と、俺が応じた刹那の事だった。


「隙だらけメカ!!」


 ペトルーシュカの掌から、俺たちめがけ極太のビームが発射される。


「宇宙法則、万物の理を葬らん!混沌戦順(ケイオス・プロトコル)


 またも、突如として現れた人影─今度はローブを纏った魔道士らしき女が呪文を唱えると、ドーム状に半透明の障壁(バリア)が展開してビームを防ぐ。


「メカッ!?」


 最大の技であろう極太ビームを簡単に防がれ、ペトルーシュカは固まる。


「幻術公メディケール、推参」


 メディケールと名乗った女は妖しく笑う。


「我ら大魔王軍四天王、魔王ドルパゴス様の命により大魔王様の救援に馳せ参じました!!」


 リーダー格のコホリーンが言う。


「ちょっと、四天王って3人しかいないじゃない!」


 とマナフレアがツッコミを入れる。


「ガハハ!4人目なら、ワシらより先におったではないか!!」


 ハークレスが、ショウの頭に巨大な獣の手を置く。


「ボクが……四天王……?」




 一旦、状況を整理しておこう。

 まず、俺がショウに勇者達の攻撃から俺を守るように命じていた間、俺はこっそり“漆黒の聖典”に新たなキャラクターと設定を書き込んだのだ。それが四天王の内、魔槍伯コホリーン、覇獣侯ハークレス、幻術公メディケールの3人だ。こいつら3人はショウと同じく既に設定を考えていたので、脳みその奥から記憶を引っ張り出してノートに書き込み、顕現させた。

 しかし、四天王と銘打ったはいいものの、敵キャラのストックは3人までしか無かったので、ショウのページに『四天王の一人・忍邪傑ショウ』と“後付け設定”を書き込んだのだ。



 話は四天王と勇者達のやり取りに戻る。


「嫌だ!ボクは……ジーク兄さん達とは戦えない!!」


 ショウ─記憶を取り戻したのでラインハルトは自らが四天王である事を拒絶する。しかし、


「あらあら……お兄ちゃんと再会して記憶が戻っちゃったのね?でも大丈夫。その記憶はまた封印して、大魔王様に仕えるという崇高な使命に書き塗えてあげるわ♪」


 メディケールは、ラインハルトの頭を両手で撫でるように包み込むと、耳元で呪文を囁き始めた。


「やめっ」「ろおぉぉぉぉぉッ!」


 アルフレッドとジークハルトは、這いつくばりながら。それぞれ四天王から受けた技のダメージから立ち上がれないのだ。

 マナフレアとペトルーシュカも魔法とビームのチャージが間に合わない。


「我が名は……忍邪傑ショウ!大魔王軍四天王が一人なり!!」


 彼は、ラインハルトから再びショウとなった。


「貴様らッ!よくもラインハルトを!」


「四天王!そして大魔王ッ!勇者として貴様らを赦してはおけないッ!!」


 ジークハルトとアルフレッドは、それぞれ斧と剣を構え、立ち上がる。


「ほう、まだれるか!」


「大魔王様に刃向かうとは、その愚行を後悔するがいい!!」


 ハークレスとコホリーンも爪と槍を構える。が、


「止めよ。その様な者たちは放っておけい。城へ戻るぞ、……メディケール!」

  

 と、俺はハークレスとコホリーンの二人を止める。疲れたし、いきなりキャラクターを増やしすぎてゴチャゴチャしだしたからだ。この場に9人も人物がいるんだぞ?失神している宿屋のオヤジと盗賊たちも含めたら13人だ。


「御意に♪大魔王さま」


 メディケールの魔法で、俺と四天王はラスダンである大魔王城へと、一瞬で姿を消した。

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