剣技の取得と魔法
あれから数日が経ち、更に鍛錬に明け暮れていた。
剣技を覚える時は、毎回感覚が研ぎ澄まされる…技のイメージが流れ込んでくる感覚。いける!!
「剣撃流 肆ノ型 薙ぎ払い!!!」
※剣撃流 肆ノ型 薙ぎ払い:半径2m以内にいる敵を一度に切り刻む斬撃である。(この半径nmは使用者の技量によって変化する。また、更に使いこなせれば範囲を指定できるようになる)
「これは…1体1ではなく、集団戦で役に立ちそうだな!!」
更に、もう一ついける気がする!!!
「剣撃流 参ノ型 弱点突き!!!」
※剣撃流 参ノ型 弱点突き:この型は単体で使用するというよりは、他の型と合わせて使用することで効果を発揮するタイプである。敵の弱点を正確に貫くことができる。例え、相手の防御が高くとも確実に。
「…ふう、まさか一日で二つも取得できるとは思わなかった…」
その日の夜、夢にて
【ほう…もう肆ノ型まで来たか。この子の才能の他ないなこのスピードは。ワシでも編み出すのに数十年は掛かっているというのに…これらの型がどう派生するのか楽しみじゃ。頑張るのじゃぞ、我が弟子よ】
剣技の型が強くなるにつれ、取得にも時間が掛かっていた。
「もしかすると…この鍛錬では限界があるのか…?う~ん…弱めのモンスターとかいないかな…」
その日、帰宅すると同時に両親に聞いてみた。
「鍛錬用のモンスターか…今のウルの実力なら、あれも倒せるかもしれないな…倒せたらごちそうになるぞ!肉が絶品だからな!!」
と父さんが言った。
「確かに、以前ダークウルフを倒した時よりも遥かに強くなっているわね…オーラが凄いわ」
剣と心身を極めると、相手の力量がオーラとして具現化して見えるようになる。
母さんは僕のオーラが凄いというけど、、うちの両親二人共凄まじいんだよなあ…まだ勝てる気がしない…。
父さんからその絶品モンスターが潜む、森の奥にある洞窟へ赴いた。
洞窟の中には、複数のモンスターがいたが、今の自分の相手ではない。剣技を使うまでもなく、一撃で仕留めていく。
洞窟の奥へ進み、いきなり開けた場所にたどり着いた。どうやら、ここにそのモンスターがいそうだ。敵の気配がする。
…と、頭上から、大きい…いやかなりデカいウサギが降りてきた。
―――――――――ドンッ
地響きが鳴った。え?デカすぎない?ウルの身長の数倍はありそうな体格だ。
「これを倒せだって…?」
なぜか、恐怖心よりもその未知の生物との対峙にワクワクしている自分がいた。
もはや人間とは思えない俊敏性も有しているウルにとって、敵の攻撃を避けることは容易でしかなかった。
洞窟の地形を利用し、壁を駆け上がり、頭上から、「剣撃流 壱ノ型 二段斬り!!」「剣撃流 参ノ型 弱点突き!!」
二段斬りは効果があるようだが、熟練度が足りない弱点突きでは弱点を突き止めることしかできなかった。貫くことはできない…どうしたらいい…投剣はまだ2本が限界だ。二段斬りだけでは致命傷には程遠い…新たな技が必要だ…イメージするんだ…毎日のように夢で見てきた剣聖の記憶と剣技を…。
巨大ウサギのお手がウルを襲う。。
「―――――ぐはっ」
一撃が重い…ん?重い一撃…そうか!!
窮地に陥った時、諦めない心に反応し、人は新たな覚醒へと至る。
「剣撃流 伍ノ型 上げ落とし!!!」
※剣撃流 伍ノ型 上げ落とし:敵を下から斬り上げ、空中に浮いた状態で斬り落とす
「これでとどめだ!!!! 剣撃流 陸ノ型 連撃一閃!!!」
※剣撃流 陸ノ型 連撃一閃:敵の正面で構え、もの凄い速さの連撃で敵を切刻み、一閃の一撃を与えつつ、一瞬にして敵の背後に回る
そして、その大きな体は機能を停止し、倒れた。受けたダメージはあの重い一撃のみ。だが、それにより技を自身の身体に刻み込むことができた。これは大きな成果だ。
「さて…倒したのはいいが、こんなにデカいとは聞いてないぞ…どうやって持ち帰ったものか…」
そのとき、剣聖とは別の声が頭の中で聞こえた…
【私は「バーマ」、この世界で唯一魔法を行使できた人間よ。あなたには私の記憶そして力も備わっている。その大きなモンスターを持ち運ぶのに困っているようだから一時的に力を与えるわ。「空間魔法」、今後、取得すれば色々と役に立つわよ】
そして、その「空間魔法」とやらにウサギを格納し、村へ持ち帰った。「空間魔法」自体は村の手前で解除し、そこからは自力で引っ張った。つ、疲れた…。
「久しぶりのごちそうじゃないか!!」
「流石にうちだけでは扱いきれないから、村で共有しましょ!!」
両親はテンションが上がっているようだ。
狩ってきた甲斐があった。
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