出会い
「ん…んぅ…ん?見たことない天井だ…」
そうだ、モンスターに襲われていた子を助けて…それで…
ベッドから起き上がると、やはり知らない部屋であった。そして、ベッドに寄りかかって寝ている少女…。この状況は一体…。
「ん…あ!起きたのね!!良かったぁ…」
「あの…ここは一体…」
「ここは剣士育成学院の保健室よ!」
「え?えーーーー!?僕まだ10歳なんだけど!!」
「そ、そうなの!?なのにあの強さ…更にあなたに興味が湧いたわ!!」
「そういえば、君は…?」
「あ…挨拶が遅れたわね…剣士育成学院1年生のリーゼよ。そして、改めて助けてくれてありがとう…」
彼女はそうお礼を言って、頭を下げた。
「僕はウル。よろしくお願いします。リーゼさん」
「いやいやいや、助けてもらったんだし、敬語は不要よ。あと、リーゼでお願い。」
「分かったよ。リーゼ」
リーゼは体は小柄、胸も小さい、赤い髪で気品の高そうなお嬢様タイプだ。
身長が低いが故に、自分と同年代と思ってしまった…不覚!!
体調が戻ったウルは、理事長室にリーゼと向かった。そして、、
ーーーーーーーコンコン
理事長室のドアをノックした。中から「どうぞ」と声がした。
扉を開けて中に入ると、その部屋の椅子に腰かけていたのは若い…と思う(多分)、優しそうな女性だった。
表向きは優しそうに見えるが、剣士の感が言っている…この人は強い!!と。
「この度はうちの生徒を助けてくれてありがとう!まさか、あんなところにモンスターがいるとはね…。私の判断ミスだわ…」
僕はその言葉に対して答えた。
「いつも、あの近くで鍛錬をしていますが、今まで一度もあの周辺でモンスターに出くわしたことはありません!しかも、いないはずのダークウルフなんて…」
「ダークウルフをその歳で知っているなんて、かなりの博識ね!」
「母から学んでおります故」
「あなたの両親の名は…」
「母はリル、父はラージです」
「ふむ…なるほどな…あの二人の息子というわけか…少し合点がいった」
「?あの…両親は辺境の村の住人ですよ?」
「そうか…伝えていないのだな。あの二人なら敢えて言う必要はないと思っているようだな…考えそうなことだ」
「もしかして、有名な剣士だったりとか…」
「いいや、何でもない。忘れてくれ。いずれ時が来れば知ることもあるだろう…」
なんかはぐらかされたな…確かに今思うと、僕が剣に興味を示したころから、鍛錬が始まり、教養も特出していた。帰ったら何気なく聞いてみよう!
「そういえば、リーゼから聞いたが、剣撃流を使っていたらしいな!あの英雄の剣聖が編み出した剣技且つ剣聖しか使えない剣技。かなり興味深い…そうだ!飛び級で剣士育成学院に入学しないか?」
「お誘いはありがたいのですが、僕にはまだやりたいことが残っているんです!12歳までに剣撃流 拾ノ型までマスターするつもりでいますので!!」
「なん…だと…奥義以外の全ての型を知り尽くしているというのか?あれは剣聖しか内容は知らない剣技だぞ?」
「はい。父曰く、前世の記憶というやつかもしれないとのことです」
「なるほど…残念だが、あと2年辛抱しよう…」
「ありがとうございます」
「剣士育成学院は5年制だ。君が入学する頃にはリーゼは3年生だな。その頃まで待ってられるかな~?リーゼちゃん!」
「ま、待てるよ!もう…ママの意地悪…」
リーゼは顔を赤らめて小声でそう言った。ん?ママ?ということは…確かに同じ赤髪ではあるが…。そういうことか、、だから気品が高そうに見えたんだな…。
「リーゼは君の剣に一目惚れしたんだそうよ?私も早く見てみたいわ~」
手を頬に当ててそう言った。
「そ、そう!『剣!!』に一目ぼれしたんだからね!!勘違いしないでよね!!」
「まだ、何も言ってないんだけど…」
―――――カァァァァァ
また顔を赤らめている。頭から煙も出ている…大丈夫だろうか…
「それでは、両親も心配していると思いますので、僕は村へ帰ります」
「ああ、引き留めて悪かったな。改めて、今回はありがとう!君の入学を楽しみにしているよ」
「ここの生徒に負けないよう鍛錬を積んできます!!」
「もう既に超えてはいるんだけどね…村までの馬車を用意したから、使ってくれ、せめてもの礼だ」
「助かります!」
「初めて話した女の子、リーゼもじゃあね。また2年後に!」
「は…初めての女の子!? う、うん!また!」
その会話の後のリーゼはというと、、(初めて…初めて…初めて…) (――――――キャァァァ)
一人で盛り上がっていた。
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そして、僕は村へ帰り、両親の元へ…
「ただいま」
「どこ行ってたの?心配したんだから!!」
「母さんを心配させるなよ…まだ10歳なんだから…」
その後、これまでの経緯を話した。
「なるほどね…勇敢な行動ではあるけど、まだダークウルフ相手には分が悪いわ」
「でも、母さんのおかげで攻撃パターンを知っていたから無傷で倒すことができたよ!!」
「それでもよ!相手が一匹だったことが救いだわ。基本的には集団で行動するモンスターなの」
「となると、やっぱり妙だよね…この辺にいないはずのモンスター且つ単体行動…」
「そうね。でも今は生きて帰ってきてくれたことが一番よ!」
その日の夕食は一段と美味しく感じられた。今日はいろんなことがありすぎた…でも、課題も見えた。剣技2つではまだまだダメだ…技に頼らない基本の型ももっと磨かなければ!!夢で剣聖が言っていた、剣撃流は基本の型の派生だと。そして、僕次第で、更に派生も可能だと。
(この時、モンスターに放った最後の一撃、拳聖スキルを使用したことは記憶がないウルであった。)
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