英雄である剣聖は…
ウルは夢で見た剣聖の記憶を両親に話してみた。
その人の体格が屈強であり、白髭を生やした人物出会ったこと。凄まじい剣技で敵を圧倒していたこと。更に、夢の中でその人物から「君の中にも眠っている」と言われたこと。
すると、両親が顔を合わせ、、「これは…」
2人同時に目を輝かせながら、『英雄の再来だ!!』
「それは前世の記憶というやつだぞウルよ」
「ラウン様の名を意識して名付けをした私達は優秀だわ!」
なんか、母さんが喜びに満ち溢れている。。
この時、初めて教えてもらったのだが、この世界で英雄となった剣聖は僕と同じ家系の人だと言うのだ。
ということは…僕の中にその人の記憶、夢で見た剣技が眠っているということなのかな…?全然実感ないや…。
そして、その剣技を習得するため、更に体を鍛え、俊敏性を鍛え、剣を鍛えた。
英雄の話を持ち出して以来、父さんの稽古に熱が入っているように感じる。
後で聞いた話だが、父さんも相当な剣士だったようだ。だが、国には仕えなかった。
そのような重みを抱えるよりも、自分の成長を実感できるように常に冒険していたそうだ。
また、母さんからは教養や料理を教わっていた。この世界では12歳となったものは独り立ちをし、街にある剣士育成学院へ入学→冒険者または国に仕える騎士団へと進むらしい。
国に仕えることができるのは学院卒業時の成績上位20名のみ。仕える権利を与えられるだけなので、拒否しても特に刑罰はないようだ。ただ、基本はその枠を勝ち取るために通う学院ようなので、拒否するものは稀だという。
入学する際に試験があるが、母さんからは「ウルなら余裕でトップだと思うわよ!」とか言われた…。
「とりあえず、剣聖の技を取得しないと!」
一度夢を見て以来、毎日のようにより鮮明に夢を見るようになり、剣聖の記憶?を追うようにどのように技を編み出したか、どのような人生を歩んだかなど、頭の中に身体の中に浸み込んでいくのを感じた。
ウルが7歳となったある日…
いつものように木を相手に剣技を練習していると、【うむ。そろそろ頃合いだろう。最初から使えたのでは身体を作れないからな。】
そんな声が、頭の中で聞こえた。聞き覚えのある声だった。それもそのはず、剣聖その人なのだから。
どうやら剣技へのヒントを与えてくれたようだ。
そして…
ウルは剣を構え…技名を叫んでいた「剣撃流 壱ノ型 二段斬り!!!」
※剣撃流 壱ノ型 二段斬り:剣の初撃後すぐに二撃目が敵に到達する技である。
【ほう…筋がいいな…いきなり壱ノ型を取得するとは…ワシの剣技は拾まであり、更には奥義も存在する。また、おぬしの発想次第では派生の剣技も生まれるかもしれん。まだまだ鍛錬を怠るな!】
次の日も父さんとの稽古後、一人鍛錬場へと赴いた。
一人鍛錬場は村の近くの森の中にある開けた場所である。数年、ここで鍛錬しているがモンスターには出会ったことがない。
さて…と…
イメージトレーニングと剣聖からのヒントによって、取得に時間は掛からなかった。これはウル自身の才能かもしれない。
「剣撃流 弐ノ型 投剣!!!」
※剣撃流 弐ノ型 投剣:その名の通り剣を投げる技だが、投げるだけでは技とはならない。投げた剣を操り、死角から敵を狙う技である。
順調に剣聖の技を取得していくウルだった。そんなある日、毎日の日課で鍛錬場で練習していた時のこと、森の方から気配を感じた。
剣と心身を鍛えているうちに取得したスキル:危機感知である。
モンスターがいるのは確か…だが、人が襲われているようだった。。
今の自分がモンスター相手に通用するかは分からなかったが、勝手に体が動いていた。
「…女の子、母さん以外で初めて見た…」
辺境の村が故に、爺さんと婆さんが多くを占めていた為、同年代の女の子を見るのは初めてだった。
「無駄なことは考えるな!!まずはあのモンスターを何とかしないと!!」
狼型のモンスターだった。たしか、ダークウルフ。何故、こんなところに…。
母さんの話ではもっと人里離れた場所に生息していると聞いていたからだ。
剣は一応持ってきた。だが、剣技はまだ二つ…。
「一旦、試してみるしかない!!剣撃流 弐ノ型 投剣!!」
剣はモンスターの後ろから貫通し、手元に戻ったがダメージはいまひとつのようだった。
「致命傷を防がれた!!なら…剣撃流 壱ノ型 二段斬り!!!」
モンスターは一撃目を交わしたが、この技は二撃目がメイン!!いいダメージが入ったようだ。
だが、まだ敵は立っている。。どうしたら…
その時、不意に頭の中に流れ込んできた新たな記憶。
それは後に明らかになる拳聖の記憶。だが、この時は無我夢中でスキルを使用していた。
自身の拳一点に力を集中させ、敵を一撃で無力化する拳聖の技:エネルギーショット!!!
これにより、ダークウルフを倒した。が、ウルも力尽き…その場に倒れた。
(あ…あの!大丈夫ですか?あ…)
微かにそんな声を聞きながら…
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