お見合いパーティーと乱入者 3
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さあ、やってきました、お見合いパーティーの日!
艶々の金色の髪を撫でつけ、イケメン度合いがマシマシになったお兄様は、けれども朝からちょっと憂鬱そうな顔をしている。
女の子にモテるのはいいけど、まだ身を固めたくないお兄様だからね。パーティーがはじまればいつも通り笑顔の大盤振る舞いをするでしょうから、まあ、それまでは大目に見ますよ。
……前世では「彼女がほしい」とか言ってたくせにね。
人間モテすぎると脳がマヒするのだろうか。
そんなことを思っていると、朝食のスクランブルエッグを食べながら、お兄様が物憂げなため息をついた。
「モテるのは嬉しいけど、顔で選ばれるのってなんかいや」
……女の子みたいなこと言ってるよ‼
「お兄様、そういうのは贅沢な悩みって言うんだと思うわ。ついでに言えば、そう思うなら中身も磨いたらどうかしら?」
「いくら中身を磨いたところで、女の子は男を外見で判断するんだ。それが世の中の摂理と言うものなんだよ。この外見になって、俺はしみじみと世の無常を理解したんだ」
……悟りでも開いたわけ⁉
わたしがあきれていると、わたしの隣でスープを飲んでいたライナルトが不思議そうな顔をした。
「キールは今の顔以外の顔に生まれたことがありそうな言い方をするね」
ぎくぅ!
わたしたち家族はいっせいにびくっと肩を揺らして、それからお兄様をじろりと睨む。
……お兄様、発言には気を付けてちょうだい‼
ほほほ、と笑って誤魔化して、わたしはライナルトの注意を反らすことにした。
「ライナルト、今日の食後のデザートはヨーグルトムースなんですって! 楽しみですね」
「そうなんだ? あれはいいよね、口の中がさっぱりして」
……ほ。よかった。あまり深く疑問に思ったわけじゃないみたいね。
わたしが胸をなでおろしていると、同じくほっとした表情を浮かべたお母様が、お兄様に厳しい目を向ける。
「そんなことを言って、どうせ身を固めるのが嫌だとかそんな理由なんでしょう? いい加減諦めなさいな。結婚もなかなかいいものよ。ねえあなた?」
「そうそう、結婚はいいぞ~」
そりゃああなたたちは? 前世でも夫婦、今世でも夫婦の、なんかもう赤い糸どころか鎖でがんじがらめにされているような縁を感じる夫婦ですけども。
まあ、結婚がいいものだというのは否定しませんよ。
わたしだって早くライナルトと夫婦になって人生楽しくいちゃいちゃとすごしたいからね!
おじい様もおばあ様も「結婚はいい」という意見に全面賛成なので、この場でお兄様の味方は一人もいない。
……というか、これだけモテるお兄様が今まで彼女の一人も作らなかったのって、顔に寄ってきている女の子が嫌だったからなのかしら?
モテたいと言うくせに、顔で選ばれるのは嫌だというお兄様って、いったい何がどうなれば満足するのかしらね?
もしかして、前世の平平凡凡な外見とスペックで彼女が出来なかったのを、いまだに根に持っているのかしら。
我が兄ながら面倒くさい。
「中にはお兄様のナルシストな内面が好きって女の子もいるかもしれないじゃないの」
いや、いるかなあ……。
そもそも、中身を好きになってほしいならその性格をまず改善しようよ。話はそれからだ。
それに、外見から入っても、そのうちに中身が大好きになることだってあるんですよ?
わたしなんて、最初は激カワうさ耳イケメンだったライナルトにときめいてから、中身の彼も大好きになったもんね。
「ヴィルはいいよな。お前のそのどぎつい外見だったら、まず外見から好きになる男はいないもんな」
おい、喧嘩売ってるわけ?
こめかみのあたりをぴきっとさせたわたしの肩を、ライナルトがぽんぽんと叩く。
「キール、ヴィルは見た目も中身も可愛いよ」
「ライナルトは目に分厚いフィルターがかかっているんだな……」
「お兄様、本気で怒るわよ」
お見合いパーティー前に目に青あざ作ってやろうかしら。
そうしたらご令嬢たちは外見に釣られることなくお兄様を見てくれるんじゃあないかしら~?
わたしが拳を握り締めていると、お兄様がしみじみと。
「はあ……。可愛くって優しくって俺の見た目も中身も全部愛してくれる、ついでにナイスバディな女の子、いないかなあ」
この兄、一回地中深くに埋めてやろうかしら。
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