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29話 万物錬成

「その魔法は、あの時の――!?」

「魔王。お前はもう、私についてこれない。私の技はみんな、一段階進化する」

「「……」」

「……なんていうかその、カッコいいね……?」

「……」


 ……魔王はともかく。なぜ露草はワンピースを知らないんだ。


「……」


 なんだ、気まずいな……。さっきカッコよく決めたばかりだというのに、これじゃ全部台無しだ。……じゃなくて。今は遊んでいる場合じゃない。


「……こほん。――ん!!」


 私は右手を振り上げると、宙には巨大な魔法陣が展開される。そこから姿を現すのは――


「――な!? なんなのあれは!?」


 出現したのは、超巨大なライトノベルの文庫本、そして同じく超巨大なゲームのソフトのパッケージたち。私はかざしていた右手を一気に降ろす。すると、それに追随するように巨大なラノベ、ソフトたちも魔王に向かって飛んでいく。


「――ちぃ!」


 まるで手裏剣のように飛んでいく超巨大なラノベ、ソフトたち。それらを『虚無崩壊』など駆使し、いなしている魔王。しかし流石の物量だ。徐々に押され始めている。


『万物錬成』は私が思い描くこの世に存在する、しないに関わらず、あらゆるすべてのもの――万物を錬成することができるという規格外の魔法。


 かの世界で魔王との戦闘中に初めて目覚め、そして何故か日本に来てからは扱うことが出来なくなったこの魔法だが……。

 今なぜ使えているかなど、そんなことはこの際どうだっていい。今は――


「――もう一回!」


 再び魔法陣を展開し、錬成するのは巨大なボードゲームの駒、鈍器と名高いゲームキューブ本体、ポケモンカードや私の好きなアニメに出てくる武器たち。ドーナツ、オムライスといった私の好物たちまで。


「いっけええええええ!!」


 私の『好き』を武器にして、次々に魔王へ射出していく。


「で、出鱈目だわっ! くっ! 『火炎魔法:煉獄』!!」


 魔王はそれらを『火炎魔法』で迎撃しようとする。しかし。

 私はよくアニメかなんかで出てくるバズーカみたいな見た目のテンプレなビーム砲を錬成。そして――


 ――刹那、チュドーンと爆発音が鳴る。

 辺りには黒煙が立ち昇った。ビーム砲で、魔王の『火炎魔法』を打ち消したのだ。


「……なっ!? は、反則よそんなの!?」

「――そんな軽口叩いている余裕があるの?」


 左手にハンドガンを錬成。魔王に向けて乱射する。


「――ッ!」


 魔王は黒い魔法陣を展開。

『虚無崩壊』で銃弾を防ぐ。けれど私は魔王が『虚無崩壊』を使ったのを確認したと同時、ハンドガンを放り捨て。


 愛刀、『月影』を腰に据えたまま駆ける。間合いに入った刹那、抜刀。『月影』を鞘から抜き放ち、一閃した。


「――……!」


 ――キイイィイン。


 すんでのところで私の居合切りは大鎌の柄の部分で受けられる。


「――ッ!」


 カタカタと刃が揺れ、剣戟の火花が散る。


「……調子に、乗るなァァァ!!」


 魔王はこの至近距離で『火炎魔法:煉獄』を放った。私は跳躍し、身を翻してそれを避ける。


「――はあ、はあ、はあ。……なッ!?」


 肩で息をする魔王だが、突然動きを止めた。どうやらようやく気付いたようである。自身の頭上にずっと浮遊していたあれに。

 魔王の頭上には、先ほど錬成し、そして設置しておいた、私が現在進行形で住んでいる――アパートが、佇んでいた。


「――」


 魔王は巨大な建物がいつの間にやら自身の頭上に浮かんでいる事実に目を見張る。


「――落ちろ!」


 私の掛け声とともに、アパートは浮力を失い一気に降下を始める。


「――なッ!?」


 ――ゴオオオオオ、と風を切りながら、巨大なアパートは魔王に迫る。


「――くうううゥ!!!!」


 刹那――ドオオオオオォォンと。

 骨の髄にまで達する地響きがした。遅れて風が吹き荒れるとともに、土煙が立ち昇る。


「――」


 そんな土煙の中に一つの人影。魔王は頭上に『虚無崩壊』の魔法陣を展開し、アパートに自分一人分の風穴をあけて難を逃れたようだ。

 魔王と目が合う。

 瞬間、魔王の顔が絶望に染まった。まるでこの戦いの勝敗を、悟ってしまったかのように。


「……あ、あなたはどこまで……こんなの。こんなのはまるで――」


 魔王はうわごとのようにそんなことを呟く。


「魔王。これで、とどめだ――」


 魔王に相対し、宙に浮かぶ私の背後には。

 これまでとは比較にならない、巨大な魔法陣が浮かび上がっていた。

 そこから出現したのは、私の愛刀、『月影』。


 ――約百倍サイズの、『月影』だ。


 私は右手を魔王に向けて突き出す。そして――



「――――はぁぁあああああああああああああああぁああぁぁあぁぁぁああ!!!!」



 ――私のとびっきりの『好き』を、魔王に向けてぶっ放した。


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