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不老の姉妹たちの旅物語  作者: Soryi
二章 姉妹と文学少女
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第2話 愛称

説子視点。


転校生がやってきて一か月。


「そのっ……好きですっ!」

「私は嫌いよ」

「姉さん、言い過ぎ!」

「じゃあ丁寧に言い直すわ。私、妹にしか興味ないの。クーを下に見るような人に好感を抱くことはあり得ないわよ」

「そんなこと……っ」


顔が良すぎる姉妹の加入で、クラスはとても浮かれていた。




「はぁ……」


反論を全て想い人に叩き潰され、ついに泣きながら走り去っていってしまった男子生徒を見送って、周りにバレないように小さく溜息をつく。

せめてもうちょっと人気のない場所に呼び出して告白すればいいのに、どうして教室で言ってしまうのか。間近でそんなものを見せられる私の身にもなってほしい。

はー……早く本読みたい。どうして今日は弁当の日なんだろう。購買の日ならカロリーメイトを食べて終わりなのに。







本日最後の授業は家庭科。調理実習だ。


「じゃあ適当にチーム作ってー」

教師の号令で、クラスメイトがわっと料理が得意な生徒に群がっていく。それをぼーっと眺めていると、隣に誰かが並んだ。


「斉藤さんは誰と組む予定なの?」

「希望を言うならサクサク進められる人と組みた……え、ローヴァーさん??」

「アティアでいいよ、苗字だと姉さんと紛らわしいし」


柔らかく微笑む金髪の彼女は本来なら群がられる側のはずなのだが、どうやら周りのクラスメイトは彼女の存在に気が付いていないようだ。


「じゃあ、アティアさん。……チームを組む相手って、もう決まってるか?」

「姉さんと二人でやる予定だったけど……斉藤さんが良ければ、一緒にやる?」

「是非やらせてほしい」


基本的に成績に頓着せず、ほどほどを目指している様子の姉妹なら手早く終わるだろう。

(ちなみにこの姉妹の怖いところは、そんな緩い姿勢でもトップレベルの成績を叩き出している所だ)

そんな打算的な思考で頷いた私は、笑顔になったアティアさんに手を引かれた先で、ちょっと信じられないものを見た。

具体的には、アンリーアさんの目線の高さで浮遊する野菜という、マジックな何かのような光景だ。


「あら、連れて来たの?」

「えへへ、斉藤さんの方から誘ってくれたから嬉しくなっちゃって」


ぱちりと瞬きした一瞬で、宙にあった野菜は消え、銀色のトレイの中に大人しく並んだ。……アティアさんが特に言及しないのは、気づいてないのか見ないふりをしているのか……。

……まあ、気のせいだと思っていた方が精神衛生上いいよな……。


「アティアさん、私はどこを手伝えばいいだろうか」

「えっと、じゃあハンバーグのタネを作る作業をお願いしていいかな」

「解った」





数十分後。


「……合格です。早かったですね」


完成品を一口食べて、家庭科を担当する女性教師が微笑む。よしっ。


「じゃあもう帰っていいですよね?」

「ええ。手洗いうがいはきちんとするように」

「はい」


早足で帰って本の続きを読もう! ……っと、その前に。


「アティアさん、アンリーアさん、ありがとう。お蔭でいつもよりかなり早く合格をもらえたよ」

「ふふ、どういたしまして。斉藤さんも手際良くてびっくりしちゃった」

「はは、クラスで一番手際のよかった人に褒められると嬉しいな。……あ、良かったら私も説子って呼んでくれ」

「了解」


にこにこと嬉しそうなアティアさんに私も笑顔を返して、「じゃあ私は帰るから」と言おうとしたところで、視線に気づく。

また、アンリーアさんにじっと見詰められていた。


「……えっと、アンリーアさん?」

「ああ、ごめんなさい。つい」


言えばすぐに逸らされるけど、気が付くとまたじっと見られていることが多い。不思議だ。


「じゃあ、私はこれで。また明日」

「うん、また明日」

「ええ、また明日会いましょう」


補足コーナー

調理実習中、他人がクーの存在に気づいていなかったのは魔法で誤魔化してるから。うちの班に来て!が鬱陶しかったらしい。

リアの空中浮遊野菜も魔法で手抜きした結果。ちゃんと隠蔽してるので説子以外には目撃されてない。

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