3話 新しいお家(?)は城の池
前回の話を考えるいろいろ気になるところはありますが、一応主人公のイメージを用意しました。
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水中ってこんなに気持ちいいのか…やっぱりこの体、元は水棲生物なのか?
今私はエルミーヤ王国の城の池に住んでいる。
経緯を話すと、あれからあの白髪の人、パトラさんがその場で応援を呼び、檻の付近に運んでいた少年少女たちは保護された。あのバランスボールみたいなのは、あの人たちが触れると水風船みたいパシュンと弾けて跡形もなく無くなった。バランスボールの中は全裸だったには驚いたが、あの人たちは普通に布で包んでいたから、この事態も想定済みだったのだろう。
私はというと目の前に壺を出された。
なんか毒霧とかで麻痺させてくるのかなってその壺をじっと見て待ってたんだけど、話を聞いてたら私の種族というか個体が伝説で壺が好きというらしい。誘き寄せられてる気がしたけど、不思議とその壺に入ってみたいっていう欲が強く、結局スルンと壺に収まった。頭から入るか脚から入るか少し悩んだがそこは体が覚えていたらしく、一度壺を倒し脚から入って腕で床を押し、勢いで立った。
以前から壺で運ばれてたんだなあ。
てか、壺に入るってイカというよりタコだよね。
その後、蓋を閉められそうだったので抵抗した。狭いところは安心するけど、蓋まで閉めちゃうと話は別でしょ?まあ、睡眠薬みたいなのを壺の中に入れられて覚えてないんだけど。
おっと、ということはこれは夢ではないのね。
いつの間にか、異世界の怪物に憑依したって訳か。ふ~む、なんとか争い無く生きていきたいね。
そして、気づいたら池の中にいた。特に息苦しくはないので、私の肉体は水陸両用なのだろう。なんと便利なことか。
池の外には私の監視役の兵士が数人囲んでおり、その後ろには綺麗な花畑が見える。
ほんとにこんなとこに住んでいいの?めっちゃ豪華っぽいけど。
さらに兵士の話からここがエルミーヤ王国城内の池であること、私がガウラウス領地の城の地下にいた伝説のモンスターであること、そのガウラウス領地では治安はよかったものの、その裏で隣国と手を組み、人体実験が行われていたことがわかった。
つまり、私は元人間で人体実験によってこういう姿になった可能性があるっていうこと?
ふふ~ん。また、面白いことになってきたね!そういう展開も悪くはない!
これからどうなるのかなあ~と思いながら池をぐるぐる泳ぐこと3日、池にガッチガチに護衛をつけてる身分の高そうな人がきた。
「ウル·マラクサークよ。私はエルミーヤ王国第一皇子 テルズ·アーノル·エルミーヤだ。貴殿にお伺いしたいことがあって参った。良ければご尊顔を拝謁したい」
おお、お、皇子様とあらばさすがにいかねば。
私はスイスイっと皇子の下に向かい池から顔を出した。
さあ、聞きたいこととは何かね?答えられるかはわからないぞ。いろんな意味で。
「言葉は通じているようだな。ウル·マラクサークよ。貴殿は喋ることが可能だろうか」
私はブンブンと首を横に振った。
「そうか。では3択だ。YESは首を縦に、NOは首を横に振り、どちらでもない、わからないは首を傾げてくれ」
おーけー。
私は首を縦に振る。
「では…貴殿は元人間か?」
うわ、いきなり難しいのがきたな。
人体実験をしてたった話だから被害者の特定とかの意味なんだろうけど、正直体をどうこうされた記憶はない。でも、憑依という意味では元人間。
とりあえず首を傾げた。
「わからないということか…」
皇子様の後ろで側仕えがメモしてる。
「それは貴殿が生まれながらにしてその姿であるためか?」
生まれながら…元々こういう生き物に憑依した説もあるけど、その生まれたときの記憶がないもんだからわかないんだよね。
何回か質問を頭の中で繰り返して噛み砕いてようやく出した答えは「わからない」
これには皇子様に驚いた表情をみせたが、少し考えると次の質問を口にした。
「つまり、生まれたときの記憶がない?」
私はうんうんと首を縦に振った。
いやー、やっぱり皇子様っていうのは頭がいいのね~。
「なるほど。では次、貴殿は食事が必要か?」
え、今更?3日放置されたなのに今更?人と同じ胃袋だったら空腹で兵士さん食べますけど?いや、食べないけど。兵士さん食べるはさすがに怪物思考。
ん~、まあなくても大丈夫そうだけどね~。そういえば睡眠もぼちぼちって感じ。人間よりは疲れないし、燃費もいいね。
いや!でも食べるもんは食べたいなあ~!は…!でもこの体に味覚があるのだろうか…なかったらただただ悲しいだけだけど。
う~ん、「わからない」にしとこ。
また、皇子様考えてる…
毎度はっきりした答えじゃなくてすまないね~。
どっかに味のするものがあればいいのだけど。