表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
らいふでぃわあるど  作者: 福乃 吹風
8/36

八日

 このままじゃ二人の命が危ないと判断した私は星雨がちょうど来てくれてお願いをする。


「星雨、お願い」

「え?琴音のところへは」

「この状況を読んで。このままじゃ鼓と琵琶も、それから彗たちも危ないの!場所把握しているなら私をそこへ連れてって」

「その狐を離してくれるなら連れて行きますよ」


 こんを置いて置くのはどうかと思うけど、居場所を特定してくれているのならとこんを降ろす。


「彗たちが気づいたら教えてあげて。一足先に琴音のところへ行ってくるって」

「ですが一人で行ったら」

「大丈夫。星雨がついてくれてるから」


 こんを置いて私は星雨と一緒に琴音がいる場所へと向かおうとしたら、なんと猿鬼たちが救援に来てくれたのだ。


「猿鬼のボス」

「あの二人は俺たちが食い止めておく。だから番犬!酒呑童子のところへ行って来い!」


 猿鬼たちが皷と琵琶の相手をしてくれて彗たちがこっちに来てくれる。


「すぐ戻るから、それまで持ち堪えて」

「それくらいわかっている」

 猿鬼のボスも鼓の琵琶のところへと行き、こんがトコトコとこちらへやって来る。


「わかってますか?」

「取引は必ず成立させる。だからもう辛抱持ち堪えてくれって主人に言っといてよ」

「美星様たちが行きましたら、余は一度白夜様の様子を見に伺います。ご武運を」


 行こっかと彗に言われ私たちは星雨の力を使って、琴音がいるであろう場所へと向かった。


 ◆


 ウメの町に戻り星雨が言うには酒呑童子が経営している一つの店に琴音がいると言われるも、また似たようなことが起きたらどうするか。

 様子を伺っていたら酒呑童子が大量の紙袋を持って店に入る姿が見え、永遠が行こうとしたから私と風葉が止めに入った。


「例のブツではなさそうだけど、琴音の救出を早めにして二人の正気を取り戻さないとやばい状況になる」

「人間じゃなくなるってことだよね」

「そう言うことかな」

「どうやって侵入する気?」


 永遠がぶうたれた顔をしながら彗に聞いており、そうだなと様子を伺いながら彗はこう答える。


「酒呑童子がなぜあそこまでして逃げ回っているのかなんとなく検討はついている。そこを突けば琴音はすぐ返してもらえるけど一つ問題点があってね。そこをなんとかしなければ琴音は永遠に人質のままだ」

「どうすればいいんだ?」

「永遠、屋根に登って待機してもらってもいい?これ渡すからさ」

 いつの間にかライフルのセットを出してきて、永遠に押しつけたのだ。


「なんか納得行かないけど、琴音を助けられるなら待機しとく」

「頼むね」


 彗の力で登れる高さへと移動させてあげ、私たちは裏口から入る。なぜ永遠を置いて行った理由。もしかしてとスタスタ歩く彗の腕を掴み止まらせた。


「信じたくはないけどいるんでしょ?」


 信じたくはない、嘘であってほしいと願いたい。私と永遠だけが知っている秘密。

 彗は背を向けたままうんともすんとも言わないけど、永遠はもう一度会えるならと信じてる瞳をずっとしていた。その瞳を彗は初日からわかっていたはずなのに、何も知らせない理由。

 すると風葉は混乱している様子で私に言ってくる。


「美星、いるわけないだろ?永遠の兄は事故死したって聞いたはずじゃん」

「違うの。あれはーーー」



 あれは私たちが小学生の頃。

 普段通りに永遠と私、そして永遠の兄であるじんが三人で下校をしている時の出来事。他愛ない会話をして盛り上がっていたら、仁が足を止め私と永遠も足を止める。そしてあることを言われた。


「ねえ永遠、美星。ここ最近変な化け物とか見えてない?」

「急にどうした?僕はそういうの見えてないけど美星は?」

「私も化け物とかは一度も見たことないよ。仁どうしちゃったの?」

「ううん。見えてないなら大丈夫そうかな。ただ一つこれだけは風葉にも琴音にも絶対に言わないでほしいことがある。風葉の神社の外れに社あるの知ってるよね?」


 私と永遠はこくんと頷き、仁はズボンをぎゅっと握って怯えているような表情を出しながら私と永遠に告げたこと。


「この前、神社でかくれんぼした時。誰かに襲われて気がついたらその社の中に入ってた。それで僕はっ」


 仁はそこで涙を流し絶対に触れるなと言われ続けていたお札に触れてしまったんだと私と永遠は悟り仁を慰めた。私と永遠に打ち明けてしまったことにより、その翌日のこと。

 永遠がいきなり私の家に訪ねて来て、とても焦っていることがわかった。


「美っ美星!仁がいなくなっちゃった!」

「探しに行こう!」


 私と永遠は自転車に乗り月星神社へと急いで行って、私と永遠は必死に探した。神社の中でも山を登って探すもどこにもおらず、唯一まだ見つけていないのは社。

 そこへ行ってみると社の前には仁がぐったりと倒れており、すぐに風葉のお父さんを呼んで救急車を呼んでもらった。だけど運ばれた仁に付き添えず、私と永遠は風葉のお父さん、そしてお爺ちゃんに事情を伝えることに。


「何があったんじゃ?」

「昨日仁にあることを私たちに教えてくれたの。前にここでかくれんぼしている時に誰かに襲われたって」

「それで気がついたら入ってはいけない社の中に閉じ込められていたらしくて、出ようとした時におそらくお札に触れちゃったんだと思う」


 それによって風葉のお父さんは剥がれた場所を見に行ってしまい、なんてこったとお爺ちゃんは腰を抜かしたようにびっくりしていたのを今でも忘れられない。


「え……じゃあここにいるにも関わらず、永遠の父さんは死んだと同然だから葬式まであげたってことかよ…」

「まさかこんな世界に閉じ込められているだなんて思いたくはなかった。だけど仁の体は心肺停止してて、遺体と同じように冷え切っていたらしいの。救いようがなく死亡と判断をご両親は決めたのに、それでも永遠はずっとっずっと帰りを待ってた。彗は知ってて永遠と接してたんじゃないの?なんとか言ってよ!」


 感情が高ぶり堪えていた涙が一粒、また一粒頬をつたい地面に濡れていく。彗は振り向いてくれて私を包み彗の手が背中に乗りごめんと言う一言で私はずっと秘密にしていたことが明らかとなり嗚咽する。  

 仁を見つけたとしても一緒に帰れないことがこんなに悔しい気持ちが溢れてしまう。


 何事だと傭兵がこちらへ来ようとも、私たちは彗の力。ううん星雨の力によって守られていた。それに銃声の音が聞こえ見える範囲で倒してくれている永遠。

 永遠が一番辛いはずなのにと思っていると琴音の声がしてぴたりと涙が止まる。


「美星!彗!風葉!あれ?永遠は?あ!皆さんは持ち場へ戻ってくださいと酒呑童子様から申し付けられてます。だから星雨、その風止めて」


 傭兵がいなくなったことを確認したのか星雨の風が止み、彗が屋根にいる永遠をこちらへと来させた。永遠は真っ先に琴音に抱きついてよかったと言っている。


「琴音、その格好」

「あぁちょっとね。それより、酒呑童子がどうしても話したいことがあるから連れて来てほしいって言われたの」

「あいつから逃げて来たわけじゃないわけ?」


 永遠が不機嫌な顔になり琴音が違うけど話聞いてあげてと、永遠の背中を押しながら酒呑童子がいる部屋へと連れてってもらった。


 酒呑童子はお酒を一気飲みして、あちこちには空になった瓶が山積みになっている。こんな状況で話をちゃんとしてくれるのだろうかと少々不安になるも、ゲップをしながら遅かったなと言われたことにより彗が怒りだす。


「遅かった?ふざけないでもらいたい。なぜ皷と琵琶にあのブツを渡した?早く琴音を連れて行かなければ、あの二人が死す。今すぐにでもお前の手から琴音を返してもらいたいんだが」

「それはできねえ話だ。天狗との取引がまだ終わっちゃいねえからな。それに大体そいつを連れて来たとてあいつはもうなんも」

「黙れ!あの子だけはっあの子だけは生きて帰ってほしかった!それなのにあんたらのせいで、仁はもう二度と帰ることも出来なくなったんだぞ!それなのに罪を償わず平然といられるあんたらが憎すぎる!」


 強風の風が吹き彗と叫んでも私たちの声は響かず、星雨が私たちを守ってくれていてなんとか彗を正気に戻さなくちゃ。どうやって彗を止めればいいのだろう。

 彗は仁のことを知っているのはわかったけど、琴音の件より仁の件になると便乗じゃないぐらい怒りがとても強い。


「星雨、あんなに怒る彗を止められる方法はないのかよ」

「無理です。ただ一人止められてたのはすみれでした」


 お母さんがと私は無意識に足が動いて星雨が守ってくれる領域から出た。凄い風で飛ばされそうでも私は一歩、一歩と進み大声で彗を呼ぶ。

 お願い、やめてと彗に触れようとしたら強風が吹いて、バランスを崩し飛ばされそうなところ星雨が助けてくれた。


「星雨、力を貸して!私ならきっと彗を止められるかもしれない!」

「危険すぎる」

「放っておけないし、彗がいなければ先へ進めないんだよ」


 星雨は少し考えわかりましたと道を作ってくれて、彗をバッグハグして落ち着かせる。


「彗!お願いだからもうやめて!これ以上力を使ったらっ」


 その言葉で彗ははっと何かを思い出したかのようにすみれとお母さんの名前を言って気を失ってしまい慌てて彗を支えた。一先ず安心したけど、酒呑童子はふっと笑いながらこっちに来いと琴音を誘っている。

 琴音は迷いがあるも酒呑童子のところへ行こうとして、永遠が琴音の手を掴む。


「永遠…ごめん。あたし…」

「琴音、僕は平気。だけどあいつのところには行かせたくない。仁に例え会えた時、僕は絶対に絶望へと落ちてしまうからそばにいてほしいんだ」                                                                                                             

「逆らったら美星が危ない。それだけは避けたいの!だから」  

 

 永遠と琴音が口論しそうになってしまい、酒呑童子が動いて琴音を奪おうとした時のことだった。ボンッと大きな音が聞こえそちらにやると皷と琵琶の姿がある。

 どこかに隠れなきゃと思ったら鼓と琵琶が私たちを無視して酒呑童子の前に立つ。


「わっしたちをあんな飴玉で暴走すると思ったのかよ」

「最低だなー。あっしたちをそんな風に見ていただなんてショックすぎるんですけど」

「…なぜだ。あれは強力な」

「あれれ?あっしたちの主人は白夜ちんだよー。そこんとこ忘れてなーい?」


 私たちはさっぱりすぎて、はてなマークを出しているとこんが負のオーラを出しながら現れたのだ。


「こん」

「……あの二人にまんまと騙されていただなんて余としては最悪な気分。ただあの二人は今も琴音様を狙っているのは確かです。それだけお伝えに来ました」

「白夜は?」

「白夜様の容態は安定しています。おそらくあの二人は制御しながら戦っていたのでしょう。それと美星様にと白夜様からお預かりしたものがございます」


 すっと渡されたのは手紙でそれではとこんは狐の姿となり、いなくなってしまう。封を開け手紙を拝見しよとしたら彗が起きて、なっとその手紙を没収される。


「彗!返して!」

「嫌だ。絶対に美星には知られたくない情報がここに書かれているに決まっている!」


 知られたくない情報とふと父のことが浮かび、取り返さなくちゃと取り返そうとしたら彗がその手紙を口に入れてしまったのだ。

 私たちは一斉にあっとはもり、白夜さんに会ったらなんて言えばとむっとしていると鼓と琵琶がこっちに来ると思えば琴音の手をとって逃げた。


 嘘でしょと私たちが追いかけようとしたら、酒呑童子の様子がおかしいと彗が戸惑いを見せている。


「…琴音より酒呑童子が先だ」

「だけど」

「こんが見張ってるから変なことはしないはず。とにかく酒呑童子を助けるよ」


 酒呑童子が咆哮し私たちは酒呑童子に挑むことになった。



 みんなと離れてしまい皷と琵琶に捕まるだなんて最悪な事態だと手を振り払おうとしたらぴたりと足を止めた。目の前には狐を多く連れた人がいても、だるそうな表情を出している。


「白夜ちん…」

「琴音はみんなのところに…」

「だけど酒呑童子のところにはいさせたくねえし、巻き込みたくはねえよ」

「美星が…心配…す」


 白夜ちんと琵琶が白夜という人を支え私の手首を強く掴んでいる鼓。余計にわからないと混乱していたら白夜が言う。


「美星は手紙を…」

「手紙は彗が食べちゃいました」

「あいつは…相変わらずだな。まあいい。琴音、一つ頼みたい。永遠を手放すな。いいな?」

「それはわかってます。あのっ仁のこと…」


 この人を信用しているわけじゃないけど、さっきの彗が怖くて足がすくんでたのに美星はそれでも彗を止めようとした。


「仁は天狗に目をつけられていてな…。酒呑童子と手を組んで魂だけをこちらへ引き寄せた…。古のやり方だ」


 あたしはその言葉で鼓の手を振り払い、みんなのところへと戻る。



「あれでよかったの?」

「あぁ…どちらにせよ、手紙は彗が揉み消すのは承知していたからな。鼓、琵琶、もう琴音と関わるなよ…」

「わかってるよ」

「わっしたちの願いは聞いてくれるんだよな?」


 もちろん、帰ろうと二人に告げ、我が輩の家へと到着し横になり、琵琶が布団をかけてくれて二人は我が輩の部屋を後にした。


「こん」

「はい」

「我が輩はしばらく深い眠りにつく。起きるのに何日かかるかわからん。都の警備を強化後、こんは陰ながら美星を守っていてほしい。きっと裏切り者がそろそろ動き出しそうだからな」

「かしこまりました。白夜様」

「心配はいらない。すぐ目を覚ますから起きた時、たくさんの話をしよう」


 待ってますよとこんは少し寂しげで涙目になりながら狐になり行ってもらう。

 美星には伝えなければならない真実がある。それを伝えるつもりが彗に揉み消されるとはなと我が輩は深い眠りへとついた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ