記憶の片隅に─
11月2日 今日も何も無いつまらない一日だ。
と思っていたが、なぜかクラスメイトの”東雲 翼”に話しかけられた。彼曰く、僕は精神疾患らしい。
11月3日 今日は東雲がずっと話しかけてくる。彼に「なぜ?」と聞くと、顔を少し赤らめ友達になりたいと言う。"友達"という言葉はどこかで聞いた気がするが、それ以上何も思い浮かばなかった。
11月4日 今日も彼は話しかけてくる。少し面倒くささを覚えながらもなぜか話してしまっている自分がいる。友達という言葉の意味は解らないが彼となら友達になってもいいと思ってしまった。
11月23日 あれから学校では基本東雲と一緒に行動している。楽しいという感情がわかる気がしたから苦ではない。彼の声を聞く度少し懐かしさを覚える…
11月26日 月曜日という皆が口を揃えて言う最悪な曜日だ。だが僕はそう思わない、なぜなら東雲と話せるからだ。今日は東雲と連絡先を交換した。嬉しかった。
11月27日 今日はなぜか頭が痛い、低気圧だろうか?学校へ着き東雲と話し始めた瞬間、意識が飛んだ。
?月?日 またこの暗闇だ。だが今回ははっきりとわかったことがあった、それは東雲が心配してくれていることだ。
11月30日 目を覚ました。私、僕、俺…は誰だろう。自分の名前、住んでいる場所、通っている学校、そこへ転校したこと、東雲のこと全て覚えている。だけどそれ以上前の記憶が無かった─
12月1日 また検査をしたが、やはり異常はない。なぜ記憶が無いのか医師は分からないと言う。
12月3日 退院の日だ。外の空気が美味しい。病院のアルコール臭はやはり慣れないものだな…