まだ俺にやるべきことはあるのだろうか
俺は思いっきり、フォークを削って作った刃物で首に当てて引き抜いた。
激痛とともに、視界の下から噴水のように血が出る。恐ろしい。だが、手で首を覆うことはしなかった。
ただ俺は倒れ、血を垂れ流しにする。
俺の視線の先の俺は、何とも言えない無表情だった。だが、あっちは首を切っていない。
そう、たった今同期の呪いが解除された。死をもって。
数秒後、サイレンの音と共に機械音声が流れる。
機械音声「負傷者発生。部屋153。ただちに救護せよ。ただちに救護せよ。部屋153」
思っていた通りだ。俺の部屋の開かずの扉から、マスクをしたままの白衣の者がこちらに向かって来る。
その後ろに、銃を武装したヤバい黒服の戦闘員がぞろぞろと湧き出る。
俺はこのまま死ぬ。この出血量なら、病院で手当てしても間に合わないだろう。
無傷の俺のほうにも、白衣と銃野郎が入ってくる。俺は俺の目を見て笑った。
窓の先の俺は手をあげて降参する振りをしたその瞬間、振り向いて銃を奪って撃ち始めた。
ダダン、ダダン!!
機械音声「実験は終了。被験者を破棄せよ」
ダダダダン、ダダダダダダン!!
数秒後、窓越しの俺は頭をぶち抜かれて倒れていた。脳みそが散乱し、もう助からないことがわかる。
失敗だ。どちらも助からない。
ならばせめて…。
救護のためのタンカにのせられて運ばれていた俺は、意識朦朧としながらも部屋の外を見渡した。
その光景は死んでも忘れられない。
工場のような広い空間に、シェルターのように何区画も湧けられた等間隔の実験施設だった。
見える範囲だけで100部屋はある。出口を見つけて脱出しても、到底逃げ切れないことがわかった。絶望である。
「そ、そうか。俺たちは…負けたんだな」
(まだ、まだ俺にやるべきことはあるのだろうか)




