表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/10

俺たちをこのまま五体満足で帰すつもりはないのだろう?

「「あと6時間であなたは生きて帰ることができるか?」」 


 「はい」と「いいえ」で〇を付ける欄がある。

 だが、これは答えを求めるものではない。自覚させ、恐怖させ、行動を記録するものだ。



「「見てるか研究者! 俺たちをこのまま五体満足で帰すつもりはないのだろう? だから答えは いいえ だ」」


 俺は血生臭い紙のいいえに〇をして提出した。あっちの俺も同じタイミングで出した。


 内心ビビりまくりだったが、既に何回も経験しているため、あいつらの趣味性癖はわかってきた。

 解答の結果のアナウンスがいつまでたってもこない。それは僧だろうと思った。

 


 透明な窓ごしに俺たちの目と目が合う。これが最後になるかもしれない。

 


 お互いに決めて、覚悟も決めた。死んでも恨まないと。

 16時にやることは一つ、それは…↓



 









①このまま従順に従って、最後の最後で相手が油断したら二人で脱出する




②お互いに首刺して出血し、救助が来たタイミングで脱出をする




③首を刺して死ぬほうを色の順番を使った運で決め、同期の呪いがとけたら刃物を使って脱出する




④そのほか  ※コメントください






 俺たちは③にした。二人同時では同期の呪いで上手く動けないまま失敗する。二人が同時に刺してしまっては、逃げる事ができても重傷で思考が回らない。

 二人同時の脱出が難しいのであれば、自己犠牲、運が悪かったと割り切って同期の呪いを切るしかない。

 食事の時の紙ゴミを返却せずに持っていた。ちぎって表と裏のコインを20枚ほど作る。表か裏かで死ぬ対象を決める。

 茶色のち、とピンクのひ。チョコとか桃色とか細かい違いは問題ない。俺たちの判断は、最初から「血」と「火」の文字の羅列でしかなかった。

 血と火、先に来るのはタチツテトのチだ。俺たちはお互いに納得した。もし裏(灰色)の枚数が偶数なら血の俺、奇数なら火の俺が死ぬ。

 同期の呪いがかかっている以上、意思で選ばせるといつまでたっても同じなので終わらない。だから、研究者が意図して用意した色違いという要素を識別として、運ゲーをすることで分離ができる。


 紙をちぎってばらまく。外から見れば、ただの暇つぶしに見えるだろう。だが俺たちには、生き残りをかけた運命のジャッジメントだ。


 同時に紙クズを上に投げる。落ちた結果をお互いが見ると、落ちた位置も表裏も同じだった。


 裏は偶数。鮮血のチ。そう、俺が死ぬのだ。


 どちらが本物で、どちらが記憶を埋め込まれたニセモノなのかも関係ない。今まで俺たちが気づいてきた結果から、もはやどちらが残っても良かった。全く同じなのだから。






 執行の時間まであと5分。問題が解き終わって、ただ待っている時間。死ぬべき俺はただ怖かった。


 二人は無言で目と目を合わせて何も言わない。ただ死を待つ屍のようだ。



 死が怖い。なんなら、今から生き残る俺に相談して延期する事だって可能だ。今の俺の心理状況だってわかってくれているはず。



 怖い、怖い、死にたくない。でも片方が死なないと脱出は難しいし、二人が仮に脱出できたとしても世界は大混乱する。


 唯一の可能性は、俺が死んで俺が逃げきれて何気ない大学生に戻ることだ。






 時計の長針が59に動く。俺はゆっくりと笑顔で、自分のパンツに手を持っていく。あっちの俺は、わかっている笑顔で合わせてパンツに手を持っていく。さすが俺だ。







 部屋の周囲を見る。相変わらず趣味の悪い恐怖の血部屋だ。これなら俺が首を掻っ切っても流れる血と床の区別はつかないだろう。






 俺が ニ セ モ ノ だったら良いな。




 スッ、スッ、スッ、カチッ…。




 バッ…ズシャァァ!!!!



 部屋脱獄まであと?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ