なあ、この実験者さん。俺たちにお互いの行動をしてほしいんだろう?
俺と俺は窓を隔てて対面した。
「「やはり、お前も俺と同じ火傷か…」」
わかっている。言葉を発すれば、同期の呪いで必ず同じになる。
茶色のチョコ味キャロリンメイト、相手はピンクのイチゴ味、これらに関連する言葉を発した途端に窓が閉まってジエンドだ。
少し黙り込む。悩んだふりをしながら、自分の思考をそのままに持ちつつ目と目を合わせる。
(そっちは特別、何か変化はあったか?)
目と目が同時に動かない。 つまり変化はない。
お互いの背景に目をやると、はやり赤いペンキで塗られた恐怖の部屋になっている。
(脱出に使う派物はもっているな?)
目と目が上と下に動く。これはお互いに準備できている事を示す。
「「なあ、この実験者さん。俺たちにお互いの行動をしてほしいんだろう?」」
返事はない。沈黙は続く。
(もし、あいつらが違いを提供したら一か八かで飛び込むか?)
目と目の視点がお互いに横に動く。これは危険だからやりたくはない。
「「なにをやっても一緒の行動になる以上、片方に違う何かを用意しないとこれ以上の変化はないんだとわかったんだ」」
(とにかく譲歩をしまくって、あいつらの情報を出させるように二人で誘導しよう)
目と目の視点がお互いに縦に動く。やはり以心伝心。これほどまでに頼れる相方はない。
「「だから、開けてくれないか? もしくは、変化をくれないか? 従うから」」
俺たちは透明な窓に向かってドンとあぐらで座り。真正面で向き合ったまま黙り込んだ。
「「じゃあどうすればいいんだよ!! もうだしてくれよ!!」」
違和感がないように意思疎通をしながら実験者と対話した。
(最悪の状況なら、ココを出た瞬間に船の上で脱出困難な映画になったりする)
(他にも、キューブのように超高層で落ちたら死ぬ部屋かもしれない)
(助からないなら、せめて何か紙に文字を書いて次の被験者にヒントを与えようか)
(これだけしっかり対策されていること言うことは、先駆者が俺たちにヒントや道具を残してくれているかもしれない)
(チャンスは一度だけ、あいつらを混乱させて時間を作れば、脱出や置手紙の隙が生まれる)
(ただ、この部屋に居続ける限り、細かな仕込みはバレる)
(もう12時だ。いつ窓が閉まるかわからないし、俺たちの命の寿命は12時間を切った)
(同じ被験者なら、みんな同じことを考える。夜脱出を決行すると。だから夜以降の警備は厳重だ)
(だから、夜の食事になる前に行動に移すほうが生存率は高いと考える)
(悠長に24時に解放されるとは思えない。先の先を読むんだ)
こうして、お互いに同じ動きをしながら思考とアイコンタクトを繰り返す。
「「もう考えるのも疲れた。好きにしてくれ…」」
俺たちは、同じタイミングでベッドに戻る。
今は従順に従って、情報を引き出したら16時に決行する。
ピンポーン!
機械音声「最後の問題の時間です」
いつもの小学生レベルの問題だ。裏面になっている紙を表にする。いつもよりも重い。
あなた
あ きるか?
間で 存で
と6 時 は 生きて 生
15時ちょうどに配られた問題は、白の紙に黒文字ではなく、赤の血に染まった犯罪予告の張り紙のような文字の羅列だった。
部屋脱獄まであと1時間
最初はホラーのつもりはなかったのですが、ドキドキと映えを考えた時にやっぱり
感情が動くほうがワクワクできるかなって追加しました。
こんなのリアルで体験したら、多分泣きますね。心折れます。




