表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/10

なんでこんなひどいことするんだよ! 答えてくれよ! 今日で治験は終わるのだろう?

 10日目。今日が終わる時に、治験は終了して100万円が手に入る。


 バカであれば、浮かれながらその時を迎えるだろうが、俺は違う。

 こんな簡単に大金が手に入るなら、何かしらの仕掛けが用意されているのが定石だからだ。


 一番シンプルなのは、物理的に消すこと。証拠をまるごと消せば、失踪という形でこの恐ろしい研究は表に出ないまま続けられる。


 俺たち二人がやるべきは、生き残って似普通の生活に戻ること、さらにできるならこの惨い研究を公表し、やめさせることだ。

 このような非人道的な実験は、許されるべきではない。日本でマスコミに流されたら大問題で潰されるだろう。

 とすると、この研究を主導しているのは、日本ではない?



 ゾワッ




 ますます命が危ないのが分かった。この一日を生き延びるためには、頭を使うしかない。二人が生き残れないなら、協力して一人を生かそう。

 それくらいの覚悟がないと、生きて帰れない。お互いに確信した。






 寝ては起きてを繰り返し、うとうと考えながら横になっている時、突然顔面に違和感を覚える。


 ジュワッ!!


「あああ! あっっつ!!!!」


 それは瞬時に熱く焼きただれる肌と液体だとわかる。



「ああああああああ!!!」


 ベッドからはね上がり、のけ反って液から逃れる。とっさに掴んだ毛布で顔をぬぐう。

 目が見えない。

 水! 冷たいもので顔を冷やさないと目が開けられない!


 このような暴力は想定していなかった。


 洗面所を手探りで探し、蛇口をひねって水を出す。が出ない。



 クソ!! ここまでわかって仕込んでやがった!!



 液体を取り除き、目が開けられるようになると、そこはペンキで塗られた血の部屋に変貌していた。





 !!?




 ベッドの天井には、スイッチで落ちるような液体のバケツが宙に浮いて固定されていた。液体がしたたり落ちている。



 うかつだった。鏡が取り除かれて、自分の顔が見えない。

 おそらく、昨日の口の怪我が分からないくらいの悲惨な顔になっているだろう。



 実験者(やつら)は、俺たちを実験生物モルモット以下としか見ていない。



 同期の呪いを解こうと足掻けば、それを止めるためにあらゆる手段を使う。俺たちの実験台は最初ではないだろう。

 過去に何十人、何百人も実験データを取ることで、手に取るようにもてあそんでから消してまた集めているのだ。



 許せない。



 それと同時に、下手に動く方が無残な死になるのではないかという恐怖が生まれた。


 戦国時代に、拷問された人が素直に吐いてすぐに殺されるか、吐かずに激痛のまま死ぬか選ぶ感じだ。



 

 真っ赤なペンキで塗られた血の部屋。あちらも恐怖をあおるような演出で同期を取り直しているのだろう。



 片目が開けられない状態で、時計を見る。今は朝6時半。これから朝食の時間が来る。



 俺は、諦めたふりをした。

 脱出の解説策は今は見つかっていないが、諦めて素直に殺されることを選んだふりをして、また来るチャンスに向けて備えた。



 むこうの俺も、きっと同じ演技をしているだろう。これが最後の弾だ。




 ピンポーン!


 「朝の朝食です」




 出された配給窓には、血のようなスープに魚にもゴミにも見える廃棄物のサラダが並べられる。




「うっ…」



 昨日から食欲がなく、空腹であった時に、この仕打ちだ。


 あいつらはもう、実験データは取れたから、一種の娯楽として反応を楽しんでいるのであろう。

 餌を与えず、苦しみもがくマウスを見るように…。




 いいだろう。弱ってやるよ、踊ってやるよ。

 この裏に秘めた最後のチャンスを隠しながら、ただバレないように演技をし続けた。


「なんでこんなひどいことするんだよ! 答えてくれよ! 今日で治験は終わるのだろう?」


 脱出への手がかりは少ないが、全くないよりだいぶマシだ。そうでもないと、心が折れてしまう。



 部屋脱獄まであと17時間

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ