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あいつのことは、みなかったことにしよう。いつか、俺のマネはできなくなる

 「「誰だよお前は!?」」


 監獄のような部屋で5日間閉じ込められていた俺は、目の前の透明な窓から見える「俺」にキレた。



 わからない。初日にあの窓は何か聞いたら鍵と言っていた。10日間のうち、4日まではただ問題を解くだけで窓は開いてなかった。


 しかし起きたら急にニセモノの俺が見えていた。


 普通の鏡なら、右手をあげれば鏡を見た右の手があがる。だが、この窓では鏡の左の手があがっている。仏の鏡ではない。



 わからない…。




 そう考えている間、全く同じしぐさを窓の先のオレがやっている。同じことを考えているのか?




 「「ほいっ! はっ!! そい!」」 ペチン!!


 わざと声を出して、自分のほっぺたを叩いてみる。全く同じタイミングで叩いた音が反響する。

 まるで共鳴するかのように鳴り響く。



 そうか、そんなにオレの行動をマネしたいのか。


 今度はベッドから飛び起きて、目の前にある透明な窓に向かって全力奪取する。

 まるで鏡のように、全く同じ動作で急接近する二人。



 ゴツン!


 頭を透明な窓に近づけて、ちょっと打ち付ける。 痛い。


 だが、相手も同じような痛みな反応があり、目と目の距離が非常に近くなる。



 あ、俺の目と顔ってこうなってたんだ…。


 ふと表情が緩むタイミングも同じである。もうお手上げだ。



 敵意むき出しのオレとアイツは、この瞬間から臨戦態勢を解いた。



 なぜなら、お互いに争えないし、争う必要がないからだ。



 同時に、このバカげた人体実験をどうやってやめさせるか、脱出するかを考え出した。

 10日で100万円の治験だ。そんな簡単に終わらせて解放させてもらえないだろう。

 今考えるべきことは、この特殊環境で生存することだけである。


 すっと窓から離れると、あえて窓を見ないようにして日常を過ごすようにした。



 (あいつのことは、みなかったことにしよう。いつか、俺のマネはできなくなる)


 ベッドに戻り、寝たふりをして、時間がたった後にチラッと足元の延長にある窓を覗く。

 目と目で通じ合う、そうゆう仲になりたいな♪


 ダメだ。普段の行動では、お互いに裏切ろうとしてもその裏切りでドローになり、その裏の裏を書いてもドローになる。



 ピンポーン!


 機械音声「問題を解く時間です」



 よしきた!

 いつと同じ、小学校レベルの数学10問がきた。

 普段は10点満点、ちょっと油断して9点であったが、今は違う。

 全く同じ俺のニセモノが目の前で解いている。ヤツの思考の裏の裏を書けばズレるはずだ。


 裏の裏の裏、そう。あえてギリギリ間違えた0点をたたき出す! いや、それを読んで1問正解だ!




 答案用紙をスキャナーに読み取らせる。待っている数分の間、俺は勝利を確信した。



 機械音声「「回答結果、10問中1問正解です」」



 !!? ニセモノやりやがる!! 真正面のアイツは、同じ驚きと疑心の顔を見せる。


 今日は諦めた。俺とアイツとの戦いは、もしかすると10日目まで続くかもしれない。


 それ以降、部屋の真正面にある窓に映るナニカは、鏡だと思って生活するようにした。




 部屋脱獄まであと4日

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