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太陽は学園都市で恋をする  作者: いつきのひと
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アサヒ、お持ち帰りされる

 ついに、先生からも好きだと告げられました。アサヒです。

 わたしはいま、短い人生最大の幸福感に包まれています。


 正直言ってしまうと、告白があったかどうかは関係ないのです。

 わたしはずっと好きだと言い続けていましたし、先生は答えずとも嫌がることなく傍に置いていてくれました。

 先程の告白は本当にただの確認作業であり、誰もいない夕暮れの教室や、屋上や、校舎の裏や、学園都市中のデートスポットで頻繁に行われているお付き合いの為の儀式ではないのです。


 初恋はここに成就せり。

 どこの誰が言いはじめたのかは知らないが、ジンクスとは超える為にあるのだ。思い知ったか!




 と、調子に乗るほどに嬉しいのですが、実は今朝から続いてる発熱が収まっていません。

 先生からの返答のせいでさらに熱が上がってしまったのではないでしょうか。いいえ、そんなことはありえません。


 ずっと眠っていたので薬は服用していませんでした。

 解熱薬を貰ってすぐに飲みましたが、あまり良くなってはくれません。

 そして状況は待ってくれません。医務室は下校時間には閉められてしまうので、もうすぐ追い出される事になります。


 せっかくの二人の時間をイチャイチャしながら過ごすのもままならない。これからいいところだっていうのに。



 熱と頭痛で何も考えたくはありませんが、考えます。もっと先生と一緒に居られる時間が欲しい。

 先生は倒れてから今までずっと付き合ってくれていました。特別学級の皆も、何度か様子を見に来てくれたそうです。

 そうだったとしても、わたしが記憶してないのだからそれは一緒にいたとは言えません。



 先生ともっと一緒にいるために、この具合の悪さをなんとか使えないでしょうか。


 わたしは一日寝ていたとはいえまだ本調子ではない。帰るのにもきっと苦労するはず。

 女子の宿舎は男子禁制です。これは先生も例外ではありません。途中まで送ってもらう事はできても、私の部屋までは入れません。

 部屋に辿り着けたとしても、わたしは食事も摂らず寝続ける事になります。昨日はお昼から何も食べてないので、絶食二日目突入です。もちろん部屋に食べるものはありません。


 加えて、また変な思い込みでネガティブ思考に陥るのも嫌ですから、誰か近くに居て欲しい。

 選べるのであれば先生が良い。いいえ、わたしを癒せるのは先生しか居ません。


「先生、お願いがあります。」


 先生が釣った魚に餌をやらないタイプで、長い時間待たせた告白の直後でも容赦なく突き放すような事をする人でない事を祈ります。




 まず、部屋に帰れるかどうか怪しい事を伝えます。宿舎までは送っていくと言ってくれました。

 食べるものがない事に関しては、すぐに差し入れを持っていくとの返事を頂きました。中に入れずともナミさんが居るので、彼女に頼めば喜んで中継してくれることでしょう。


 熱で変な夢を見るかもしれない。また夢と現実が分からなくなったときに、誰かが居ないと不安なので、居て欲しい。

 これに関してはそのままナミさんに居てもらう事を提案されました。この返答に対しての、わたしの反撃ワガママこそが本命です。


「先生がいいです。」


 ナミさんが嫌なわけではありませんし、彼女の看病に不安があるわけでもありません。

 わたしとナミさん、女の子らしさで言えば月とスッポンぐらいの差があります。圧倒的大差、全く敵いません。この半年で何度部屋の掃除を手伝って貰ったかわかりません。

 同性であることと細やかな気配りで選ぶならばナミさんでしょう。それでも、わたしは先生と居たいんです。




「わかりました。謹んでお受けいたします。」


 交渉は思っていたよりもずっとスムーズにいきました。即答でした。

 もしかして最初からその予定だったのかと聞いてみると、その通りだと仰いました。


 おいしく頂かれるのが決定しました。

 アサヒ・タダノは今晩、先生に全てを捧げます。

 先程の解熱薬には鎮痛成分も入っています。それに頭痛や節々の痛みのほうが勝つので初めての痛み?というのもあまり感じないでしょう。頑張りますので、できるだけ優しくお願いいたします。


 苦笑いされてしまったので、冗談はほどほどにしましょう。

 わたしは今日からでも構いませんが、世間的にも許される年齢まで待つのも一興。



 都合のいい話ですが、先生がわたしを部屋に連れていく事は校則でも学園都市のルールとしても問題ない事にされていました。


 親族からの支援も受けられず、食事も碌に摂れていないような生徒の保護と支援。

 わたしの食生活の杜撰さを見かね、メルベス講師の事件の後にそういう許可を取っていたようです。

 昨日までの料理教室にはそういう裏付けがあったんですね。知りませんでした。


 ただの子供扱いなのは納得できませんが、先生が教え子に手を出した事での処分を受けずに済むのですから文句は言いません。

 何一つ不都合な事は無いし、それでわたし達の関係が変わる事もありません。甘んじて受け入れましょう。



 布団をあげると、着衣が乱れていました。いかにも事を終えた後のような姿です。

 朦朧としながら着替えている中でリボンの結び方が変なのは理解してましたが、シャツのボタンが一個ずつズレていたり、スカートをなぜか巻いていて丈が短くなっていたり、靴下も裏表逆だったりと、とにかくめちゃくちゃでした。

 感覚から察するにパンツも履いてました。寝てる間に悪戯された様子もないようです。


 見える範囲の着衣の乱れは先生がすぐに手をかけてくれたので、そのままお任せしました。

 今から脱がしての一回戦というわけにはいきませんか。そうですか。


 理由はどうあれ、自分の受け持つクラスの女子生徒を部屋にお持ち帰りしてしまうだなんて、先生も順調にダメな人になりつつあります。

 どんなにダメになってもわたしの先生への想いは変わりません。安心してダメになってください。


「アサヒさん、落ち着きましょう?」


 さすがに発言が怖いと注意されてしまいました。

 支援の対象でも勘違いされるような言動が多いと弁明が許されなくなってしまうんだそうです。


 こんなに体調が悪くなるのは物心ついてから初めてなんです。あれこれ不安なんです。たぶん。


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