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太陽は学園都市で恋をする  作者: いつきのひと
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プロローグ 要するに彼女は恋に落ちた

 ここに、初めて恋を知った少女がいる。



 彼女をなにかに例えるあるとすれば、太陽だ。

 人々を照らして見守って、自分の役割が終わればさっさと去っていく。

 自身の持つ力を遠くから容赦なく平等に与えてくる。

 例え曇っていようとそれはお構いなし。雲の切れ目からでも顔を覗かせてくる。


 押し付けがましいが温かい。

 それが太陽であり、彼女の特徴だ。




 そんな彼女の初恋のお相手となった彼は学生時代の成績は創立以来無いとされるほどに優秀な教師。

 幼馴染からの長い付き合いを経て紆余曲折の後、晴れて想い人と結ばれたものの、幸せな日々を全く送ることなく先立たれてしまった。


 学園都市の上層部はそんな不安定な時期にある彼を特別クラスの担任に任命した。

 問題児のクラスを受け持ち多忙になる事で精神的に安定することを狙った学園都市からの思いやりだ。

 またの名を根性論。パワハラに認定することもできよう。




 多くの騒動の舞台となるこの学園都市は数ある魔法学園のうちでも名門のひとつに挙げられる。いや、挙げられていた。

 残念ながらここ最近はその過去の栄光も輝きを失いつつある。


「素質を持つ者資格あり」

 と、門は広く開け放たれてはいるものの、卒業まで至る者は数少ない。


 普通の人間社会の学校を出たほうがいいのだ。

 魔法使いは古臭く、時代錯誤を超越した神話級のヘンテコな掟が星の数だけ存在している。

 社会と隔離された学園都市と、どんどん先に進んでいく外の世界とのズレが大きなストレスとなって、多くの生徒が脱落していく。


 多くの研鑽を積んだ魔法使い。魔法使いを導く者だから魔導師。

 弟子や部下を多く持つ大御所からは半端者と罵られ蔑まれる事になるが、そんなのは魔法の無い社会に生きる若者にとっては関係無いのである。




 伝統を守るだけの老人に愛想を尽かし若者が離れる…

 そんな限界集落のような学園都市に入学したのが彼女である。正確には彼女”達”。


 特殊な入学生自体は珍しくない。

 相反する属性を両方持つ者もいれば、神からの祝福を得て聖人だの聖女だのと呼ばれる者もいるし、前世の記憶を持つ者や異世界の記憶とやらを引き継いで今ある常識を超えた思考や発想を持つ者もいる。

 そんな連中に教える事は何もないが、希望すれば席は用意するし教育を施して一人前に育てようと努力はする。

 結末は傑物か落ちこぼれかの二択。




 その年、そんな特殊な入学生が彼女を含めて何人も現れてしまったのだ。

 学園都市は入学式を前にして彼女らが巻き起こした騒動によって半日も経たずして機能不全にまで陥った。

 即時退学を言い渡してもいい程の問題児ばかりだが後継を失うわけにはいかず、困り果てた学園は一人の男性教師に一任する事になる。



 そんなドタバタの中で、彼女が教師に恋をした。

 巡り合わせた学園都市の老人も、本人達も想定してなかった大問題である。


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