第1話 不思議な声
みなさん初めまして。栗夢ジジと申します。昔からのライトノベル好きが高じてこんな小説を書いてしまいました。拙い文章ですが、最後まで見ていただけると幸いです。
「お前の父親は死んだようだ」
「え、、それってどういう、、」
そう質問しようとした瞬間、俺は目覚まし時計の騒がしい叫びと共にゆっくりと目を覚ました。
ぼんやりとその時計を見ていつもの起床時間を少し過ぎていることに気づき、気だるげに自分の体を起こす。どうやら変な夢を見たようだ。今日から新学期だというのに、、。 そんなことを思いながら俺は朝のルーティンを流れ作業のように行っていく。ちなみに俺を起こしたり、朝食を出してくれる人はこの家にはいない。お母さんは俺が幼いときに亡くなって、お父さんは海外に出張中。兄弟もいないから事実上一人暮らしみたいなものだ。朝食をとろうとして冷蔵庫を開けて中を見る。もちろん中身はスカスカ。まあ男の一人暮らしってこんなもんだろ。とりあえずコップに注いだリンゴジュースを飲みほしてヨーグルトを一カップ食べる。最近の朝はいつもこんな感じ。別に不満は無い。
「おーい!遅いぞー!」
ヨーグルトを食べ終えた直後、家の外からさっきの目覚まし時計に負けない程の騒がしい声が聞こえる。
俺は急いで支度を終わらせ、玄関の扉を開ける。するとそこに立っていたのは茶髪ボブの可愛らしい女の子。
「今日始業式なの分かってる?もう高校二年なんだからビシッとしてよね!」
こいつは俺の幼馴染の朝北瑠南。どうだお前ら。羨ましいダロ。俺には毎朝こうして家の前で待ってくれてる美少女がいるんだぜ?
「ごめんごめん。明日からはしっかり起きるから、、」
少し怒り気味の瑠南をなだめながら、俺たちはいつもの通学路を歩き始める。道中、瑠南と他愛もない話をしながら少し小走り気味に進む。
「あーあ。せっかくの新学期だってのに遅刻しちゃうじゃーん。」
瑠南が少し不貞腐れながら言う、、、そんな顔も可愛いなおい。何年も一緒にいるはずなのに何故かこいつには慣れない。なんかどうしても異性として意識しちゃうんだよなー。たまにドキッとすることもある。多分好きなんだと思う。でも告白しようとは思わない。理由はいくつかあるけど、照れくさいし、何より瑠南は俺のことをただの幼馴染としか思ってなさそうだ。負け試合に自ら挑もうなんて勇気は俺にはない。そんなしょうもないことを考えているといつの間にか学校の前の横断歩道まで来た。やたらと長い赤信号をぼーっと待っていると、右の方から下を向きながら歩いてくる銀髪の女の子が自然と目に入った。なんでだろう、何故か目線がその子に引き寄せられる。不思議に思っているとまた右の方から、今度は大型のトラックが猛スピードで歩道に向けて走ってくる。しかもそのトラックは銀髪の女の子めがけて突っ込んでくるようだった。、、、これ、、、まずくないか?俺は無意識に瑠南を被害にあわないように遠くへ押し倒し、その銀髪女のことも走りながら突飛ばそうとした。しかし直前で小さな段差に躓き、俺はその女の子に覆いかぶさる形になってしまう。あ、、、これ死んだ、、、そう思った次の瞬間、俺の脳内に無機質な女の声が響く。
【新たな則者を認定。法則を前則者から譲渡。法則を適用します】
その刹那、目の前のトラックがありえない軌道を描いて空中を飛び、俺たちの目の前に轟音と共に落下した。、、、、何が起こったのか全く理解できなかった。何がどうなった?あの声は何だ?しばらく考え込んでいると後ろから大きな声が聞こえる。
「昭吾っっっ!!!」
瑠南が一目散に俺に駆け寄る、、、そうだ!銀髪女は、、、
「あ、ありがとう、、ございま、、す、、」
そう言って銀髪女は慌てた様子で俺の腕を振りほどき、どこかへ走って行ってしまった。
そしてその姿をぼんやりと見た後、俺は激しい頭痛に襲われた。
「いっったっっ、、、、!」
「昭吾っ!昭吾っっ!!しっかりして昭吾っっ!!」
さっきの轟音に負けない程の大声を聞きながら、俺の意識はとても深いところに落ちていった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!もしよろしければ評価やコメントいただけると喜びます。それと、この物語は長編なので、もし面白いと思った方は是非今後も引き続き閲覧してくださいねっ!