金太郎と幽玄世界
“霊感”という物は誰もが持っていると友達が言う。
……正直胡散臭い。なら霊感ゼロって有り得ないの?
「例えば盲目の人でも見えないと感じるなら視覚が在ることには変わりないよ。つまり霊感も同じ。ただ感じ方がわかっていないだけさ」
本来なら普通の人の霊感は閉じており、例え直ぐ傍に幽霊などの超常存在が立って居たとしても触れることはおろか感じることさえ出来ない。そんな霊感を開くには切掛が必要なのだと言う。
開いてどうするのさ。幽霊と世間話でもするの?
霊感の開き方。……例えば親が霊感持ち。これは理解しやすい。遺伝である。
友達が言うには遺伝とは少し違うらしいが……別にどっちでも良いよ。
霊感が開いていると霊と接触出来るようになるから、それによって霊感が開いている母体を通じて我が子である胎児の霊感が開くのだと言う。なにそれこわい。じゃあ下手したら子々孫々全員霊感持ちになるじゃん。……影響は母体と通じてる時だけ? なるほど男からは霊感は引き継がれないと。確かに遺伝とはちょっと違う。
次に臨死体験。……事故や病気なんかで死に掛けると霊感が開くらしい。これもよく聞くね。
死に掛けることによって死者の世界に近付き、それによって今まで感じることが出来なかった感覚が世界に存在していることに気が付く。友達はそう言った。……へえ。そう。
そして最後に―――霊的接触。
「接触ってどういうこと?」
「言葉通りだよ金太郎君」
「金太郎じゃなくて太郎です」
俺は赤い前掛けの尻出しスタイルな腕白小僧じゃないよ折り目正しい制服姿だよ。それにこの場所も熊さんが出没するような森じゃなくて平凡な公立高校の教室だよ。
「そうだったかな? ……まあ良いじゃないか金太郎でも。自分はこれからそう呼ばせてもらうよ」
「……まあ別に良いけど」
どうして目の前の友達が俺のことを金太郎と呼んだのか。それは俺の名前が『金田 太郎』だから。名字の頭文字と下の名前を合わせて金太郎。実に分かり易い。幼稚園の時から今までいったいどれだけの人に金太郎と呼ばれ続けてきたのか……推して知るべし。
古臭い名前だと自分でも思ってる。どうして俺の両親がこんなシンプルイズベストを突き抜けてテキトー極まりない名前にしたのか聞いたことがある。
―――太郎という名は古くから名付けに使われ、天皇を初め武家の人達が我が子の幼名に用いていた。由来や意味は諸説有るがその中で最も重きに置かれている意味、それは……『何者にでも成れる』ということ。
そうしてお父さんとお母さんは俺に言った。
『だから太郎は成りたい人に成りなさい。それだけの可能性が未来に在るから』
―――そう教えて貰った日から、俺はこの“太郎”という名前が……うん、好きになった。
周囲から「簡単な名前」だの「地味」だの「昭和生まれかよ」だの散々言われるのは変わらないが、それを受け取る俺自身の気持ちが変わったからか以前ほど気にならなくなった。
だから目の前の友達が俺を馬鹿にしているわけじゃなく、そう呼びたいから呼ぶと決めたのだったら別に僕は構わない。どうぞ好きに呼んでください。
「しかし鉞を振り回せそうな立派な体だね。中学では何の部活を?」
「部活は入ってなかったよ。学校から許可を貰ってアルバイトしてたから」
「……ふむ。そうか。……さて話しを戻そうか」
別に戻さなくて良いけど? 幽霊なんて存在と関わることなんて無さそうだし。……正直ホラーは得意じゃないし。
そう言えば何でホラー映画や恐怖体験談に出てくる幽霊ってあんなに人を恐がらせるのが得意なの? 演技派なの? 劇団員なの? 劇団死期なの? 死後に個性を発揮し過ぎだよ。
「……まだ幽霊の話しが続くの? 蘆屋さん」
「蘆屋ではなく、気安く下の名前で巧海と呼んでくれて構わないよ」
「知り合ったばかりでそれはちょっとハードルが高い」
ちなみに俺が中学3年の時、陸上部が片付け忘れていた走り高跳び用のハードルを勝手に使って出した記録は2m35㎝だった。
それでも友達――名を『蘆屋 巧海』。清楚風不思議系美少女。高校入学初日に向こうから話し掛けてくれて交友が始まった――が出したこのハードルは少々高い。なのでちょっと下げてもらおう。
「……幽霊の話し、まだ続ける? ……巧海さん」
さん付けでどうかご容赦ください。
蘆屋さん改め巧海さんは少し考える素振りを見せると「今はそれで良いか」と何か意味深なことを呟くと、さん付けで妥協してくれた。
「ふむ。……そう思っていたんだがね」
巧海さんが教室の壁に掛けてある時計を見る。その針が示す時刻は午後4時。既に教室には僕と巧海さんの2人しか残っていない。……しかし女の子の口癖が「ふむ」ってどうなんだろう。口調も変わってるし。もしかして彼女はオタク女子なのかな? コスプレとかしてくれた俺は泣いて喜びますよ?
「時間も時間だ。続きは明日にでもしようか金太郎」
そう言うと巧海さんは帰り支度を始める。俺もそれに倣って何時でも帰れるようにする。……しかし彼女、ナチュラルに金太郎呼びである。本当にこれからそれで通すみたいだね巧海さん。……あだ名でも女の子に呼び捨てにされるのは何かドキドキする。『もしかして巧海さん、俺のことが好き?』って勘違いしたらどうしてくれる。好きになるぞコラ。
「途中まで送ろうか?」
冬から春へと季節は移り変わり、日が出ている時間は長くなったけど夕方に変わりない。女の子1人帰すのは少し気が咎めた。
「ありがとう。でも自分はまだ少しここに用事を残しててね。それを済ましてからになるから金太郎は先に帰っていて良いよ」
「手伝えることなら手伝えるけど?」
「大丈夫さ。もう手伝ってくれるのは居るからね。帰りも一緒だから心配は要らないよ」
手伝いをしてくれて帰りも一緒。どうやら巧海さんは俺の他に友達を待たせているようだ。この教室のクラスメイトは既に帰ったから多分他のクラスの人。入学二日目なのにもう別クラスに友達を作ってるなんて巧海さんは俺が想像していた以上にコミュ力が高いらしい。……あ、彼氏ってパターンも有るか。巧海さん可愛いし。……やれやれ好きになる前で助かった。もし好きになった後なら致命傷では済まなかった(震え声)。
「じゃあね金太郎。またね」
巧海さんは笑顔で手を振ってくる。くそっ。可愛い。好き(致命傷)。
「うんまた。……でも気を付けてね。最近物騒な話しとかよく聞くから」
「通り魔が出る話だろう? 無論気を付けるさ。金太郎も気を付けてね」
無論って口に出して言う人初めて見た。すごいや巧海さん。俺の初めてをたくさん奪っていく。
「ありがとう。俺も気を付けて帰るよ」
まあ今の俺は初恋と失恋を同時に経験して悟りモードになってて無敵(精神的に)だから心配ご無用さ。
そうして可愛く手を振って俺を見送ってくれる巧海さんに背を向けて歩き、教室を出ようとした時。
「―――あ。そうだ金太郎」
「ん?」
ドアに手を掛けた所で振り返ると、巧海さんがその振っていた方の手にスマホを握り俺へと話し掛ける。スマホに取り付けられているストラップの鈴がチリンと軽やかな音を立てて揺れる。
「LINE、交換しようか」
―――そうして俺は巧海さんと連絡先を交換した。友だち一覧に登録された巧海さんの項目を見てにやけそうになる自分の表情筋を必死に押さえ込んだ俺は速やかに帰宅の途に就いた。
「さて、『華』。金太郎はこちら側に来るかな?」
誰も居ない筈の教室で巧海は語り掛ける。まるで自分の傍に他の誰かが居るかのように。……果たして、巧海の言葉に返事がきた。
『それは彼次第だとしか』
虚空より響く姿無き声。
「そう言う割りには来て欲しそうだね、華。郷愁でも感じているのかい」
姿の見えぬ相手と巧海は親しげに会話を始める。華と呼ばれた何かは少しだけ黙り込むと先程より僅かに小さくなった声で答えを返す。
『……否定はしません』
「君は本当に可愛いね」
『……体当たりしますよ?』
からかう巧海の態度に不機嫌になった華は虚空……声の出所付近に淡い火花を散らす。
「おっと。僕は地蔵じゃないから転けるだけじゃ済まないな。ごめんね、華」
『……あまりお痛が過ぎると怒りますからね』
「くふふ。気を付けるよ。―――さて、と」
巧海は席から離れると教室の窓へと近付く。そして2階の窓から校門を見下ろす。そこには丁度開け放たれている門を通って歩き去って行く太郎の姿が有った。
「金太郎。この世界はね、君が思っているよりも、広く、深く、そして―――」
日が建物の間へ沈んでいく。影が落ちる。
「面白い」
―――見えない世界が、見える世界を覆う。暗く、昏く、くらく…………
どうしてこんなことになったんだろう。
「―――ぁああアアアアアアアアアアッッ!!? ヤバいヤバいヤバいっ!!?」
走る走る走る走る。ひたすら走る。短距離走の授業なんて目じゃないぐらいの本気で肉体を走らせる。その腕に人一人を抱えて。
「……はぁ……はぁ……」
名前も顔の知らない男子。けど着ている制服は俺が通ってる高校の指定服、つまりクラスメートならぬスクールメイトである。そんな彼が顔を青褪めさせて荒い息を吐く。意識は無いか朧気な様子。普通に考えて体調不良。直ちに最寄りの民家へ赴いて助けを求めるか電話で救急車を呼ぶのが吉である。
―――しかしそれは出来ない。
「何処だここっ!!?」
それは決して迷子になったから口に出した言葉ではない。俺の視界に映る街並みは慣れ親しんだ物であり、どの道を通ればどの辺りに出るかは大雑把に理解している。
それなのに何故? 理由はもう嫌というほど突き付けられている。
―――路地裏で倒れていた彼を見付けた俺は真っ先に呼び掛けた。しかし反応は芳しくなく、それに緊急事態であると判断した俺はスマホを取り出して救急の連絡を入れようとした。
結果。電波は圏外だった。
おかしい。この辺りで電波が無いなど有り得ない。だからスマホの一時的な不具合だと思い再起動を試みた。
―――その時である。『あれ』と遭遇したのは。
「っ!!? くっそっ!! やっぱり振り切れない!!?」
路地裏を駆ける俺を追い掛ける……『怪物』
『ゥボボバババババババババババババババァアアアアアアアア!!!』
影が落ちたように黒ずんだ肌をした人間のような頭部と胴体、それに2~3倍ぐらい手脚を増やしてしっちゃかめっちゃかに生やした異形。蛸か蜘蛛かのように数が多い脚をせわしなく動かして地を駆ける姿は嫌悪感を強く刺激する。
異様な鳴き声を上げる頭部はその形も異常である。顔に備わるパーツのほぼ全てが普通の位置に納まらず、鼻が有るはずの所に口が有ったり、頬や額の位置に目や鼻が有ったり……それらも手脚の例に漏れず数がおかしい。悪趣味な福笑いのようだ。笑えない。
怪物は顔の中央に付いた口を大きく開き……いやいやいや……開きすぎ。文字通り人を頭から丸呑み出来そうなほど大きく開かれた口は現実感を失いそうな光景だが、それに反するようにそこから垣間見た生々しさは俺に圧倒的な現実を見せ付けてくれる。
不揃いでボロボロな歯は黄ばみ、口腔や舌は悍ましいぐらい真っ赤。そんな気持ち悪い口から十数mは離れているはずの俺達の所まで風向きを無視して吐き気が込み上げる血生臭さが届く。
捕まれば碌な事にならない。それが怪物の様子を見てはっきりと理解出来る。出来てしまう。
「くそ!! 誰もいない!!」
誰かに助けを請いたくて人を探しているわけではない。むしろ居るなら隠れていて欲しい。危険だから。あんな怪物と遭遇せずに済むならその方が良いに決まってる。
それなのに俺が周囲の街並みから人気を探そうとした理由。それは―――誰もいないからである。
俺が逃げ回る街は、人っ子一人いない無人街と化していた。
―――スマホの再起動中。突然現れた怪物を見た瞬間に俺は倒れている男子を抱えて脱兎の如く走り出した。
怪物はその白濁した眼球で俺達を視界に収めていた。背筋がざわついた。あれは獲物を狙う捕食者……なんて生易しい視線ではなかった。
直感した。
あの瞳には獣が持つことはない、野生とは程遠い『悪意』が有ると。そして……あれは血の通わぬ『非生命体』であると。
そうして逃げ回りながら俺は違和感を覚えた。
路地裏に居た時はまだ違和感だけだった。
通学路に出た時に違和感は悪い予感に変わった。
そして通学路を走り抜け、普段なら人が賑わっている大通りへと足を踏み入れた時……悪い予感は確信に変わる。
人が完全に消えている。
俺と彼を残し、この街から人間が一人残らず消え去っていた。
いつの間にか俺は、知っているのに知らない世界に迷い込んでいた。
―――そうして俺は無人となった街中を舞台に怪物と追いかけっこに興ずることとなった。
理解出来ない不気味さと息が詰まりそうな恐怖を押し付けてくる、重苦しい空気が立ち込める無人の街。そこを俺は汗を滲ませながらひた走る。
いったい前世でどんな悪行を積めばこんな酷い仕打ちを受けるのか。もしそれを解明できればノーベル賞物だやったぜ。死ね。
『バババババババババババ!!』
「!? げえ!?」
俺はうなじを駆けた寒気に従い、全力で咄嗟に横に跳ねた。
そして直前まで自分が居た位置を突き抜けていく物を見て汚い悲鳴を上げる。
触手である。
ブヨブヨとした赤黒い触手がそこにあった。
俺は走る脚を止めることなくその触手の先端へ目を向ける。視点が合うのと触手の先端の横を通り過ぎるのはほぼ同時だった。
「……うっわ……」
針が生えていた。指のように太く、肘から手首よりも長い、ドロドロの粘液を滴らせる針が触手からヌルリと生えていた。
「ぅうっわ」
その触手が尻の部分から伸びているのを見てさらに怖気が走る。あれが何処から生えているかなど考えたくも無い。
「……もしかして……刺されたらこうなるのか」
腕に抱える男子を見下ろす。彼の着ている学生服、その腕の部分には穴が空いており、その穴から見える素肌の一部が紫色に変色し痛々しく腫れ上がっている。見るからに毒か何かだろう。体に良いはずがない。気の所為でなければ変色部は徐々に広がりさえ見せている。
この男子はきっとあの怪物に襲われたのだろう。そして針で刺され苦しむことになった。
体の自由が奪われた後どのような目に遭うか、想像したくない。きっとあの大口で……クソッ、考えるな!
『ボバババババ!』
怪物の鳴き声。それが俺にはこちらを嘲笑う声に聞こえた。
「……調子に乗りやがって」
苛立ちが腹の底から湧き上がる。
あの追跡者に対して激しい怒りを覚える。
いくら走れど抜け出せない……気が付けば同じ所をぐるぐると回る羽目になっている、この異様な無人街に対して怒りを覚える。
苦しんでる彼を安全な場所へ連れて行けないことに怒りを覚える。
そして何より―――『逃走のみ』で状況を打開しようとしていた自分の浅はかさに怒りを覚えた。
「ヤってやる」
俺は思い出す。時間にして十数分前に聞いたばかりの話しを。
記憶の中でも相変わらず綺麗な顔、その顔に不敵な笑みを貼り付けた俺の友達は得意気に語る。
『霊感は誰もが持っている』『切掛さえ有れば』『霊感を開く方法は―――』
脳の端を擦り抜ける言葉。聞いていた当初は適当に流していたそれ。
あれが霊の類いなのかどうかはわからない。だけど今はその言葉に感謝する。
俺は背後の怪物を横目に睨む。
「怪物。霊の類い……見えてる……襲われてる……霊的接触……傷を負わされる。……触れてくる、ということはつまり『触れる』。今の俺の霊感は―――開いてる」
呟く。自分へ言い聞かせるように。
―――怪物は再びけたたましい鳴き声を上げると針触手を打ち出してくる。
その速度、体感的に時速150㎞は出ている。これが野球での投球なら間違いなく高校野球エース級のスピード。そんな速度で迫ってくる触手針は人の肌など容易く刺し貫くだろう。それこそ腕に抱える彼の傷よりもっと深い傷を負わされるだろう。
迫る。
一直線に凶器が迫る。
狂った鳴き声と共に迫る。
俺の首を刺し貫こうと高速で迫る。
それを俺は―――
「シッ!」
振り向きざまの右アッパー。
下から掬い上げるように打ち出した拳が触手針の根本付近へめり込む。ゴム塊のような感触と気持ち悪い生暖かさを肌と拳骨に感じる。
触手が殴打の衝撃でたわむ。
針の先端が俺の鼻先で跳ねる。
そしてそのまま―――
『ビッ!?』
触手は俺の頭上へ跳ね上がった。
両手を打ち鳴らしたようなパンッという軽快な音と共に殴り上げられた触手。
表情が読めない怪物はその異形の顔をさらに理解不能の形相にした。
やっぱりだ。こっちからも触れる。
俺からの攻撃は……通用するっ!!
「何だ、驚いてんのか? 抵抗されるのがそんなに不思議か? ―――俺は黙ってヤられる獲物じゃねえぞッッ!!」
俺は怪物を睨み付け警戒したまま、左腕だけで抱えていた男子を道の端にそっと横たえさせる。悪いけどもう少しだけ我慢してくれ。絶対に助けるから。
そうして俺は、地を蹴る。駆ける。
逃げるんじゃない。向かうのは……怪物が立つ場所。
俺はもう、逃げない。
『 !? ―――ゥボバババババババババ!!』
驚愕から立ち直ったのか怪物は触手を引き戻すと、間近に迫った俺に対してその大量の手脚を振り上げる。近距離なら触手よりも手脚の方が対応しやすいと判断したのだろう。
怪物の手脚が来る。
左右の建物の壁や地面の舗装を削りながら迫るそれら。アスファルトやコンクリートを破壊する一撃は人体など濡れた紙を裂くように容易く引き千切るだろう。
上下左右。縦横無尽。
空間を埋めるように途轍もない速度で振られる数多の手脚は俺を害そうとする怪物の意志の体現。
「……不意打ちして、そうやって恐がらせて、嘲笑って」
避ける。
迫り来る手の1本1本。脚の1本1本。その全てを避ける。
「そんな風に人を傷付けて……楽しいのか?」
『ヴァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
こいつはずっと捕食者だったのだろう。害する側だったのだろう。有利な立場で弱者をいたぶる卑怯者だったのだろう。
だから当たらない。避けられる。
そんな攻撃が俺に当たるわけがない。
「見えてるぞ」
俺は、自分が生まれ付き持っている『特異性』を発揮して攻撃を回避していく。異常性と言い換えてもいいかもしれない。
人間の反応速度。
その限界点。
0.11秒―――それをさらに越える。
思考さえ置き去りにして、肉体は防衛本能に従い襲い来る危機を避ける。
破壊力は文字通り怪物級。しかし速度はたかだかプロボクサーのジャブ程度。
プロボクサーが相手に拳を当てているのはなにも速さだけが理由ではない。
距離・角度・直前の動作・相手の状態……そんな複合的要因を自己の経験や予測によって意識・無意識的に計算することによって相手に攻撃を当てているのだ。
だから当たらない。
こんな悪意を振りまくことしか頭にない、下種が闇雲に振り回す攻撃など、当たる筈がないのである。
時に頭を下げ、反らし。時に半身になり、前へ踏み込む。スキップするように横へ跳ね、時には怪物の手脚さえ足場代わりに回避する。
コンマ1秒。1㎜。
そのズレが生死を分ける世界で俺は極細の糸のような活路を疾走する。
これがお前の限界なら、回避に全力を傾ければ……掠ることすらないッ!
『ゴババババッ!! ギギギギギッ!!』
俺が常人離れした反応で避ければ避けるほど、怪物の攻撃はより大振りになり雑になっていく。
振られる手脚。削られる壁と地面。
避ける為に反射で動く体。―――それが最初の時と比べ、どうしてか余裕が生まれ始めていた。
(……ん? 今……明らかに攻撃が遅く……)
……こいつ、まさか。
「……お前……弱くなってねえか?」
『ッ!!』
別に煽ったわけではない。
自動操縦の如く肉体の反応だけで攻撃を回避しながら、独立した俺の脳は冷静に怪物を観察していた。
だから気付いた。
振り回される手脚は徐々に速度を落とし、壁や地面に刻みつける破壊痕は速度低下と比例するように浅くなっていく。
理由は不明。だが確実に―――怪物は弱体化している。
『ッッァアギバアババババババババババ!!!』
怪物は怒ったように……いや、まさに怒っているのだろう。近距離では使ってこなかった触手針すら尻から伸ばし、手脚と合わせて取り乱したように暴れる。
その狂乱。まるで図星を突かれたのを誤魔化す地団駄。
「へぇ。言葉が通じてるみたいだな」
笑う。さっきまで怪物が笑っていたのを塗り潰すように、今度は俺が奴を嗤う。
最初の接敵時には反撃が困難だった猛攻も、今はもう見る影もない。手脚に触手が加わろうと軽々避けていく。
どうして近距離では触手を使わなかったのか。その答えは直ぐにわかった。
手脚と触手、その両方が互いの動きを阻害している。
どっちか片方を主にしないと十全に効果を発揮できないのだろう。さっきまで蜘蛛のような腹這いに近い体勢から身を上げるように移行して股座から触手を出して振り回す。
実に滑稽。
実に……馬鹿馬鹿しい、ヤケクソな行動。
だから生まれる―――隙が。勝機が。
回避に傾けていた反応を……攻めに転ずる。
火花が弾ける。
肉体の内側を駆け巡る生体電気の迸りが、眼球の奥で火花を咲かす。
右の拳を握る。強く強く。一個の鉄塊へと成るように。
「おい化け物」
幼少期から現在まで。強すぎる生体電気により途轍もない負荷が掛かることで異常発達した筋骨・血管・神経……その全てが唸りを上げる。
“名前:金田太郎”
“身長:189㎝”
“体格:骨太の筋肉質”
“血液型:O型”
“体重:―――
「人間を」
―――百四十㎏”
踏み込む。地面を踏み砕く程の蹴り出す力が下半身から上半身を駆け上がる。
腰の捻り、上体の躍動。それらが駆け上がってきた力を乗数的に跳ね上げる。
そうして生まれた激しい力の奔流を尋常ならざる神経が寸分の狂いなく紡ぎ上げ、敵を刺し貫く1本の強靱な『槍』と化す。
「舐めるな」
拳撃。
衝突するは怪物がさらけ出した土手っ腹。
筋力×速度×重さד電”……その一撃が炸裂する。
『ゴッッ―――!!?』
腹の奥底に鈍く響き周囲を震わせるドゴンッ!という重低音と共に、怪物は吹き飛ぶ。
その体をくの字に曲げて、錐もみしながら、後方へとブッ飛ぶ。
「―――フゥウー……」
残心。思わぬ事態が発生しようと対処可能なよう直ちに次の行動を見据えながら怪物が転がっていくのを睨み付ける。
“六合大槍”
内なる三合・外なる三合。
内三合『心と意・意と気・気と力』外三合『手と足・肘と膝・肩と股』
その全てを掌握し、束ね、紡ぎ、肉の身よりて打ち出される其れ成る拳は『神槍・六合大槍』なり。―――俺が小五の時に公園で出会ったなんちゃら拳法の使い手であるホームレスおじさんの教えを実戦した一撃である。大人は何でも教えてくれる!
「……ん?」
俺は見た。
倒れた怪物。その体が崩れていく。
燃え尽きた灰がボロボロと崩れるように。怪物の体が消え去っていく。
「……じゃあな、化け物。もう二度と出て来んな」
残心を解除し、緊張していた肉体を解す。
怪物は完全に消えた。跡形も無く。
影に沈んで消え去った。
突然、周囲に喧噪が戻って来た。
「―――うおっ」
お、おお……ビックリした。
俺は周囲を見渡す。
「……直ってる」
怪物が暴れて破壊した風景が元通りになっている。
「…………」
道の端に寝かせていた彼の元へ走り寄って様子を見る。
「……すぅー……すぅー……」
「……寝てら」
服の破れ目から見えていた毒による腫れ。それもすっかり引いて治っている。……服は直らないのね。
「うん。無事だっただけで良しとしてもらおう。……制服代は頑張れ」
結構高いんだよなー、制服。
俺は「よっと」という掛け声と共に彼を背負うと表通りへ進み出る。
そして表通りを目にして俺は安堵の息を吐く。
「……良かった。ちゃんと帰ってこれてる」
目に映るいつも通りの景色。
夕暮れを越え、星月が主役になった夜空。
その夜空の下、薄暗さに包まれながらも、人の活気が溢れているのを遠くに感じ取ることが出来た。
「帰ろう」
疲れた。もう家に帰って寝たい。寝て今日あったことは夢だったと思いたい。……まあ、その前に寝てる彼をどうにかしないと。やっぱり家まで運ばなきゃいけないのかな? それかここら辺の人に任せる?
―――そうした俺が考えた行動の全ては、却下されることとなった。
「やあ金太郎。元気そうで何よりだ」
「……は……へ?」
巧海さんが居た。
俺の目の前に。手を伸ばせば触れる距離に。
あの不敵な笑みを浮かべて。あの頭一つ低い、小さな背で、俺を見上げている。
ま、待て待て待て! 一体いつからそこに居た? いつの間に? どうやって?
「まさか1人で、しかも“見鬼”に目覚めたばかりで“霊気”の存在すら把握していない状態で、最下級とは言え『マモノ』たる『蠍』を打倒するとは……うん、驚いたよ」
……え? 何? 言ってる意味がわからない。
れいき? 最下級? まもの? サソリ? いったい巧海さんは何を?
「途中で助けようと思ったんだけど戦ってる君の姿に見ほ……ンンッ! ……僕が手を出す前に終わっちゃったからね。結果、何も手助けしなかったことに関しては謝るよ。すまなかった」
いや、話しについていけてないんだけど。ってか巧海さん僕っ娘? は? 可愛いんですけど。
「“蠍”は街の隙間に潜むマモノでね。獲物を縄張りに引き込み、毒針で弱らせ、対象の霊気を貪る。最近この街で起きていた通り魔事件の真相、まさに君は『通り』道で『魔』と遭ってしまったというわけだ。……ちなみに“蠍”を討伐する方法としては尾のように生える触手を霊気を用いた攻撃で切断するのが一般的でね。そうすれば“蠍”が人を襲って内に蓄えていた霊気が解放され、最後には己を構成する霊気すら霧散させて自然消滅する。勿論金太郎がやったように力尽くでの討伐も可能ではあるがお勧めはしない。危険が高いからね。“蠍”が弱体化したのはそんな危険を顧みず臆さず攻めに出たことで逆に“蠍”の方が畏怖されたからさ。マモノは僕達みたいに物理的な肉体を持っているわけじゃなく霊的な要素で存在を構築しているから精神の影響を強く受けるんだ。……笑えるね、人間を恐怖させて悦に浸るマモノが逆に怯えて討ち取られる最期を迎えるなんて」
はえー……成る程?
言ってる意味はわからないが、彼女が何らかの事情に通じているのはわかった。
……うん。一気に説明されて頭が痛くなりそう。
「た、巧海さん? 君はいったい……」
「ああ、すまない。ついつい説明に熱が入ってしまった。君の活躍がそれだけ素敵でね。許してくれるかい?」
「はい」
即答しちった。
だって仕方ないじゃん……可愛い子に素敵だなんて言われたら……。男の子だもん。
「ん。長々と話しを続けるのも悪いし……僕の用件に入ろうか」
用? もしかしてこの寝てる彼を運ぶ手助けをしてくれるとか?
「救助隊はもう呼んであるから直に来るよ。その時に彼を渡せば良い」
巧海さん、仕事が早い。
「僕の用件はそっちじゃなくて……君にだよ。金太郎」
「俺?」
「うん」
な、なんだろう俺に用件って。自分で言うのもなんだが俺はあんまり頭が良くないから御期待に添えないかもしれないよ?
「なーに。身構えなくとも、そう難しい用件じゃない。……実は僕の『頼み』を聞いて欲しいという物なんだけど」
「……取り敢えず、聞くだけ聞きます」
「ありがとう」
笑顔でお礼。……くっ! やっぱり可愛い! 何でも言うこと聞きますよ!(思考停止)
「さて、それじゃあ……金太郎は『封龍学園』という学び舎は知ってるか?」
「ふうりゅう? 悪いけど知らないね」
もしかして有名な学校? 知らないと恥ずかしい系ですか?
「知らないのも無理は無い。僕達が先日入学を果たした『表の学び舎』とは違う『裏』の物だからね。聞いたのは一応の確認の為だよ。こっちの世界に通じてるなら名前ぐらいは耳にするからね。つまりこれで金太郎はこっちの世界に全く通じてないのがわかった」
「は、はあ?」
気の抜けた返事をしてしまった。だってまだ理解が追い付いていないからね。仕方ないね。
「細かい説明は省こう。僕はパートナーを探しているんだ」
「パートナー?」
「うん。その学園でのし上がる為のね。実は僕は……と言うより家系かな? それがあまり周囲から良く思われていなくてね。その分敵も多いのさ。そこで僕はそんな周囲の逆境を撥ね除け『夢を叶える為』、優秀な僕と釣り合う大きな才能を持つパートナーを欲したのさ」
のし上がるとか、巧海さんは上昇志向が強いらしい。自分で自分を優秀だなんて言ってるから自己評価も高い。普通ならいけ好かない生意気な奴、みたいな評価を受けるだろうけど……。
それを言ってる巧海さんの得意顔が可愛いから許す! うん。許すとか何様かな俺。
「……ここまで言えば僕が君に頼みたいことがわかってくるんじゃないか?」
「…………」
ああ。流石にわかる。
つまり巧海さんは俺にその『ふうりゅう学園』なんて名前の学校へ一緒に来て欲しいってことだろう。パートナーとして。
……あれ? それって今通ってる学校は辞めなくちゃいけないってこと? マジですか? そんなに偏差値高い学校じゃないけど俺入学するのに結構頑張ったんだよ? 勉強苦手だけど頑張ったんですよ? それが入学2日目にして退学とか……どうしよう……。
いやでもパートナー……くっ! 心惹かれる響きっ! 巧海さんとパートナーになって過ごす学園生活なんて夢が有りまくり過ぎる!
「じゃあ改めて……金太郎。僕の頼みを言おう」
巧海さんはニンマリと笑みを浮かべると両手を腰に当てて胸を張る。
……デカいな。……いや背は小さいよ? ただ制服を中から押し上げてるおっぱゲフンゲフンッ。煩悩よ消え去れいィイ! 巧海さんが今俺にお願い事をしようとしてるだろう! デカいのはそう、態度だ! イヤー巧海サンノ態度ハトテモ豊満デスネ。
そんな阿呆なことを脳内で繰り広げていた時、巧海さんは口にする。
とんでもない頼みを。
「―――金太郎。僕の奴隷になれ」
「嫌です」
即答で断った。
「……はれ?」
いやいや「はれ?」じゃないですよ。
いきなり奴隷になれとか頭おかしいっすよ。
ヤベー。
人に向かって奴隷になれとか巧海さん想像以上にヤヴァイ。
「な、何故っ!?」
「こっちの台詞では? 義務教育を済ませた一般高校生に願い出る案件じゃないよね? 奴隷って何処の国の制度ですかい」
わたわたして戸惑いを見せる巧海さん。
ア゛ーッ!! 可愛いッッ!!
でっ、でもその願い事は受けられません! 奴隷になんかなりたくないから!
そもそも奴隷って何をする仕事(?)なんだよ。
あれか? ご主人様に傅いてご奉仕する仕事か?
「…………」
主人……巧海さん。奴隷……俺。ご奉仕……―――出来が悪いとご主人様である巧海さんからお仕置きを受けたり、良い仕事をしたらご褒美を貰えちゃったり。そんな主従の耽美で背徳的な日々。
あれ? 悪くない?
……いやいやいや待て待て待て。やっぱり奴隷は駄目。駄目駄目だ。落ち着け俺。クールになるんだ。クールになれば何でも出来る! 1・2・3・ダァアアアア!! よっしゃ! 俺はクール!
そうして俺がめっちゃクールになった時である。
「『華』ー!!」
巧海さんは突然振り返ると、背後に向かってそう声を上げた。
ハナ?
「―――……はぁ……何でしょう? お嬢様」
…………。
……ファッ!?
知らないお姉さんがいきなり何も無い場所から出て来た!?
赤い髪の女性。着物(いや着物か? わからん。和服は全部着物だ)、上は炎のように赤々とした花模様で染められ裾の辺りは川や池のような水模様で染められた、漫画やアニメのコスプレのように派手で所々露出が有る、奇異でありながら何処か品のある不思議な着物を身に纏った女性が突如としてこの場に現れた。
巧海さんは急に現れたお姉さんへ縋り寄る。
「華!? おかしい!? 僕何か間違ってたか!?」
「強いて言うなら頭が可笑しいかと」
「何だって!? 僕はきちんと初代様が書き記した古文書通りに誘ったぞ!? それなのに素気なく断れた! しかもあんな冷たい目で!」
「あんな落書きを真に受けるからですよ」
「『私はこれで意中の彼を落とした』って書いてたぞ!?」
「……確かに落ちましたね。好感度が」
などとよくわからない言い合いを(巧海さんが一方的に声を荒げてる)をしているのを俺はその場から動くことなく眺める。
…………。
あれ? 俺びっくりするぐらい蚊帳の外になってない?
「ど、どうすればいい? 華ぁ……」
「変に格好付けようとするから駄目なんですよ」
あれ、巧海さんちょっと涙目になってる? ……うっ! 胸キュンで心臓麻痺になる!
「じゃあ正直に言えば良いの?」
「最初からそうすれば良いんです。取り繕わずに本心を伝えれば、きっと上手くいきます」
「ほんと?」
「ええ。……それよりなんで“式神”である私が主たるお嬢様のお悩み相談を受けなくてはいけないのですか? これではどっちが主従なのかわかった物ではありません」
「う、うるさいっ」
……さっきからなんだろう。
学校ではビシッとしてた巧海さんがハナと呼ばれてるお姉さんに縋ってる……甘えてる?姿を見てると、なんかこう……普段とのギャップが……うん! 良いよね!
「よし! 僕は行くぞ華!」
「行ってらっしゃいませお嬢様。……また頓痴気なことは口走らないでくださいね。普通に一緒に学園に通って欲しいとお願いすれば良いのですから。お嬢様は興奮して冷静さを欠くと大胆と言うか阿呆な発言をしてしまう時が多いですから。そんな所ばかり初代様と似なくても良いと、お嬢様の“式”である『火杜ノ華徒鬼』は忠告します」
「よ、余計なことばかり言うの禁止っ!」
そうして巧海さんは華さんを背後に置いて、俺の方へズンズンと歩み寄ってきた。
先程の、俺の目の前に現れた時と同じ位置に巧海さんは辿り着く。
「金太郎!」
「あ、はい」
顔を赤くした巧海さん。彼女が緊張しているのが人の機微に疎い俺にでもわかる。こっちにまで緊張が伝わってくる。ドキドキしてきた。
「私と共に封龍学園に来てくれっ。私には君の力が必要だ!」
「……う、うーん……」
改めてそう言われても。
巧海さんが真剣なのは理解出来る。事情は知らないが彼女なりに必死になる理由が有るのだろう。
……でも俺にだって今の生活が有るし。折角今の高校にも通えるようになった。もし突然転校するようなことになれば父さんや母さんにも説明しないといけないだろうし、妹も絶対に文句言ってくるだろうし。……んあ? もし転入試験なんて有ったらどうする? 俺の学力でいけるのか? 『学力……たったの2か……ゴミめ』なんて事態になる可能性もある。
……うん決めた。……色々と気が引ける感じも有るけど、ここは断ろう。本当に申し訳無いけど。
「……巧海さん、悪いけど……」
ごめんね。でも俺なんかよりお似合いのパートナーが何処かにきっと居る筈だよ。……あれ? 自分で言ってて涙が出そう。べ、別に巧海さんのことなんて好きじゃないんだからね! 勘違いしないでよね! 嘘、好き(即堕ち)。
―――そんな俺の葛藤や否定を掻き消すように、巧海さんは大きな声で遮る。
「よしわかった!? ならこうしよう!?」
ん?
俺を見上げる巧海さん。
顔を真っ赤にして、気の所為か目がぐるぐる回ってる気がする。大丈夫? 風邪? 明らかに普通じゃないよ。
そんな状態で巧海さんは声を荒げて言う。
「いいか金太郎!? もし君が私のパートナーとなって封龍学園に通うことを誓ってくれるなら……行くと答えてくれるなら―――」
な、何だ? 凄い気迫……
「―――この僕、蘆屋巧海がっ!? 君の『恋人』になるっ!?」
「行きます」
―――こうして俺は巧海さんと共に封龍学園に通うことが決まった。
巧海さんはなんか放心状態になってた。
華さんの方は顔を手で覆って天を仰いでた。
え? 今までの葛藤はどうしたって? そんなもん美少女と付き合えることに比べたらうんこですよ、うんこ。モテる人にはそれがわからんのです。
【次回予告ゥウ!!】
世界の影に潜み人を襲うマモノ!
それの討伐を生業にする様々な者達!
超能力者・魔法使い・陰陽師・獣人や亜人……その他ァアア!!
扱う力。技。その呼び名は千差万別数有れど! そのどれもが超常の力に変わりなく!
そんな超人・変人・奇人……その雛鳥未満の卵達が跳梁跋扈する学園こそが“封龍学園”!! 一部の卵は跳ね回りすぎて割れて潰れてしまう! そんな過酷な学園!!
そんな学園に通うこととなった金田太郎の運命や如何に!!?
次回!!「金太郎と幽玄世界」第2話ァア!!
『俺の彼女がこんなにイキり可愛いわけがない』
『退魔科学校の劣等生』
『ボディランゲージ・オンライン』
―――の3本ッッ!! 次回もサービスサービスゥウウウウ!!
続かない。続かないったら続かない。
蘆屋道満、女の子説(ソシャゲ脳)