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vsオーク。爆発魔法もあるよ!

タイトルを漸く決めました。

これまで:転生魔法使いと愉快な仲間達(仮)

これから:転生したら最強の魔法使い。ルナと愉快な仲間達の異世界ゆる物語。

↑これで行こうと思います。

 私がもう一度ティアに謝罪をしようとした時、家のドアを激しく叩く音が聴こえてきた。


"ドンドンドンドンドンッ"


 顔を見合わせる三人。

 これにより私もティアもすっかり毒気を抜かれて素に戻っている。

 

「私が出ましょうか?」

「ううん、私が出るよ。ありがとう」


 ティアの申し出をやんわりと断って玄関に向かう。

 その間にも叩かれ続けている扉。


"ドンドンドンドンドンドンドンドンドンッ"


 壊さないでね。

 今度呼び鈴の魔力製品を家に設置するべきだなぁなんて考えながら扉を開ける。


「はいはい。どちらさまですか?」

「むっ。自分はトゥラソス王国近衛騎士団所属。クレタ・マルシェルという。すまないがここにルナという大魔法使いがいると聞いたのだが間違いないだろうか?」

「ルナは私ですけど...」


 そこにいたのは菫青石色の瞳、凛とした顔立ち、白銀の髪にそれと同じ色の軽鎧を装備した、いかにも騎士と言わんばかりの女性。

 ただ全体的に小さくてずんぐりとしている。

 これはあれかな? ドワーフさん? 間違いなくドワーフさんだと思う。

 そのドワーフさんが我が家に何の用なんだろう?

 多少警戒しながら尋ねる。


「何のご用でしょうか?」

「うん。実は冒険者ギルドのジーネ殿から聞いたのだが...」


 あ! これ絶対厄介ごとだ。


「貴殿は全魔法を使いこなす天才魔法使いと伺った。そこで是非力を貸して欲しい」


 ほら、ね。やっぱり。話は聞くけど。


「どういうことでしょうか?」

「最近オークの集団が王都に攻めいろうとしているという情報があってな」

「くっ...殺せ!」

「んっ?」

「あ、なんでもないです。ごめんなさい」


 つい反射的に言ってしまった。

 オークと女騎士と言えばそれが定番ネタだって前世で看護師さんから聞いたことあったから。

 ライトノベルとかゲームとかもよく貸してくれてた。オタクな看護師さん。元気かなぁ。


「...よく分からないが話を続けてもいいだろうか?」

「はい、どうぞ」

「うん。まぁつまり貴殿の力を貸して欲しいのだ。勿論報酬は出す。オーク撃退の暁には陛下から数年は遊んで暮らせるだけのゴールドが与えられるだろう」

「そんなに!?」

「それだけ事態は深刻なのだ。どうだろう? 共に戦ってくれるか?」

「はい!」


 お金をもらえなくてもこれには乗っていたと思う。

 私が断ったら王都の人達を見捨てたみたいで寝覚めが悪くなりそうだし。

 

「私の力なんて微々たるものですが頑張ります」

「謙遜が上手いな。期待している。出発は翌日になる。それまでに準備をしておいてくれ」

「はい」


 クレタさんとの話を終え、リビングに戻った私はティアとステラにもこの話をして協力を要請した。

 快く受けてくれた二人。

 翌日にクレタさんと共に馬車に乗り込んで王都へ。

 オークとの全面対決は二日後に王都に辿り着いたその深夜のことだった。


 草木も眠る丑三つ時。

 二足歩行のブタの魔物達は少しずつだけど確実にこちらに近づいて来る。

 異様に膨らんだ腹をゆさゆさと揺らしながら、目を爛々と輝かせながら、涎を零しながら。

 その数ざっと八千。対してこちらの迎撃軍はたったの百。しかも全員女性。

 どうも何処かの組織の上のほうが私達を囮にしてオークに襲わせている間になんらかの対策を取ろうとしているらしい。

 オークと言えば女好きだもんね。

 上のほうのやりたいことは分かるけど許せないな。


「ルナさん」


 怯えたティアの声。

 

「大丈夫」

 

 と声を掛けて私は口角を緩やかに吊り上げる。

 あれだけの数がいるなら試してみてもいいかもしれない。

 上手くいけば大幅に数を減らすことが出来る筈。


 私はこの軍の指揮を執っているクレタさんに「()()()使()()()()」と告げて最前列に立つ。

 両手を前に突き出し、意識を集中する為に目を閉じて体内に流れる魔力の尾を掴む。


「黒炎よ、すべてを焼き尽くす闇の業火よ」


 私が突き出した両手の前に魔力の塊が現れる。


「我が前に現れその力を示せ。我が名はルナ、すべての魔法を使役する者」


 魔力の塊は私の身長よりも大きくなり、台風の如くその場で荒れ狂い始める。


「地を抉き、空を切り裂き、燃え盛れ」


 暴れ、踊り狂う魔力の嵐。やがて炎をその身に宿す。


「究極魔法」


 闇を纏う炎。黒き炎の誕生。


「エクスプロージョン」


 ついに解き放たれる魔力。

 獲物を食い尽くさんと飛翔して――――――――。





――――――――――――――――しーん。





 一瞬の静寂。

 後、凄まじい爆発音。真空波が発生して木々を凪ぎ、大地は震えて炎が辺りを焼き尽くす。

 そんな中平気で立っているのは私だけ。そう、私だけ。

 どうも魔法って術者にはとことんまでに無害らしい。

 けどその他の生命体や無機物には...。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「ひぃぃぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


 阿鼻叫喚の地獄絵図。

 やりすぎた...。

 顔から血の気が引いていく。


 この後オークは全滅したらしく解散。

 私はなんとか立ち直ったクレタさんやティアから激怒されて四方八方から叱られた。

 ちなみに黒炎は三日三晩燃え続けたらしい。

 王都の被害は主に私のせいで甚大。

 そして今後私は王都立ち入り禁止処分を言い渡された。

 報酬は当然辞退した。

 王都の復興に使って欲しい。


 それにしても魔法って手加減間違うととんでもない。

 私はただただ反省するのだった。


 それから一週間後。


"ビーーーーーーーーーーッ"

  

 王都から戻ってすぐ、ハンナさんの雑貨屋さんで購入した呼び出しベルが早速活躍している。

 洗い物の手を止め、ハンドタオルで手を拭いて急いで玄関に駆けて行って扉を開ける。


「は~い、どなた...ってクレタさん?」

「ああ、久しぶりだな。ルナ殿」

「どうしたんですか? また何かありました?」

「いや、それがだな」


 目を伏せるクレタさん。

 どうしたのだろう。どうも前よりも覇気がない。


「近衛騎士をクビになって王都から追放されてしまったのだ」

「えっ? 何があったんです!!!?」


 クレタさんとは短い付き合いだけど、クビなるような人ではない筈...。


「黒炎の魔導士を王都に招き入れて王都を大混乱に陥れた罪でな」

「あぅっっっ!!」


 黒炎の魔導士とは私のこと。

 あの後王都の人達から付けられた称号だ。

 私自身にもあれはトラウマになっている。

 凹んで膝を折って蹲る私。


「本当にごめんなさい.......」


 震える声で謝罪する。

 クレタさんは苦笑い。


「いや、過ぎたことは良い。それよりすまないが暫くここで厄介になることは出来ないだろうか?」

「私の他に二人いますが平気ですか?」

「ああ、勿論だ。無論タダで世話になるつもりはない。貴殿らの仕事の手伝いはさせてもらう」

「それじゃあ...。と家事なんかは出来ますか?」

「ああ、こう見えても自分は綺麗好きだ。その辺りのことも任してくれ」

「本当いろいろごめんなさい。歓迎します。クレタさん」

「ありがとう。後、自分のことはクレタと呼び捨ててくれ。敬語もいらん」

「分かりました...。分かった。クレタ」

「ああ、よろしくな。ルナ殿」


 私はクレタさんを室内に招く。

 ティアにはすぐに歓迎されたけど、ステラは明らかな嫌悪を示した。

 ドワーフとエルフって仲悪いんだっけ?

 

「えー。このドングリと一緒に暮らすの?」

「ふん。まな板が喋るのか。珍しいな」

「何を!!」

「なんだ」


「騒がしくなりそうですね」

「でも楽しそうだね。ティア」

「はい!!」

「ふふっ」


 こうして私達は四人になった。

 前世ではずっと一人だった私が今は賑やかな仲間達に囲まれて。

 私は胸に温かいものを感じ、心から微笑んだ。

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