明晰夢で夢オチ
その週私は忙しかった。友達ができはじめて遊びに時間を使った結果…学校の課題が終わらなかったのだ。
ほぼ1週間、眠れた時間は3時間程度。
人間ってピンチになると意外とたくましいものだと自分の体に驚きながら、なんとか課題を終わらせた。
その夜のこと。
眠ると、宇宙人らしき顔がアップで出てくる夢になるのだ。
何度も起きて、寝直した。エイリアンの外見は魚のような顔で怖い。
起きて、また寝て、起きて、また寝て。
何度も魚の宇宙人が出てくる。
疲れていたので、悪夢でもいいかと眠りについた。
夢の中で私は、奴らにどこかへ誘導されている。
宇宙人は口を開かない。色々な言語が聞こえたが全くわからない。
地球の日本に来たのだから日本語で聞けばいいかと思ったので、
「どうせ夢だろうけどやめてくれよ、疲れてるんだ。」と仕方なく夢の中で喋った。
「怖がらないでほしい」と、宇宙人。キンキンした耳なりも聞こえるので、寝不足のせいだろうと思った。
「怖がらせないようにして欲しい。例えば地球人に似せられなかったの?」と、私。
宇宙人はおどおどしながらこう答えた。
「そういう技術はあるけど、これでせいいっぱいで…。」
友好的なやつなのかもしれない。でも人が寝たいのに夢に出てくるのは友好的でもないような気がする。
「われわれは、いろいろな星を調査している。少し人類を調べたいだけだ。そのかわり、ききたい事があれば答えられる範囲で答える」ようなことを身振り手振りで伝えてきた。
うさんくさい。体に触れて欲しくない。
友好的なふりをして裏切るやつだって地球にも沢山いるんだ。
とりあえず機械の類は近づけないで欲しかった。
とにかく深く眠りたかったので、「宇宙の絵画を見せてくれ」と言ったのだが、そういった文化はないらしい。
やつらには性別も感情みたいなものもないらしい。
難しいことを聞いても、「君たちに理解できるか分からない」だの、はぐらかされる。
地球について宇宙人は、放っておいて観察したいもので、
侵略する価値はあまり無く、デメリットが多いらしい。
どうせ夢だけど、宇宙人が描いた絵を見たかったのに…とても残念な気持ちで問答を続けていた。
ようやく異質な姿に慣れたころに、そろそろ帰る時間らしい。
おかしな乗り物から降ろされて手を振られた。
ちょっと可愛いと思ったけど悔しかったので宇宙人に言わなかった。
夢から覚めて、休日の朝。
悪夢なわりにシッカリ目覚められて朝日を見た。
目を凝らして曇り空を見ても、飛行機雲すらなかったので少し…がっかりしたのはここだけの秘密だ。