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第十四話 真実〜サヨナラ〜

ライオネルは、すぐ側で物音がした気がして目を覚ました。目を開けるとリルが椅子に座ったところだった。


「よう、仕事はどうした?」


突然、声をかけられリルは一瞬驚いた顔をする。


「ごめんなさい。起こしちゃった?」


済まなそうでリルが言った。


「別にかまわねぇよ。どうせ、しばらくは寝てるか訓練するかの日が続くかんな」


そう、とリルは頷く。


「この間の訓練、覚えてる?」


「あれか、魔力で鳥を作るってやつか?」


 リルは頷く。


「そう、あれは習熟していくと魔力の続く限りは、どんな大きなものでも作れるの。ライさんの魔力なら象くらいまでなら簡単だと思う。けど、私じゃ自分と同じくらいのを作ったら魔力が尽きるの」


「何の話しだ?」


ライオネルは訝しげな顔をする。


「一番、最初の質問の答え。敵の居場所を探る為に私の魔力を囮にしました。魔力の無い私は足手まといになるから……」


「隊長達は行ったんだな。まぁ、あの人達なら大丈夫だと思うけど」


「……それは、どうでしょう」


リルが暗い表情を浮かべる。


「どんな方法を使ったのかは知らないけど、私の師匠、緑の魔法使いを倒すほどの相手。スピンドルさんの実力を、よくは知らないけど、簡単に勝てるとは思えない」


ライオネルは黙って聞くと机に手をつき、立ち上がる。が、よろめき倒れそうになる。


「ライさん!!」


リルは慌てて、ライオネルの体を支える。


「何してるんですか!!」


叫び声を上げるリルをライオネルは見つめる。

「勝てないのかもしれないなら、助けに行く」


「そんな体じゃ死ぬだけだよ」


リルは冷たく言う。が、ライオネルはリルの手を振り解き、外に行こうとする。しかし、ライオネルの足は突然、止まる。


「足が動かない!!」


ライオネルは数回、足を持ち上げようとする動作をするが足は持ち上がらない。そこに、リルの声が落ちてくる。


「今より、ちょっと昔、とある街で一人の女の子が産まれました。その子は生まれながらにして強大な魔力を持っていました。しかし、その事が災いして、その子は魔族に目をつけられます。そして、その女の子が六歳になった時、魔族はその女の子に取り憑こうとします。けれど、魔族には誤算がありました。女の子の魔力は、あまりに強大だったのです。取り込む筈だった少女の右腕に入った時、逆に消滅、取り込まれてしまいました。


……けれど、少女にも影響がありました。魔族の持っていた憎悪、恐怖負といった負の感情が全て、流れ込んで来たのです。少女は衝動に任せ破壊の限りを尽くしました。運良く居合わせた魔法使いが少女の強大な魔力を使い、負の感情を、その右手に封印することに成功します。しかし、その村に少女の居場所はもう、ありませんでした。その後、少女は追い出されるように魔法使いに従い村を出ました。数年後、少女は都に出て、いろいろな人と出会います。少女には守りたいものが出来ました。自分を犠牲にしても……」


リルはゆっくりと扉まで歩くとライオネルの方へと笑顔で振り向く。


「大丈夫だよ。ライさん。私には力があるんだから」


「リルっ」


「さようなら。最初で最後の友達」


リルがそう言った瞬間、ライオネルの意識は闇に沈んでいくのを感じた。


倒れてきたライオネルを受け止め、ベッドに寝かせるとリルは病室の外に出る。そして、目を閉じ左手を右手の手袋に伸ばすと一瞬、躊躇うも一気に外す。その瞬間、服の背中の中央が盛り上がり、破り、漆黒の翼が生えてくる。手袋を外した右手は同様な漆黒の鎧のようなものに包まれ、その指は鋭く尖っている。リルは目を開く。その目は血のような赤だ。リルは感触を確かめるように右手を開け閉じすると目にも止まらないスピードでその場から姿を消した。

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