草のみち
扉の向こうは草花な生い茂るところだった。振り返ってみると草の色にカモフラージュされている扉があった。俺達はここから出てきたのだ。草花に囲まれたそれは言われなければ気づかないほどに覆われている。
俺達は颯爽に草の中を進み道なき道を突き進んだ。地上にはでたものの一体ここがどこなのかわからない。だがしかしその答えは草道を抜けた時にわかった。草道の先にあった風景、そこには俺が住んでいた街の風景があった。ここは街の外れにあった山だったのだ。この山は交通の便もよくなく周りにもなにもないことなどからまず人は寄せ付けない。隠しものをするなら絶好の場所だったのだ。
「よかった、これならすぐに帰れる。」
俺は思わずそう呟いた。
「本当に帰るの?あんなことがあったのに」
委員長が静かにそう言った。
そりゃそうだまた家に帰ったらすぐに捕まるかも知れない。それにさっき言ってた委員長の言葉が気になる。
「まあいいわよ、実際に身をもって知ったほうがいいかも知れないし」
委員長から意外なかつ不安な言葉が帰ってきた。
「でも委員長、普通の生活に戻れないって…」
「いいから帰るんでしょ、学校の近くまで案内するから」
委員長はそう言ってまた俺の手を引っ張る。その後委員長に何を言っても反応してもらえることのなく学校の近くの公園まで連れていかれた。
「ここでいいわね。それじゃあ 」
そのまま委員長は振り向いて1人どこかに向かって歩いていった。
「あっ…!」
何かを思い出したように委員長は俺の元へ戻ってくる。
「あんたケガしてるじゃない。」
「えっ?」
自分の体をよくみると体のあちこちに切り傷ができており出血をしていた。あの道を通ったのだからしょうがないといえばそれで終わりだけども…
「ああ…こんなの唾つけとけば治るよ!」
「ダメよ、ほら見せて。」
そう言って委員長はどこからか持ってきた治療箱から消毒液をだし切り傷につける。
「うっ…しみる…。」
「男なんだからそんなこと言わない!」
「…はい…」
その時の委員長はまるで看護婦そのものに見えた。
そして治療は終わり…
「これで終わりね、それじゃあ!」
そう言って委員長ははや歩きで俺の元から離れていく。
「あの…委員長…ありがとう」
その言葉は委員長に聞こえたかどうかわからなかったがとにかく俺は委員長に助けられた。それは現実だ。こんどあったらちゃんと何が起こったか聞こう。あとはお礼だ。そう思いなが俺は何日かぶりの家に帰った。




