脱出
ここに来てからどのくらいたっただろう…
毎日毎日激痛を与えられる日々…
いや…毎日ではないかもしれない…ここに来てから日にちや時間が全くわからなくなっていた…
暗い部屋に拘束をされなにも聞こえない、なにもしゃべれない、なにも見えないこの部屋で俺はいったい何をされているのだろうか…?
このまま一生ここにいるのか…?もうそうなことも考えられない状態だった。
「まだ生きてる…。」
どこかで聞いたことのある声がどこからかした。
それと同じく手足の拘束具とチューブが外れるような感覚がした。そしてその声の主は顔を着いていたマスクを外した。
「誰だが知らないけど助けてくれてありがとう。」
「そんなことはいいから早くここから出るよ。」
声の主は俺の手をつなぎ全力で走っていた。その手の柔らかい感覚、そしてこの匂い、やはり俺はこの声の主を知っている。
暗い部屋を出たときやっと声の主の顔が見えた。やっぱりだ。
「委員長…?」
そう、あれ以来学校に来なくなっていた、U、委員長だった。
「さすが私のことを覚えてるのね」
「なに言ってるだよ、てかここはどこなんだよ!俺はなんであんなことされてるんよ!てかなんで委員長がここに…」
「そんなことはいいから早く逃げないとまたあの部屋送りだから!さっさと走る!」
俺は委員長に言われたままに全力で走った。もうあんな苦痛はたくさんだ。
この建物は俺のいたところとは違い全身真っ白な壁に覆われ窓がないのに比較的に明るくまるで研究所だ。しかし見つかると言いながらここには人の姿は全くいなかったため俺達は廊下を堂々と走ることができた。
「ざまあみろ…」
委員長は笑っていた。
「委員長いまなんて?」
「なんでもないわよ、ほらここを出ればここから出れるわよ。」
よかった、これでやっと普通の生活に戻れる。普通に学校に言って、普通に勉強し、普通に家に帰る。
「一つ忠告しておく、もう今まで通り暮らせなくなる。あとこれからいろんなこと戸惑うかも知れないけど決して驚いたらダメ。これが今の現実だから」
そう言って委員長は出口の扉を開く。