誰も知らない
その日の放課後UはSの家に行ってみた。Sはと時々学校を休むことはあったが今回はなんか胸騒ぎがしたからだ。学校でも休みの理由はとくになかった。それどころかだれもSについて触れていなかった。Uは今までのこともあり早くSの顔を見たかったのである。だがUがSの家にたどり着いた。がそこにあったのは家ではなくただの空き地だった。まるでスーパーが消えた時と全く同じだった。Uはそこで初めてSの携帯に電話をしたが返事は帰ってこない。
Uは近所の人達にSはどこに行ったが聞いてみると答えはご想像通り「そんな人達は知らない。」だった。
「やっぱり…」
勘がいいのかUは薄々気づいていた。この出来事が繋がってるってことが、自分達は変なことに足を突っ込んでいたのかと…。
そう思うとUはSが消えた不安よりも次は自分の番になるかもしれない恐怖の方が大きかった。Uは茫然としながら家に帰った。家族にSのことを聞こうとしたがどうせ答えは一緒だろと思い訪ねることができなかった。それから数日Uがいない学校生活を不安ながらも過ごしていた。誰もSのことを心配しない、まるでいなかったみたいに…
そんなある日Uが学校から下校してる途中車が自分のところにせまってきた。その車はUの目の前に止まり中から若い女性がでてきた。
「あなたUさんね?お友達に合わせてあげる。」
お友達?きっとSのことだ。けどこんな怪しい人の言うことを聞いていいのか?
「あなたSのことなんで知ってるの?Sをどこにやったの!」
「それが知りたかったらついてきなさい。」
少なくともSのことを覚えてるということはこの一連の出来事のなにかを知ってるはずだ。
「わかったわ…」
Uは不安だったがついていくことした。どんなことになるのか分からないがこの出来事のことがわかるなら、そしてなりよりSに会えるなら。
車に乗り込むと女性はUにアイマスクを着けることを指示された。Uは着けると今度は手錠なようなものをつけられるような気がした。これではまるで護送中の囚人ではないか、そう思いながら我慢した。それから何時間車に乗せられてらるだろう…なにもできない、身動きのとれない状態でいつまでも揺られていた。
しばらくすると車が止まり立って歩くように指示された。それからしばらく歩かされてた。
「着いたよ 。」
そう言われると手錠を外されアイマスクを取れた。
Uの目の前に広がっていた光景、それは無数の拘束器具に繋がれていたSの姿だった。