走馬灯
今、俺の目の前に1人の女の子がこっちを向いている。
その女の子のために俺はここまできた。
だからこの状況を俺は素直に喜んでもいいと思う。たとえ世界が滅びても、この世から俺達以外の生命消えていても誰一人、この瞬間だけは俺が喜ぶのを否定するのは許されない。
まあ彼女の再開したのは少し前にもあったのだけれどそれは彼女であって彼女ではない、彼女を形をした別の彼女との再開だった。
だからそれはノーカン、今が正式な彼女との再開た。
そんな彼女に俺は一言言葉をかける、そして彼女は静かに微笑む。
これで俺は確信した、だから俺は彼女に向かっ て一歩、また一歩と近づいていく。
本当は走ってでも駆け寄りたい、だけどこのぼろぼろの体と消耗した体力が重なって歩くのが精一杯だった。
けど彼女はそんな俺のことを表情崩さず待ってくれている。
そして俺は彼女の元に辿り着く。
俺の長かった旅が今終わったのだ。
その瞬間今まで固かった俺の表情がアイスが溶けていくように崩れていく。
やっと報われる…
今までいろんなことが合ったけれど…
いろんな人を…
いろんなものを犠牲にしてきたけど…
これで全部報われる…
そう思うと身体中からいろんなものが込み上げてくる。
数少ない記憶が頭の中でぐるぐると駆け回る、これが走馬灯ってやつか、走馬灯は死ぬ直前に見るというけど関係ないんだな。
一回落ち着こうと深呼吸をするために俺は胸に手を置いた。
「あれ?」
その手に違和感を感じた。
なんだかとても暖かい。
それになんか湿っているような…。
思わず眺めると手のひらは赤く染まっている。
「なんだ服の染みが着いたのか!」
最初はそう思った、だけどそれがすぐに違うと分かった。
だって服の染みならなんで時間が経ってるのに手に着く?
それになんでまだ暖かい?
つまりこの赤いもの今出てきたもの、そしてこれは俺が出した血だ。
じゃあなんでなんも起きていない状況で俺は大量出血をしている?
そんなの何かが起きたに決まってるからだ。
そしてそれを起こした張本人は目の前にいる。
それを知った時、痛みと息苦しいさが俺を喜びという妄想から現実に引きずり戻される。
「…委員長…なんで…。」
最早喋ることも辛いこの状況で出した質問に無情にも彼女は質問で返す。
「ねえ、Gは…?」
「…えっ…。」
「ふ~ん、いないんだ…。」
彼女…委員長はそれだけ言うと手に持っていた小さなナイフで俺の腹を突き刺す。
そのナイフは既に赤く染まっていた。