代償で得たもの
神様はとても分かりやすい仕組みを世界に作った。
この世界にいるものは全て何かをやるためには何かを代償にしなきゃいけない。
それが大きいことや小さいことでも例外はない。
例えば
買い物をして商品を手に入れるためにお金を払う。
そのお金を手に入れるために労働という代償を払う。
労働するために自由な時間を払う。
などその仕組みの歯車が噛み合って回りはじめることで世界は動き出す。
実に分かりやすいことだ。
そしてなにも無くなったこの世界でもその仕組みは適応される、まだ俺達がここにいるから。
そこで俺が払う代償は…。
少し前まで落語家のみたいにペラペラ喋っていたGだけど今はすっかり黙りこんでいる。
当たり前だ、これからやることを考えればとても喋れる雰囲気じゃない、それは俺も同じだ。そういうこと今からする。
俺は立ち上がりここに来るときに一緒に持ってきて今まで地面に置いてあったものを手に取る。
それは半分銀色で長く、とても冷たいもの、委員長が使い○○○を殺した刀。
そんな曰くつきのものをどうして俺が持ってきたのか?
そんなの簡単だ、刀を使う理由なんて一つしかない。
人を切るため
Gを殺すため
だから俺はこれを使う。
Gの再生能力は意識があるときにしか使えない、逆につまりGが意識のない内に殺すか、それか即死レベルの傷を負わせばいい。
前者はあの時にチャンスはあった、だけど俺はそれを知っていながらやめた、今この時間を過ごすために。
多分この先前者のチャンスはもうこない、今だからGを殺すには後者しかないのだ。
「ほらよ」
Gは俺が特になにかいったわけでもないのに自分の意思で仰向けになり大の字に体を広げる。
そんなGを向け今さら俺の中でなにかが込み上げてきたけれどそんな感情今はいらない、だから俺はあいつになにも語りかけない、かけたくないから。
「殺るなら念入りにしとけよ、もしゾンビみたいに甦ったらお互い笑えないからな。」
俺は一回頷くとGに向かって刀を向ける。そんな俺をみてGは
「おいおいリラックスしろよ。」
みたいなことを言っているような表情をしていた。
そんなGに向かって俺は静かに刀を降り下ろしGの左胸に刀が貫通する。
その時におきた血吹雪は噴水のように大きく吹き上がり俺と地面を赤く染めた。
この瞬間あの建物の他にこの世界に新たなものが誕生した、あのGという名前だった人間の赤く醜い肉の塊が。
俺は親友を代償に何を得ることができたんだろう?
この世界で…。