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虚無世界  作者: 天神
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昔とは違う笑顔

この男は俺の全てを見てきた、それがいつからかは定かではないけど出会ってきてからずっとだ、ずっと今まで、今この瞬間もずっと見てきた。

少し前は俺の隣で

さっきまでは画面越しで

そして今は正面から

だから俺は今どんな状態でなにを考えていることも手に取るように分かっているはず、もしかしたら俺よりも…。

そのうえで奴はこんな言葉を俺に弾丸を放つように語りかける。

「なあ、お前はどうなるの? 」

その一見これまでの意味の分からない一言が俺の心にチクチクと突き刺さる。

だってその一言の意味を俺はよく分かっていたからだ。

だけどその言葉を否定するかの如く俺はGの解答に答える。

けどそれは到底答えとはほど遠いものだ。

「どうなるのってなんだよ?意味がわからねーよ。」

ただの言い逃れ

ただ答えたくないだけ

ただ逃げてるだけ

もちろんそんなこともお見通しなGは今までと少し表情を変えた。

険しかった表情から少し余裕のある笑顔に 、不気味に微笑んだ。

「質問の意味が分からなかったのか?そうかお前国語の成績よくなったもんな。なら分かりやすく言ってやるよ。」

そういうとGは今度は自分のほうから俺のほうにゆっくりと近づいてくる。

もの静かな部屋にはその乾いた足音が響いてくる。

足音が大きくなるにつれ俺の心臓の鼓動が大きくなっていくのも身体の奥底から伝わっていく。

俺の鼓動とGの足音、2つの音が次第に大きくなり、音が重なり合っていく。

2つの音が最大限になった時、Gは俺の横にいた。

昔親友だった時

学校に一緒に当校した時

一緒に昼食を食べた時

ばか騒ぎをしてた時

そして委員長に怒鳴られ逃げた時

あいつは俺の隣にいた時いつも笑顔だった。

そして今、俺の隣にいるGも笑顔だった。

だけどその笑顔は今までとは全く違う別の顔、俺を絶望を落とす最低な表情。

人の不幸は蜜の味とはよく言ったもんだ。

俺の不幸という蜜を吸うためにGは俺の横で針を刺す、言葉という針を…。















「お前の記憶が全部消えたらお前はお前と言えるのかな?」

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