正義の味方
そこには1人の男が手を床に付き、もう1人の男がそれを静かに見つめている。
つい数分前もこれと同じ状況だった。ただ違う点と言えば2人の男の立場が逆転したところくらいだろう。
「ゲホォ、ウェェェェェ!!!」
さっきまですごい元気だったGが針千本飲んだの如く右手で腹を押さえながら悶絶している。Gの身体を唯一支えている左手を産まれたての
子牛よろしくプルプルと震えている。そのまま床に倒れるのも時間の問題だ。
だけど
俺はそれを許さない。
「おい、立てよ。」」
俺はさっきGにやられたことと同じ行為する。
Gの胸ぐらを掴み無理矢理俺の顔が見える位置まてあいつを持ち上げた。
さすがに高校生を片手で持ち上げるのは無理だろうとおもうだろう。
だけどその時の俺はできた、できてしまった。
「お…お前なに急に元気になってるんだよ…、さっきまであんなにしょぼんとしてたのに…。」
まださっきの痛みが残ってるのだろう、Gは相変わらず煽り口調で喋ってくるがその言葉にはいつもの勢いがなく弱々しい。
けどそんなの関係ない 。
俺はそんなGの問いかけを無視して空いていた右手でGの顎を殴った、ようはただのアッパーだ。
Gの顔から乾いた音がした、きっとどっかの骨が折れたんだろう。
そのままやっぱ数メートル吹き飛んだあと床におもいきり床に叩きつけられた。
Gは少しの間動かなかったがしばらくして立ち上がった。
ふらふらになりながら必死に
頭から耐える血がときより目に入り俺を見つめる瞳はひときわ殺気染みたように感じる。
「ハア…ハア…お前調子のってるんじゃねーぞ…、ハア…ハア…、」
最早負け犬の遠吠えにも聞こえるそれは確かに俺には聞こえる。
だけど俺はそれに無視するようにGに静かに近づく、そして奴に手が届く位置まで近づくとひたすらGの顔面を殴り続けた。
何発殴ったかは覚えていないがひたすら殴ったのは覚えてる。
そしてしばらくたち俺は何故か殴るのをやめた。
「ハア…ハア…」
この部屋には今Gの荒い息遣いだけが響いている。
そしてGが口を開く、最初はよくその傷で喋れるなと思ったけど忘れてた。
俺達は特異体質だもんな。
「ハア…ハア…、お前…正義の味方気取ってるんじゃないぞ…、ハア…ハア…、いくら俺を殺してもこの世界は元に戻らない、ハア…ハア…、永遠に砂のままだ。」
Gの質問に俺は解答をする。
でもGの質問には1つ間違いがある。
まずはそれを訂正しなければならない。
「G…、俺は正義の味方じゃない世界を救いにきたわけじゃない。」
「ハア…ハア…、お前なに言ってるんだ…?」
「俺はただ委員長を連れ戻しにきただけだから
。」
「ハア…ハア…」