砂
結論から言おう、人類は滅びた。
いいや、言い方が間違っていた。訂正して言い直そう。
人類はいなくなった、俺達4人…今は3人を除いて1人残らずこの地球から最初からいないことになってしまった。
今この地球にあるのは3人の特異体質の人間、1人の特異体質の人間で今は腐るのを待つだけの屍、そしてこの建物だけだ。
あとは1面細かな粒子から構成される砂、
巨大なビルの大群も
東京に来るのに乗ってきた電車も
今まで俺が住んで来た街も家も全部
砂
それは手に取るとその隙間からポロポロとすり抜けて落ちていく、その砂のように俺も身体中の力が抜けまだ砂ではない部分に崩れ落ちていった。
そんな俺を嘲笑うように見下す1人の男、俺はそいつの顔を見る気力すら起きなかったが男が放つ威圧感は身体中を蝕むように伝わってくる。
そいつは人類が滅びようが関係ないのだ。だってそれがそいつの願い
願望
理想
砂のように崩れ去った世界こそ奴の目標
だからこの状況を笑ってられる。
砂に覆われたこの世界は今1人の男の掌にある。
そんな世界を掌から解放する人間は今俺しかしない。
そんなことは自分でも嫌でも分かっている。
しかしその男が握っている掌は一粒の砂をすりこぼす隙間もないほど固く握られていた。
その掌をこじ開ける方法は俺は持っていない。